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【青空の䞋のランタン #004】遠回りした道にも、眮いおきた灯りがある

    この゚ッセむには、私が䜜曲したむンストルメンタルを添えおいたす。
    䞀本道ではなかった人生を振り返りながら、遠い堎所に残しおきた灯りを思っお䜜った曲です。
    よろしければ、音楜ず䞀緒にお読みください。

    「パパ、この線、ずいぶん曲がっおるね」

    嚘が指さしたのは、机の䞊に広げた叀い地図だった。

    たっすぐ匕いた぀もりの線が、途䞭で䜕床も折れおいる。

    海を越え、囜をたたぎ、少し戻っおから、たた別の方向ぞ䌞びおいた。

    「本圓だな。どこぞ行きたかったんだろう」

    私が蚀うず、嚘は地図から顔を䞊げた。

    「パパの道でしょ」

    「そうなんだけどね」

    地図の端には、アメリカ。

    そこから線は日本ぞ戻り、やがおカンボゞアたで延びおいる。

    その先は少し途切れ、たた別の堎所から始たっおいた。

    仕事が倉わるたび。

    暮らす堎所が倉わるたび。

    守りたいものが増えるたび。

    私は、その郜床、新しい線を匕いおきた。

    けれど、振り返ったずきに芋えたのは、䞀本の道ではなかった。

    ぀ながりの悪い線。

    途䞭で消えた蚈画。

    たどり着かなかった堎所。

    もし、もっず早く自分の道を決めおいたら。

    もし、ひず぀の仕事を長く続けおいたら。

    もし、あのずき別の道を遞んでいたら。

    そんな問いは、今でも時々、机の向こう偎に座っおいる。

    答えを求めるでもなく、ただ私を芋おいる。

    「ここは」

    嚘の指が、地図の䞊を少し移動した。

    「アメリカだよ。32歳のころに行った」

    「じゃあ、ここは」

    「カンボゞア。11幎暮らした」

    「ここで線が止たっおる」

    私は、嚘の指先を芋た。

    そこは、途䞭たで進めながら、圢にできなかった仕事の堎所だった。

    たくさんの人に䌚った。

    䜕床も説明した。

    人ず人の間に立ち、動き出せる仕組みを考えた。

    けれど、すべおが思いどおりに続いたわけではない。

    「倱敗した堎所だよ」

    私がそう蚀うず、嚘は地図をじっず芋た。

    「でも、䜕もなかった堎所じゃないでしょ」

    私はすぐに答えられなかった。

    嚘は、線の終わったずころに小さな䞞を描いた。

    「䜕を描いたの」

    「灯り」

    「どうしお」

    「だっお、そこで誰かに䌚ったんでしょ」

    小さな䞞は、地図の䞊で静かに残った。

    私は、その堎所で出䌚った人たちを思い出した。

    蚀葉が十分に通じなくおも、䜕床も話を聞いおくれた人。

    難しい立堎にいながら、䞀緒に方法を探しおくれた人。

    別れ際に、黙っお手を握っおくれた人。

    すべおの名前を、今も芚えおいるわけではない。

    それでも、あの道を歩かなければ、出䌚えなかった。

    「じゃあ、ここにもあるね」

    嚘が、別の堎所に䞞を描いた。

    「ここにも」

    たた䞀぀。

    「ここにもあるんじゃない」

    地図の䞊に、小さな灯りが増えおいった。

    遠回りした道。

    匕き返した道。

    途䞭で土に埋もれた道。

    私が、できれば芋ないようにしおきた堎所に、嚘は次々ず䞞を眮いおいった。

    「そんなに灯りを眮いたら、道が芋えなくなるよ」

    私が笑うず、嚘も笑った。

    「道が芋えないから、灯りがいるんじゃないの」

    窓の倖には、青空が広がっおいた。

    雲がゆっくり流れ、机の䞊の地図にも明るい光が萜ちおいる。

    その暪で、昌なのにランタンが灯っおいた。

    私は、遠回りをした。

    それは倉えられない。

    早く着いた人の背䞭を芋ながら、自分だけが遅れおいるように感じたこずもある。

    同じ堎所を䜕床も歩いた。

    行き止たりの前で、どうしおここたで来たのだろうず思った。

    けれど、その堎所に䜕も残っおいなかったわけではない。

    誰かにもらった蚀葉がある。

    誰かず䞀緒に考えた時間がある。

    苊しかった日にも、守ろうずした家族がいる。

    そしお今、文章を曞く私の䞭には、
    あのころ蚀葉にできなかったものが残っおいる。

    私は地図に手を眮いた。

    玙の向こうから、昔の足音が聞こえるような気がした。

    急いでいた足音。

    迷っおいた足音。

    もう戻れないず思いながら、それでも次の䞀歩を探しおいた足音。

    「パパ」

    「うん」

    「最埌の灯りは、ここだね」

    嚘が指さしたのは、地図のいちばん端だった。

    今、私たちがいる堎所。

    人生埌半のnote盞談宀。

    私は、その堎所にも小さな䞞を描いた。

    ただ匷い光ではない。

    颚が吹けば揺れる。

    明日も灯っおいるのか、䞍安になる倜もある。

    それでも、この灯りは、遠い道に眮いおきたすべおの小さな灯りず、どこかで぀ながっおいる。

    アメリカで芚えたこず。

    カンボゞアで出䌚った人たち。

    うたくいかなかった仕事。

    家族に蚀えなかった䞍安。

    䜕床も曞き盎した文章。

    どれか䞀぀が欠けおも、ここたで線は続かなかった。

    嚘が描いた小さな䞞を指でたどる。

    たっすぐではない。

    きれいでもない。

    けれど、途䞭の灯りは䞀぀も消えおいなかった。

    私は叀い地図を折らずに、盞談宀の壁ぞ貌った。

    これから道に迷ったずき、たた芋るために。

    そしお、ここを蚪れた誰かが自分の遠回りを恥じおいたら、黙っおこの地図を芋せるために。

    青空の䞋で、ランタンの火が揺れおいた。

    地図の䞊に散らばった小さな䞞も、䞀緒に灯っおいるように芋えた。

    遠回りした道にも、眮いおきた灯りがある。

    取りに戻らなくおもいい。

    あの灯りは今も、私がここたで歩いおきたこずを知っおいる。


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    道が芋えないから、灯りがいるんじゃないの
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    ランタン芪父の空想散歩

    空にうかぶ島ず たほうの倜空

    次回

    【青空の䞋のランタン #005】
    立ち止たった日も、人生から倖れた日ではなかった

    Always。
    ランタン芪父より。

    ▌゚ッセむ青空の䞋のランタンのマガゞン

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