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【ねこドキュメンタリヌ】残された朝 │ 第13話

    告癜

    ▶ はじめお読む方ぞ 第0話倧郜䌚の神瀟に集う十䞉匹のねこたち
    https://note.com/noraneko_kaigi/n/n69e14842e908
    ▶前の話 第12話ハクが消えた日
    https://note.com/noraneko_kaigi/n/nade24275d0fe
    ▶ 党話ガむド 『のらねこ䌚議は䞑䞉぀時に』https://note.com/noraneko_kaigi/n/n46b13539d1f7

    【この蚘事に぀いお】ハクがいなくなった神瀟では、人もねこも少しず぀姿を倉え始める。䞖話人が来なくなった朝、九匹になったねこたちは、それでもい぀もの堎所で人を埅ち続けおいた。そしお数か月埌、䞀人の女性の「告癜」が、それたで点だった出来事を䞀本の線に぀ないでいく。玄3400字読了時間 箄46分

    ハクが消えたあず

    ハクがいなくなった境内では、
    もうひず぀異倉が起こり始めおいた。
    ハクがいなくなったこずで均衡きんこうが厩れ、
    䞀匹の倧きなキゞトラねこが境内ぞ入り蟌むようになった。
    戞䞭恵矎子ずなかえみこ仮名ず䞉昧䞋由矎子さんたいした仮名が
    懐かせようずしおいるずいう噂うわさが流れた。
    だが、そのねこはマリンに䜕床も倧怪我をさせたこずで、
    高岩悠矎子たかいわゆみこ仮名は匷く反察しおいるずも聞いた。
     
    ねこたちだけではない。
    人間たちにも、少しず぀倉化が珟れ始めおいた。

    誰も来ない朝

    幎の瀬を迎える頃からだった。
    毎朝五時には必ず神瀟にいた䞉昧䞋由矎子の姿が消えた。
    昌になっおも誰も来ない。
    境内は、䞍自然なほど静かだった。
    ねこたちは、人の姿を芋぀けるたび、ご飯をねだった。
    マリンのもずぞ通っおいた高岩悠矎子も、
    サクラに䌚いに来おいた小束川あかり仮名も、
    他のねこたちにもご飯をあげるようになっおいた。
    私は自然ず、䞑䞉぀時うしみ぀どきではなく、
    倜明け前の神瀟ぞ向かうようになった。

    朝の神瀟

    早朝、倧鳥居から本殿たで、
    すべおのねこたちにご飯を配っお歩いた。
    神瀟ぞ着くず、
    マルは「埅っおたした」ず蚀わんばかりに
    石段を駆け䞋りおくる。
    マルは芋た目によらず倧食いで、
    お腹いっぱいになるたで䜕床もおかわりをした。
    プッチは食埌の癜湯が欠かせない。
    お気に入りの氎入れの前に立぀ず、
    「今日の癜湯ください」の合図だった。
    少しぬるめの癜湯を泚ぐず、満足そうに飲み干した。
    ヒメは奜き嫌いが少なかったが、女子ねこには珍しく
    ビヌフ味がお奜みだった。
    カ゚デは臆病で小柄なくせに倧食挢で、
    狩ったねずみを片手で抑えたたた
    カリカリを食べる日もあった。
    なっちゃんずマリンは筋金入りのグルメ。
    奜きな味でも䜕日も続けば食べなくなる。
    ポポはマリンが食べ始めるのを確認しおから、
    ようやく姿を珟した。
    そしお、ポポのその姿を芋届けたサクラも
    安心したように珟れる。
     
    毎朝同じ景色だった。
    䞍思議ず、その時間は少しも苊にならなかった。

    䞀宿䞀飯の恩矩

    毎日通うようになるず、
    境内の汚れにも目が向くようになった。
    神楜殿の呚囲。
    皲荷舎ぞ続く小路。
    萜ち葉が積もった参道。
    ねこたちが䜏たいを借りおいる堎所でもある。
    だから、「䞀宿䞀飯の恩矩」ずしお掃陀も始めた。
    最初は神瀟関係者も怪蚝けげんそうな顔をしおいた。
    参拝者の䞭には近づいおきお、
    「この人は䜕をしおいるのだろう」ず確かめる人もいた。
    それでも構わなかった。
    党員にご飯を食べおもらい、境内を掃陀し、
    朝の祝詞のりずが境内を包み始める頃、
    それぞれの寝床でく぀ろぐねこたちぞ
    「たた明日」
    そう声を掛けお神瀟を埌にする。

    ねこたちだけの䞖界は、
    ただただ穏やかで平和だった。

    ハクの異倉

    戞䞭恵矎子の蚈らいで、
    ようやくハクず再䌚できた吉岡カオリ仮名は、
    ある異倉に気付いおいた。

    䞡耳から出血が止たらない。
    蚺断は「扁平䞊皮がん」だった。
    ねこ党䜓では垌少ながん、
    しかし癜ねこに限れば、発症率が跳ね䞊がる。
    少しでも長く生きおほしい。
    そう願った吉岡は、病倉のある䞡耳を切陀する手術を決断する。
    倖科手術ができる病院を探し、ハクを連れお受蚺した。

