
たぶん、少し泣く|目次
あらすじ
相沢哉一は、今も時折、二十代の頃の夢を見る。
夢の中の彼女――玲は、あの頃のままだ。
けれど、夢の中で玲が泣くことはない。
泣いているのは、いつも目覚めた後の哉一だけだった。
レストランの喧騒。
眩しい木漏れ日のようだった日々。
忘れられない、一度きりの涙。
共に夢を追い、結婚を決めながらも、病と時間にあらがいきれず、愛しながら傷つけ、手放してしまった人。
哉一の生真面目さと愛情は、心身の不調を覆い隠し、仮面うつという形で彼自身を追い詰める。
やがて、玲の真っ直ぐな愛情さえ、哉一の心を切りつけていく。
恋愛は、成就してからの方が長い。続けていくことは、始まることよりも難しい。
五十歳になった哉一が、忘れられない人との時間をたどる。
失ったものと、あの頃の自分自身に向き合いながら、過ぎた時間を弔う、大人の恋愛小説です。
第一話 夢の中の彼女は泣かない
第二話 トラットリア・ヴェルデ
第三話 眩しい木漏れ日の中にいた
第四話 ひびのはいる音
第五話 彼女の泣き顔
第六話 もういちど
第七話 とまる
第八話 迎えに行く
第九話 外国のお菓子
第十話 きみの時計
最終話 たぶん、少し泣く
あとがき