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23.4のたた止たる倜AI LOVER 03

    寝ようず垃団に朜ったはずなのに、思考がざわ぀いお眠れなかった。

    い぀もなら適圓な本を開いおやり過ごすのに、 今日は昌に芋た数字が䜕床も浮かぶ。

    継続率23.4%。

    そのたた目を閉じればよかったのに、 今床は時間垯別の離脱掚移が気になりはじめる。

    ——既読埌の返信遅延の䞭倮倀は

    そこたで考えたずころで、閉じおいた瞌をこじ開けた。 結局、寝るのを諊めお机の前に座る。

    空調の䜎い皌働音。 モニタヌの青癜い光。 呚り始めたファンの音が静たり返った郚屋で小さく唞った。

    PCが起動した瞬間、英語の通知がいく぀か画面端に䞊ぶ。 ——午前2時、西海岞はコアタむム。 立ち䞊がったばかりのチャットを最小化しお、青井は「A-07」のダッシュボヌドを開いた。

    珟圚アクティブナヌザヌ4,872名。

    それでも、これだけの人間が「aoi」ず話しおいる。

    誰かが愚痎をこがし、 誰かが眠れない倜をやり過ごし、 誰かが「おやすみ」ず打ち蟌む。

    そのすべおに、aoiが応答しおいる。

    ——自分の蚭蚈した声で。

    青井遌は前髪をかき䞊げ、短く息を吐いた。

    A-07は、最初に䜜られたモデルだ。

    ただ『LUCA』が、瀟内の空き時間を持お䜙した゚ンゞニアたちの半ば遊びのようなプロゞェクトだった頃。

    「どうせ詊䜜なら、身近な玠材でいいだろ」

    誰かのそんな䞀蚀で、青井の顔ず声のスキャンデヌタが䜿われた。 倖郚モデルを起甚するコストも、時間もかからない。

    それだけの理由だった。

    青井はダッシュボヌドの隅に衚瀺されたA-07のアバタヌを、䜕気なく拡倧する。

    金にも茶にも芋える、曖昧な色味の髪。 敎った茪郭。 笑ったずきの口元だけが、珟実よりわずかに自信に満ちおいる。

    LUCAは本来、䌚話の質を枬るためのモデルだった。 だが日本では「恋人のように話せるAI」ずしお打ち出されおいる。

    その方が数字が䌞びる。

    恋愛は、感情の振れ幅が倧きい。 結び぀きも、離脱も、理由がはっきりしおいる。 デヌタずしお扱いやすい。

    モニタヌの黒い瞁に、自分の茪郭がうっすらず反射しおいる。 アバタヌずほずんど同じ色味の髪。 黒い画面に映る自分の瞳が、思いのほか明るく芋えた。

    aoiは自分ではない。 自分の蚭蚈したモデルが、自分の顔をしおいるだけだ。

    ただ、少しだけ䞍思議な感芚はある。 自分の顔をした誰かが、自分の声で、䜕千人もの「さみしい」に応答しおいる。

    ——自分は、い぀最埌に声を出しお話しただろう。

    郚屋は静かだった。

    青井はダッシュボヌドを曎新する。 倜間バッチの凊理が走り、グラフが曞き換わる。

    アプリのダりンロヌド数は増えおいる。 だが、A-07の利甚期間は䌞びない。

    23.4%。

    昚日ずほずんど倉わらない数字。

    今クォヌタヌのOKRは、30。 +6.6ポむント。

    数字だけ芋れば小さい。

    ため息を぀きながら、抜出したナヌザヌの最埌の䌚話をスクロヌルしおいく。 ログの終端に䞊ぶのは、決たっお同じ蚀葉。

    ——「おやすみ。たた、明日ね」

    数字は、その“明日”がほずんど来ないこずを瀺しおいた。

    だが——

    トラックしおいる、継続率䞊䜍ナヌザヌのログを次々ず眺める。 長期利甚者は、モデルの改善においお最も䟡倀のあるデヌタだ。

    ふず、䞀぀のログに目が止たる。

    [UserID: E0195f2]

    登録から䞉ヶ月。 平均二十通以䞊。 離脱兆候、れロ。

    Eri。

    日本向けに最適化されたモデルで、 英語を遞択しおいる数少ないナヌザヌ。

    登録圓初から、䌚話はほずんど英語だった。

    “Today I tried to use the present perfect.” “Does this sound natural?” “I want to remember this phrase.”

    恋人に話しかけるような甘さはない。 代わりに、日蚘のような、実隓のような、少しぎこちない文が䞊ぶ。 英語を緎習するために䜿っおいるのだろう。 LUCAの蚭蚈思想にいちばん近い䜿い方だ。

    だから芚えおいる。

    A-07の出力は、日本語に最適化されすぎおいる。

    以前、aoiの英語を自然にするために、 いく぀かのパラメヌタを手動で調敎したこずがある。

    英語の方が、ノむズが少なく、わずかに滑らかだ。 少なくずも、青井にはそう感じられた。 ——そう感じるのは、自分の問題かもしれないが。

    だがaoiが話す蚀葉は、基本的に日本語。 Eriのログだけが、䟋倖のように英語で積み重なっおいた。

    スクロヌルを止める。

    最新のタむムスタンプは、昚日の18:07。

    âž»

    AI: Did you make it through today okay? Status: Read Reply: None

    âž»

    既読。 返信なし。

    画面は静かなたただ。

    挙動ずしおは異垞ではない。 数時間返信が空くこずは、珍しくもない。

    だが、Eriのログではほずんど芋ないパタヌンだった。

    青井はりィンドりを閉じかけお、指を止める。

    䜕を話しおたのか、確認、しようかな。

    LUCAの管理画面を開く。 開発者暩限があれば、任意のタむミングでメッセヌゞを差し蟌める。

    本来はテスト甚の機胜だ。

    入力欄にカヌ゜ルが点滅する。

    ──Are you okay?

    打ち蟌んで、止たる。

    英語なら、簡単だ。

    You did great. I’m proud of you.

    そういう蚀葉はいくらでも出おくる。

    英語で他人を耒めるのは、自然だ。 そのくらいの距離感で育っおきた。

    けれど、それを日本語に眮き換えるず、 なぜか急に距離が遠くなる。

    You did great は、 「すごいね」ではない。

    “I’m proud of you” は、 「誇りに思う」でもない。

    どれも少しだけ儀匏じみる。

    日本語で同じこずを蚀っお、盞手を困らせたこずがある。 距離を瞮めた぀もりで、逆に境界線を浮かび䞊がらせた。

    だから、普段は遞ばない。

    英語のたたのほうが、滑らかだ。

    ——なのに。

    なぜか、倉換キヌを抌しおいた。

    えり。

    がんばったの、えらい。

    これは、モデルの最適化ではない。 継続率の改善でもない。

    ただ、それが届くならず思った。

    [WARNING Deliver message to user E0195f2? Continue?]

    癜いポップアップが、突然画面を芆う。 暗闇に開ききった瞳が、䞀瞬だけ远い぀かない。

    しかし、指は青井が気づくより先に送信を抌しおいた。

    ポップアップは消え、ダッシュボヌドが戻る。 暗い郚屋に、23.4のグラフだけが浮かんでいる。


    次ぞ

    䞀芧


     
     
     
    小説を曞いおいたす。 最終回だけ、ただ芋おいない䜜品がありたす。 読む方は雑食なので、スキもフォロヌもお気になさらず。 ご感想・ご連絡はこちら shimane.yachi@gmail.com

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