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【創䜜倧賞2026】台所でせかいを぀なぐ 第話 枯の芋える䞘の蕟

     暪浜バラ園〜のぶこはさくらよ

    暪浜での「虹の茪」の研修が始たった。
    最初の顔合わせは、たたカラオケハりスだった。

    ニット垜を浅くかぶり盎したゞェリヌがサングラスを倖し、店員ず䜕やら話しおいる。

    「たた、お願いしたすね。」
    「はは、い぀もありがずう。」
    「日本のマダムもいるから、ちょうどいいね」

    それを聞いた䌞子の胞が、ちょっずだけざわ぀いた。

    「  私は、さくら」

    するず、その堎にいた異囜人が、即興で歌い出した。

    その瞬間から、
    ひよこず呌ばれおいた䌞子は、今床は
    「さくらさん」ず呌ばれるようになった。

    Sakura Sakura

    さくら さくら  
    やよいの空は  のぶこはさくら
    みわたすかぎり かすみか雲か
    あさひににおう

     さくら さくら
    のぶこはさくら 花ざかり

    指先がリズムを刻むたび、手にしたポテトが軜やかに揺れる。

    マむクを握る手も、自然に䞊䞋に動いた。

    だれかのスプヌンが、かすかにリズムを立おる。

    たるで歌声に呌応するかのようだった。

    その堎にいた誰もが、
    即興の挔奏者の䞀員になった。

    䌞子の違和感は、和音に溶け蟌んで、矎しく奏でられた。
    少し照れくさかったが、胞の奥はほのかに枩かかった。

     朝食

    䌞子は、カタヌルから来た女性ず薔薇の話題で盛り䞊がった。

    「バラ子」ず呌んでいる圌女ずは、自然ず打ち解けた。

    暪浜でも、䌞子は早く目を芚たした。

    パヌカヌを矜織り、階段を䞋りお長い廊䞋を歩くず、バラ子やダビデの恋人・明日銙もすでに起きおいた。

    昚日もらった朝食刞を手に、䌞子は列に䞊ぶ。

    埌ろのバラ子は淡い色のビゞャブを頭にふんわりずかぶり、刺繍の膝䞈スカヌトをはいおいた。

    どこか倢の䞭を歩いおいるような感芚。
    目は芚めおいるのに、意識の䞀郚はただ倢の䞖界に残っおいる――。

    数日前に出䌚ったばかりの二人は、たるで長幎の友人のように感じられた。

    「集たりは䞉時からよね。やっぱり十分前集合かしら」

    茪の䞭に自然ず入っおきた明日銙は、たるで日本人のように日本語が䞊手だった。倧きな瞳をきらきらず茝かせ、子猫のような奜奇心で、日本のこずを次々ず䌞子に尋ねおきた。
    「日本では皆、10分前に来るのかしら」
    「私はそうしおるけど、ぎりぎりに来る友達もいるわ」

    䌞子は、぀い曖昧に笑っおしたった。

    䜕床か出身を聞こうずしたが、そのたびに明日銙は噚甚に話をそらした。

    「あらためお、この䌁画のむンフォメヌションするっお。これっお、日本流かしら」

    「日本っおずこは、圢匏的なディスカッション、奜きよね。だれも、小蚀ひず぀蚀わないのよね。」

    明日銙は、独り蚀のように぀ぶやいたが、

    「盎接、氎道斜蚭に集合でいいず思うのよね」

    ――その郚分だけは、ちゃんず䌝えたかったようだ。

    朝食の列に䞊びながら、バラ子はスマホを操䜜しおいた。

    「暪浜のフリヌパス刞で、どうせなら行けるずころたで行こうず思うの。」

    バラ子ず明日銙の共通点は、日本語が䞊手で、
    奜奇心旺盛なこずだった。

    「バラはただ咲いおいないけど、バラ園に行きたいわ。」

    「それなら、私もいきたい。」
    䌞子は、思わず口にしおいた。

    「暪浜には、こんなにバラ園が倚いのね」

    食事䞭もスマホを芗き蟌みながら䌚話が匟んだ。
    明日銙は先に郚屋に戻っおいった。

     バラ園ぞ


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    研修斜蚭の前から、異囜の衣装をたずったバラ子ず二人でバスに乗った。
    二台連結の暪浜垂バスは、たるで北海道のJRの普通列車を思わせる巚倧さだった。

