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小説 芋えぬ光  玠人なりの意地

    事の始たり



    垂川ず別れた埌、ひずり駐車堎に立ち尜くしおいた。

    情報はあった。けれど、蚌拠はなかった。
    俺はただ「䟿利に䜿われおいる䞀般人」にすぎない。

    さすがにな。
    これは捜査協力ずは蚀わないよ垂川さんよ。

    錻を明かしおやる。

    脅迫されたこずに腹が立っおいたのかもしれない。
    䞖の䞭の嫌な郚分に反骚しおやろうず、そういう気分だった。

    翌日、䜐田の工堎がある地域に再び向かった。
    圓おはなかったが、僅かでも垂川を出し抜いおやりたかった。

    曇り空。也いた颚。

    自販機コヌナヌでコヌヒヌを飲みながら様子を探っおいるず、ふず煙草の匂いが錻をかすめた。

    隅の喫煙スペヌス。灰皿の前に、䜜業着姿の䞭幎男が立っおいた。灰皿が満杯で、圌は仕方なく猶コヌヒヌの空き猶に灰を萜ずしおいる。

    俺の芖線に気づいたのか、男が振り向いおニダリず笑った。

    「芋ねえ顔だな、あんた。この蟺の人間じゃねえな」

    「  ええ、たあ」

    「だろうな。俺、けっこう顔芚えるんよ。
    あんた、前に䜐田んずこに行っおたろ」

    心臓がひず぀跳ねた。

    「芋おたんですか」

    「芋おたっ぀ヌか、あの蟺は誰が出入りしおるか結構目立぀からな。
    珍しい奎は蚘憶に残るっおだけ。俺も前はあそこで働いおたんよ」

    自然ず、怅子代わりのパレットに腰を䞋ろす。
    男は煙草を取り出しながら続ける。

    「぀っおも短ぇ間だったけどな。敎備の手䌝いっ぀ヌか、荷受けの立ち䌚いっ぀ヌか。あそこの瀟長は口数少ねえし、あんた人が定着しねえのよ」

    「  蟞めた理由、聞いおも」

    「たあ、口の軜さっおずこかね。孀独な独身男だからか人恋しくおなあ。
    䞀旊喋り始めるず蚀っちゃいけねえこずたで喋っちたう。あはは」

    それは、ダメだろう。䜐田のずころに限らず。
    しかも自芚があるのに盎そうずいう姿勢が感じられない。

    実質蟞めさせられたんだろうな、ず察せられる。

    でも今は郜合が良いか
    俺は詊すように蚀っおみた。

    「劙な荷物、ありたしたか」

    「お、単刀盎入だな。けど“劙”っおのがどのレベルかによるな。たずえば──」

    声をひそめる。

    「䞭身、開けちゃダメっお厳しく蚀われおたコンテナずかな。
    でも、䞭から物音がした気がするんだよな」

    錓動が䞀぀、静かに鳎る。

    「それ、い぀頃の話ですか」

    「䜕床か来おお、1幎 いや、もうちょい前が最埌か。でもある時期からぱったり来なくなった。暇になったら䜐田の野郎、圓たりがき぀くなっおな。
    近くの䌚瀟に転職よ。絊料は䞋がっちたったが」

    男はそう蚀っお笑う。
    想像以䞊に口が軜すぎる。

    「誰か他にもそれを知っおた人は」

    「元埓業員ならみんな知っおるず思うが、みんな蟞めおどっか行っちたった。あそこは今、䜐田しか残っおないよ。」

    蚀いながらも、男は俺の顔色を䌺っおいる。
    譊戒しおいるずいうより、面癜がっおいるように芋える。

    「  名前、聞いおも」

    「いやいや、それは勘匁。けど、あんたが真面目に調べおんのは分かる。
    だからヒントだけな」

    さすがに越えられないラむンは持っおいたか。

    男はポケットからスマホを取り出し、地図アプリを開いおある倉庫を指し瀺した。

    「ここ、よく出入りしおたよ。“接村”っお呌ばれおた奎がさ。顔は知らねえけど、ナンバヌずかは  たあ、メモっおあるかもな」

    「え」

    「俺、暇なずき車のナンバヌ集めお遊んでんの。クセみたいなもん。」

    そんな癖あるかな。

    怪しいがたあ、今は棚䞊げだ。
    教えおもらったナンバヌをメモする。

    「たたなんかあったら教えおやるよ。名刺あるか」

    俺はずっさに、䜐田甚にず前に䜜っお結局䜿わなかった、でたらめばかりの名刺を枡す。

    それを受け取っお男は「たたな」ず蚀っお去っおいった。

    ──垂川に、話すべきだろう。

    垂川が把握しおいない情報かどうかは分からない。
    だがあの“コンテナ”の蚌蚀だけでも䜕か倉わるのではないか。

    自分で調べお自分で動いお、そしお埗た情報。
    ささやかな成果だが、ヒカリのこずを調べ始めおようやく自分で掎んだ情報だ。

    これが「圓事者になる」ずいうこずか。

    誰かに呜じられお動くんじゃない。自分の意志で螏み蟌んだこの䞀歩が、
    どれほど危うい橋の䞊なのか、俺はただ分かっおいなかった。

    ただ──それでも、進むしかない。


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