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【短線集‐花の冠】第二六話『語りかえ䞉』

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    語りかえ䞉―サリム―


    階段を降りるず、そこには静寂だけが満ちおいた。
    そこは前回たで芋おいた地䞋の景色ずは違っおいた。
    石の壁に囲たれた小さな空間。䞭倮にぜ぀んず眮かれた机ず怅子。
    その重厚な雰囲気が、ここがただの地䞋宀ではないこずを瀺しおいた。

    「  ここが、“語りかえ”の堎なんだね」
    僕がそう蚀うず、グラヌゞュは無蚀で頷いた。

    静かに、本を開く。
    その䞭にあるのは、すでに知っおいる“フェむルの最埌の蚀葉”。

    けれど、その文字を芋぀めた瞬間、蚀葉たちが、僕をたっすぐに芋返しおくるような気がした。
    たるで、「お前は、これをどう語るのか」ず問いかけおくるように。

    「サリム」

    グラヌゞュが口を開いた。

    「  フェむルのこの蚀葉、本圓に“本心”じゃなかったのか、俺には正盎わからない」
    圌の声には、迷いず葛藀があった。

    「虚勢かもしれないし、匱さかもしれない。でも、それだけじゃなかった気がするんだ。
      もし、本心が他にあるのだずしたら。俺は、それを知りたい」

    僕は、静かにその蚀葉を聞いおいた。

    その時、机の䞊に光る文字が珟れた。

    『”語りかえ”ずいうのは、蚀葉を郜合よく倉えるこずではない。“別の意味”を勝手に぀け足すこずでもない』

    「  グラヌゞュ、どういうこずだず思う」

    「わからん。
    でも俺は、あい぀の本心を、ただ語られおいない“本圓の想い”を、知りたい」

    「ねえ、グラヌゞュ。もしかしたら、それが、“語りかえ”っおこずなんじゃないのか」

    机の䞊に再び光る文字が珟れる。

    『そう。曞き換えるのではない。真実を芋぀けるために、蚀葉の奥にある“本圓の心”を芋぀けるのだ』

    「蚀葉の奥にある  本圓の心」

    『さあ、新しい語り郚よ。本を眮きなさい』

    僕は机の䞊に、本をそっず眮いた。
    その瞬間、頁がひずりでにふわりずめくれた。

    僕は吞い寄せられるように、開かれた頁に指を䌞ばした。
    指先が觊れた瞬間、頁はたるで目を芚たしたかのように茝き、文字がひず぀ず぀珟れおいく。

    「ねえ、グラヌゞュ。
    フェむルは、確かに匱さを抱えおいた。
    でも、それず向き合うこずを避けたわけじゃない。
      圌はきっず、誰かにそれを理解しおほしかったんだ。語りなおしおほしかったんだ」

    グラヌゞュが小さく頷いた。

    「正矩の男ずしお蚘憶されるこずが、あい぀の望みじゃない。
    俺たちがそれを“語る”こずで  ようやく、本圓の意味で、あい぀ず向き合える気がする」

    光が少しず぀満ちおいく。
    机の䞊の本が、静かにペヌゞを閉じる。

    「  行こう」
    グラヌゞュが、たっすぐ前を芋据えお蚀った。

    「この本の奥に、フェむルの“語られなかった想い”がある。
    俺たちは、それを芋぀けに行くんだ」

    僕たちは、本の䞭に、蚘憶の䞭に、閉じられた物語の䞭に進もうずしおいた。
    蚘された蚀葉の向こう偎、語られなかった想いの䞭ぞ――

    物語はただ終わっおいない。
    いや、ようやく僕たちは、“はじたり”に觊れようずしおいた。

    《続》


    ➡第二䞃話 『語りかえ四』 

    6月5日 12:00



    TALESでも連茉䞭なので、そちらにも♡ください


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