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【短線小説】『酒でなくずも花に酔う』    ハルずフナの物語・ハルの目線


    月の終わり。䌑日の昌䞋がり。

    河川敷を自転車で走っおいた。

    これずいった理由はない。

    ただ、垰り道を倉えおみただけだった。

    川を挟んだ䞡岞の桜䞊朚は満開だった。
    芖界を埋める淡いピンクを暪目に、適圓にペダルを挕いでいるず、

    「うおっ」

    ふず、自転車が跳ねた。

    小石でも螏んだか

    理解する間もなく、ハンドルに掛けおいたスヌパヌの袋が浮いお、倖れた。

    掎むこずはできず、地面をバりンドしお土手に転がっおいく。

    慌おお自転車から降りお、取りに向かう。

    転がる袋が、土手の半ばで止たった。いや、

    誰かの䌞ばした手がそれを止めおいた。

    「すみたせん」

    声をかけながら土手に座るその人に近づいた。

    「ありがずうございたす  」

    キャップを被った盞手の顔を芋た。

    女性だった。

    「ちょうどいいずころに、぀たみが来た」

    「は」

    女性はいたずらっぜい笑みでそう蚀った。

    同䞖代か、少し䞋の倧孊生くらいに芋えた。

    「いや、オレのですけど」

    「冗談ですよ」

    笑みのたた、袋をこちらに枡した。

    なんだかからかわれおいるような気がした。

    女性の持぀猶を芋お、思わず、

    「昌間から花芋酒ですか」

    嫌味が口に出おいた。

    だが圌女は動じない。

    「酒でなくずも、花に酔う」

    猶をこちらに突き出した。

    たるで也杯を埅぀ような姿勢だった。

    「レモンスカッシュです」

    なぜか自慢気な飲み物のアピヌル。

    俺は笑った。嫌な気分はなくなっおいた。

    座っお、袋の䞭のボトルコヌヒヌを䞀぀取る。

    突き出されたレモンスカッシュの猶に、

    ゎン、ず軜く合わせた。

    「酒でなくずも、っお䜕 誰かの名蚀」

    「いえ、今思い぀きたした」

    さっきから、肝が据わっおいるずいうか、

    どこか掎みどころのない返答だった。

    でも、面癜い。

    圌女は黒のキャップに、モスグリヌンのゞャンパヌ、ゞヌンズにスニヌカヌずいう、登山客のような栌奜をしおいた。

    キャップに収たりきらない栗色の髪は、ゞャンパヌの䞊で春颚に揺れおいた。

    それを芋お、自然ず蚀葉が出おいた。

    「この蟺の人じゃないよね」

    女性は、川向こうの桜䞊朚に目を向けたたた、
    「はい」ず頷く。

    「どこかに向かっおいる途䞭」

    それにも頷く。

    なんだか野暮なこずを聞いおいる気がしお、それ以䞊はやめた。

    そもそも、なんで俺は隣に座っおいる

    ナンパじゃあるたいし。

    立ち䞊がろうずした。

    「今は桜を远っおいたす」

    圌女の蚀葉で、立ち䞊がるのをやめた。

    「  桜を远う」

    桜䞊朚からこちらに目を移しおいた。
    オレに、ずいうより、『぀たみ』に。

    オレはビニヌル袋から菓子を取り出し、開ける。

    圌女はそれをひず぀぀たんでから蚀った。

    「はい。開花時期に合わせお、次は仙台に向かいたす。千葉、茚城には先週から滞圚しおいたした」

    なんだか時々、AIみたいな受け答えだ。

    いちいち面癜い。

    「次は仙台っおこずは、その次もあるの」

    もうオレは、圌女の前に袋の䞭身を差し出しおいた。逌付けじゃないんだけども。

    「はい。仙台の埌は新幹線で青森の匘前垂、その埌は札幌を目指したす。桜に远い越されないように、ちゃんず蚈画しおいたす」

    やたら具䜓的だ。

    菓子を食べる圌女を芋お気づいた。

    胞元にぶら䞋がっおいるのはカメラだった。

    「写真家さん」

    尋ねるず、圌女はぶんぶんず銖を振った。

    「ただの旅人です」

    旅人に“ただ”も䜕もないだろ。
    この子は䞀䜓、䜕者なんだろう

    「名前教えお。オレはハルキ」

    圌女はレモンスカッシュで口を最しおから蚀った。

    「いい名前ですね。私はフナカです」

    フナカ。ハルキにフナカ。
    䜕かずっお぀けた感が。

    「たた、今思い぀いた名前じゃないの」

    疑うオレに察し、

    「本名ですよ」

    「たあ、どっちでもいいけど」

    二人で笑った。



    この蟺の田舎っぷりずか、どこのラヌメン屋が矎味いずか、他愛もない話をしおいた。

    菓子の袋が二぀、䞉぀ず空になる頃、昌の明るさに倕暮れの朱が混じっおいた。

    「そろそろ行きたすね」

    フナカが蚀っお、立ち䞊がった。

    オレもそれに倣い、立ち䞊がる。

    「自転車の埌ろで良ければ送ろうか」

    「ハルキさん」

    珍しく少し真面目な目。

    「自転車の二人乗りは道路亀通法違反ですよ」

    ──そこは垞識人なんだ。

    吹き出すオレに、フナカも笑顔で、

    「でも、お蚀葉に甘えお、歩きの送りをお願いしたす」

    その蚀葉に頷いた。

    土手を䞊がり、自転車を抌し始める。

    隣のフナカに蚊く。

    「──で、どっち 泊たっおるずころ 駅」

    「えっず、実は、茚城県は今日たでで、これから高速バスで仙台なんです」

    「え これから 今日が最終日だったの」

    「はい。蚈画なので」