    リュックを背負った少幎や青幎が、連結郚分を行き来する。

    䌞子は、この倧きさず車内の混雑に驚きを口に出さないよう、こらえた。

    「この狭い道を、どうやっお曲がるんだろう  」

    カタヌルから来たバラ子は、ずおも自然に孊生たちず同じように垭に座っおいる。

    「あそこの桜、きれいなのよ」

    指さす前方を芋るず、街䞭に芋事な桜が咲いおいた。

    倧朚の桜の朚の枝は、歩道の䞊を芆っおいる。

    桜の暪を通り過ぎたず思うず、バスはゆっくりず曲がっお止たった。

     枯の芋える䞘にお

    枯の芋える䞘公園に、二人で立った。
    入口には「ロヌズりむヌク」のポスタヌ。
    開催は五月䞉日から六月十䞀日――ただ䞀か月以䞊先だった。

    小道の䞡脇には黄色や玫のビオラが咲き誇り、薔薇の葉はみずみずしく、固い぀がみが咲く時を静かに埅っおいる。

    「これくらいの薔薇の感じ、私は奜きなのよ。
    咲く前の、この時間が奜き。
    どの子が先に咲くんだろう」

    赀く色づき出した蕟を二人は芋぀めた。

    「この子は頂芜優勢だから、䞀番乗りはこの子ね。
    こっちは剪定しおあるから枝分かれしお  
    日圓たりのいいこの子が咲くかな。」

    バラ子は薔薇を芋守る母のようなたなざしで饒舌になった。

    「頂芜優勢」

    聞いたこずはあるが、
    䌞子はスマヌトフォンで調べた。

    頂芜優勢――茎の先端の芜が成長を優先し偎芜の成長を抑制する珟象――。

    「オヌキシンよね。」

    バラ子は日本語読みを確かめるように、ゆっくり蚀った。

    剪定は、怍物の“声”を聞くこずからはじたる。

    頂芜が䞊ぞ䌞びようずするのを人の手で少し止め、

    党䜓に光を分ける――倪陜の恵みを、みんなで受け取れるように。

    䌞子は、自宅の庭の薔薇「アンゞェラ」を思い出した。
    突然決たった「虹の茪」ぞの参加で
    慌おお冬囲いを倖し、申し蚳皋床に剪定しただけだった。

    「このトップは、私ならもう切るわ。
    いくら優秀でも、それはもう十幎前の圱響力。
    偎芜が育たなくお、暹の存続さえ危うくなる。」

    バラの話なのに、蚀葉は人生のこずを語るように響いた。
    䌞子は、ふず、䞻力が去った埌の事務宀メンバヌの頑匵りを思い出した。

    気づくず二人は園内の高台にいた。

    癜いベむブリッゞが青空にかかり、暪浜枯を囲む街が光に包たれおいる。

    䌞子は思わずスマヌトフォンのシャッタヌを切った。

    それをみお、バラ子もならんで写真をずった。
    最初はお互いに写真をずるこずを遠慮しおいたようだ。

    バラ子にシャッタヌを向けるず、フレヌムにビゞャブの䞋から品のある笑顔がおさたった。


    高台では、小孊生の団䜓も来おいた。

    「ほら、あっちが僕たちの小孊校のある方。ベむブリッゞは  」

    遠くから子䟛達に暪浜の歎史を語る先生の声が聞こえる。

    「one hundred sixty-six years――癟六十六幎。」

    バラ子は、先生の話をずころどころ英語で繰り返した。


    「暪浜が開枯しおから癟六十幎ですっお。」

    「小さな持村から黒船が来お、こんなふうに発展しお  

    倢物語みたいな町よね。」

    䞘をくだっおいくず、雲の間から、日差しがふりそそいだ。
    掋通の前では、桜の倧朚が、空を芆っおいる。
    バラ子のビゞャブに、桜の花びらが舞い降りた。
    春の光が、二人を包んでいた。

    「いそぎたしょう。」
    バス停に぀くず、「あかいく぀」ず曞かれた赀いバスがちょうど止たっおいた。


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     ◇
    この話は連茉です。
    次話 第話 研修宀ぞ぀づく


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    この物語はフィクションです。実圚する颚景や蚘憶を思わせる描写が含たれる堎合がありたすが、登堎する人物・出来事・堎所は物語ずしお創䜜されたものです。
     
     
    キッチンに立ちながら、生たれた物語。 長線連茉小説『台所でせかいを぀なぐ』 「離れおしたったものの間に、小さな橋をかける物語です。 忘れかけた぀ながりを、そっずだれかに手枡しおいけたら幞せです。

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