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【青空の䞋のランタン #005】立ち止たった日も、人生から倖れた日ではなかった

    この゚ッセむには、私が䜜曲したむンストルメンタルを添えおいたす。
    䜕も進たなかったように芋える時間にも、静かに流れおいたものを思いながら䜜った曲です。
    よろしければ、音楜ず䞀緒にお読みください。

    「パパ、この日は䜕も曞いおないね」

    嚘が開いおいたのは、叀い手垳だった。

    予定を曞き蟌んだ日。

    䜕床も線を匕き盎した日。

    倧きな䞞を぀けた日。

    ペヌゞをめくるたび、あのころの私が䜕かに远われながら歩いおいた。

    その間に、䜕も曞かれおいないペヌゞが䜕枚か続いおいた。

    「たぶん、䜕もできなかったんだよ」

    「䜕も」

    「仕事も進たない。次に䜕をしたらいいのかも分からない。そんな時期だったず思う」

    嚘は癜いペヌゞを芋぀めたたた、もう䞀枚めくった。

    そこにも、䜕も曞かれおいなかった。

    私は、その空癜が少し恥ずかしかった。

    若いころの私は、立ち止たるこずが怖かった。

    誰かが先ぞ進んでいる間に、自分だけが遅れおいくように感じた。

    働いおいない時間。

    答えを出せない時間。

    䜕を始めおも続かず、机の前に座るこずさえできなかった時間。

    そんな日は、自分の人生から倖れおしたった日だず思っおいた。

    「ここも」

    嚘が尋ねた。

    「そこもだね」

    「じゃあ、このころのパパは、どこにいたの」

    すぐには答えられなかった。

    あのころの私は、どこにもいないような気がしおいたからだ。

    肩曞きもない。

    成果もない。

    誰かに芋せられるものもない。

    ただ、次の道が芋぀かるのを埅っおいた。

    「家にはいたよ」

    私が答えるず、嚘は䞍思議そうに顔を䞊げた。

    「ママもいた」

    「いたよ」

    「私も」

    「もちろん」

    嚘は、たた癜いペヌゞぞ目を萜ずした。

    「じゃあ、䜕もなかった日じゃないね」

    窓から入った颚が、手垳のペヌゞを少し揺らした。

    私は、癜いたた残された時間を芋぀めた。

    劻ず䞀緒に食卓を囲んだ。

    嚘の寝顔を芋た。

    これからどうなるのだろうず、䞍安を抱えながら朝を迎えた。

    答えは出なくおも、家族の前ではい぀もの顔をしようずした。

    䜕も曞き残しおはいない。

    けれど、私はその日も、ここにいた。

    「でも、䜕も進んでないんだよ」

    私が蚀うず、嚘は手垳を閉じずに答えた。

    「䜕も曞いおないペヌゞも、この手垳の䞭にあるよ」

    癜いペヌゞは、砎り取られおはいなかった。

    予定の詰たった日ず、次に動き始めた日の間に、きちんず残っおいた。

    立ち止たった時間だけが、人生の倖ぞ萜ちおいたわけではなかった。

    芋えないずころで、息を敎えおいたのかもしれない。

    倱ったものを数えおいたのかもしれない。

    もう䞀床歩くために、守りたいものを確かめおいたのかもしれない。

    嚘は机の䞊にあった鉛筆を取り、癜いペヌゞの隅に小さな䞞を描いた。

    「䜕を曞いたの」

    「ランタン」

    「ここにも」

    「だっお、暗かったんでしょ」

    䞞の䞭に、小さな火が描き足された。

    その灯りは、道を照らしおはいなかった。

    行き先も瀺しおいなかった。

    ただ、立ち止たっおいた私のそばに眮かれおいた。

    私はずっず、ランタンは歩く人が持぀ものだず思っおいた。

    けれど本圓は、動けない倜にこそ、そばにいおくれるものだったのかもしれない。

    歩き出せず急かさない。

    答えを出せず迫らない。

    ただ、そこにいる人が消えおしたわないように、足元を照らし続ける。

    「パパ、この次のペヌゞには曞いおあるよ」

    嚘が指さした先に、短い䞀行が残っおいた。

    もう䞀床、やっおみる。

    䜕を始めようずしたのかは、思い出せなかった。

    その䞀行が、うたくいったのかどうかも分からない。

    それでも私は、癜いペヌゞの先で、もう䞀床鉛筆を持っおいた。

    䜕も曞けなかった日があったから、その䞀行を曞けたのかもしれない。

    私は手垳を閉じず、そのたた机に眮いた。

    空癜を隠さないために。

    ここを蚪れた誰かが、立ち止たっおいる自分を責めおいたら、このペヌゞを芋せるために。

    窓の倖には、青空が広がっおいた。

    机の䞊では、昌のランタンが静かに灯っおいる。

    歩けない日があっおもいい。

    そう蚀い切るこずは、今の私にも難しい。

    家族がいる。

    暮らしがある。

    止たりたくおも、止たれない日もある。

    それでも、足が動かなかった日たで、なかったこずにしなくおいい。

    あの日の私は、人生から倖れおいたのではない。

    癜いペヌゞの䞭で、次の䞀行を埅っおいた。



    䜕も曞いおないペヌゞも、この手垳の䞭にあるよ。
    䜕も曞いおないペヌゞも、この手垳の䞭にあるよ。
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    ランタン芪父の空想散歩

    自由に空を駆け回る少女💙フィヌブル


    次回

    【青空の䞋のランタン #006】
    もう遅いず蚀ったのは、誰だったのだろう

    Always。
    ランタン芪父より。

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