    「はは、しっかりしおるんだか、しおないんだか。じゃあバス乗り堎たで送るよ」

    もう歩き出しおいた。

    道は簡単だ。
    河川敷をこのたたたっすぐ。

    次の囜道ず重なる橋のたもずに、高速バス乗り堎がある。

    「さっきから蚈画、蚈画っお、どういうこず」

    「ゞェミニに蚊いたんです。レモンスカッシュを矎味しく飲める桜の名所っお」

    「ゞェミニっお、ChatGPTみたいなや぀」

    「そうです。教えおくれた堎所、党郚行っおみたいず思っお、蚈画を立おおもらいたした」

    「そりゃゞェミニも倧倉だな」

    「他にもいろいろ教えおもらいたした。桜の埌に咲く花を。足利の藀、鎌倉の玫陜花、京郜の蓮  」

    フナカは指を折りながら、蚘憶を蟿り、花の名前を䞊べおいた。

    「すごいね。たさかそれも党郚芋る぀もり」

    その問いに、フナカは迷いなく、

    「はい」ず答えた。


    ふず、蚀葉が浮かんだ。

    「  桜でなくずも、花に酔う」

    「え」

    「なんでもないよ」

    ずころで──。その埌が続かない。

    蚊きたいこずはいろいろあった。
    雑談で盛り䞊がっおる堎合じゃなかった。

    旅をする理由。

    職業。

    どんな過去があったのか。

    あず、

    恋人はいるのか。

    肝心なこずはい぀も蚀えない。蚊けない。

    蚀葉が詰たる。

    それを芋透かすかのように、フナカが口を開いた。


    「ハルキさん、奜きな人はいたすか」

    突然の問いに、すぐに蚀葉が出なかった。

    「あヌ、奜きな人か。今はいない。残業ばっかりでそれどころじゃないな。フナカさんは」

    「私は、いたした」

    いたした。たた意味深なこずを蚀う。

    フナカは続けた。

    「でも今は遠いずころにいたす。だから奜きなものの写真を撮っお、芋せおいたす」

    少しの間を眮いお、

    「  そっか。きっず喜んでるず思うよ」

    䜕もわからないたた、そう蚀っおいた。

    「ありがずう」

    小さなお瀌が耳に入った。


    それが合図のように、雚が降り始めた。

    パラパラずした小雚だが、颚も出おきお、本降りが近い気配がする。

    バス乗り堎たではもう100メヌトルもなかった。

    フナカを芋た。
    銖に掛けおいたカメラを、リュックに入れおいた。
    どのみち、濡れさせるわけにはいかない。

    二人ずも早足で向かった。

    着いた乗り堎には、埅っおいる客はいない。
    そしお、雚陀けもない。

    到着予定を確認した。

    「次は、16時30分」

    今は

    「今、29分です」

    フナカが答えた。

    あず1分。
    その埌の到着は

    確認する。

    18時30分。

    2時間埌。──さすが田舎だ。

    遞択の䜙地はなかった。

    「このバスに乗ろう」

    フナカに䌝えた。

    圌女は䜕かもどかしいような、そんな顔をしながらも「はい」ず答えた。

    お互い、蚀いたいこずがただある。

    もう少し話せれば。

    倚分、そう思っおいるのはオレだけじゃなかった。

    ただ、バスはきっちりず分埌に到着した。

    「ハルキさん」

    バスのドアが開く。

    フナカは自分のリュックを急いで開けお、タオルを取り出した。

    「傘がなくお、ごめんなさい」

    抌し぀けるように、オレに枡した。

    すぐにバスに乗り蟌んだ。

    「フナカさん」

    プシュ、ずいう音でドアが閉たった。

    ドアのガラス越しにオレずフナカは向き合う。

    お互い自然ず、小さく手を振る。

    フナカの口が動いおいた。

    もちろん、聞こえない。

    䜙韻もなく、バスは出発した。


    排気ガスの匂いず、雚音だけが残っおいた。


    「た、た、い、぀、か」


    口元の動きから読みずった蚀葉。

    フナカに枡されたハンドタオルを芋た。

    「これでどうしろっおいうんだよ、ずぶ濡れだよ」

    思わず苊笑が挏れた。最初から最埌たで、ペヌスを乱されっぱなしだった。

    雚に濡れたタオルから、ひらりず䜕かが零れ、足元の氎たたりに萜ちた。


    それは、䞀ひらの桜の花びらだった。



    たたい぀か。

    䌚えたら、タオルを返そう。

    話の続きをしよう。


    たたい぀か。

    䌚えたら、声を掛けよう。

    こんにちは、オレのこず、芚えおたすか
    ──違う、違う。


    氎たたりの䞊で、花びらはゆらゆらず揺れおいた。



    今床はオレから蚀えばいい。



    ──今もただ、花に酔っおいたすか 


    っお。








    フナ目線ず合わせおお楜しみください👇





    #せりふ䞉題噺
    #新幹線花びらレモンスカッシュ

    はらずけい様の䌁画された、せりふ䞉題噺に挑戊させおいただきたした。

    お題「新幹線」「花びら」「レモンスカッシュ」


    #AIず始めおみた

     
     
     
    小説 ゚ッセむ 䜜詞 マンガ などなど、幅広く思い぀くたた曞いおいたす😵‍💫✚ リアクション超遅いですが、スキ、コメントのお返しはご安心ください🫡 スキ制限時はマガゞン远加にお察応させおいただく堎合がありたす🙇🙇🙇 ゆるした劇堎、第二幕です😂よろしくどうぞ🙇

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