    「䞡耳がなくなるず、どうなりたすか」
    そう尋ねた吉岡に、獣医垫はこう答えた。
    「もう倖には行けなくなるけど、ドラえもんみたいで可愛いですよ」
    その蚀葉に、返す蚀葉が芋぀からなかったこずを、
    吉岡は埌にSNSで綎぀づっおいる。

    䞉昧䞋由矎子の告癜

    䞀方、玄䞉か月ぶりに䞉昧䞋由矎子が神瀟ぞ姿を珟した。
    私を芋るなり、䜕床も深く頭を䞋げた。
    涙声だった。
    それでも、頬は也いおいた。
    「あのずきは、本圓にごめんなさい。
    申し蚳ありたせんでした」

    そしお、静かに話し始めた。
    䞀幎半前の湯たんぜ投棄は、
    自分ず䜐久斗根接子さくずね぀こ仮名がやったこず。
    䜐久斗根接子が神瀟や譊察ぞ
    「倜䞭に怪しい人がいる、賜銭泥棒をしおいるようだ」
    ず䜕床も虚停通報きょぎ぀うほうを繰り返しおいたこず。
    「確認したが、そのような人物はいなかった」
    ずいう返答にも玍埗せず、執拗し぀ようにそれを続けおいたこず。
     
    䞉昧䞋由矎子からの話を聞き、
    点だった出来事が、䞀本の線になっお぀ながっおいった。

    本圓のブラックリスト

    数か月前の䞑䞉぀時。
    䜐久斗根接子が私に蚀った。
    「あなた、この神瀟のブラックリスト入りしおいるのよ」
    あの蚀葉の意味が、ようやく分かった。
    あの頃、䞑䞉぀時になるず、
    ずきどき私服姿の䜓栌のいい男性が境内を巡回しおいた。
    「倜䞭だから防犯の芋回りなのかな」
    そう思っおいた。

    だが、たった今、腑ふに萜ちた。
    圌らは私を芋に来おいたのだ。
    ずはいえ、事件らしい事件は䜕も起こらない。
    あるのは、ねこたちがご飯を食べ、満足そうに眠りに぀く、
    ただそれだけの光景だった。
    男性たちは数十分ほど境内を芋回るず、
    䜕も蚀わず静かに垰っおいった。

    䞉昧䞋由矎子の今

    䞉昧䞋はさらに話を続けた。
    長幎患っおいた難病が悪化し、
    合䜵症で死の淵をさたよったこず。
    職堎ぞ埩垰できず、
    生掻保護を受絊するこずになったこず。
    週二回ヘルパヌが蚪れ、
    掃陀や掗濯をお任せしおいるこず。

    私は䌝えた。
    「神瀟のねこたちのこずは、
    もう心配しなくお倧䞈倫です。
    これからは、ご自身の䜓を倧切にしおください」
     
    翌朝も䞉昧䞋由矎子は神瀟ぞやっお来た。
    本殿近くのおみくじ小屋の前で、静かに座っおいた。
    「この時間は、ねこたちがよく食べるから」
    そう蚀う圌女に、
    「ねこたちのこずは、
    本圓に心配しなくお倧䞈倫ですよ」
    ず䌝えるず、小さく頷うなずいた。
    それでも圌女はぜ぀りず挏らした。

    「ねこたちが、
    私のこずを忘れおしたうんじゃないかず  」
    気付けば服装も持ち物も以前ずは倉わっおいた。
    生掻保護を受けるようになっおからは、
    通院や敎䜓など、
    自身の䜓の手入れにも時間を䜿うようになり、
    身の回りの物も新しいものぞ替わっおいた。

    プッチの「保護」

    ある日の午埌。
    神瀟ぞ立ち寄るず、
    戞䞭恵矎子がケヌゞを抱えお車から降りおきた。
    埅ち合わせおいた女性ず合流するず、倧鳥居の方ぞ向かう。
    ほどなくしお、プッチを捕獲し、そのたた車で垰っおいった。
     
    神瀟に残るねこは、八匹になった。
     
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    ▶前の話
    第12話ハクが消えた日
    https://note.com/noraneko_kaigi/n/nade24275d0fe
    ▶次の話
    第14話
    人間の「正しさ」のなかで、ねこたちはどう生きるのか
    https://note.com/noraneko_kaigi/n/n219cbf473591
    ▶はじめお読む方ぞ党話ガむド
    『のらねこ䌚議は䞑䞉぀時に』党話ガむド
    https://note.com/noraneko_kaigi/n/n46b13539d1f7
    ▶本線䞀芧マガゞン
    【ねこドキュメンタリヌ】『のらねこ䌚議は䞑䞉぀時に』本線
    https://note.com/noraneko_kaigi/m/m36f72d3d4959
    ▷関連蚘事
    「のらねこは誰のものか」――その問いを、5カ囜の制床ず䟡倀芳の違いから芋぀め盎した関連蚘事です。 https://note.com/noraneko_kaigi/n/n550d560a8ea2
    「ねこは、い぀から“瀟䌚装眮”になったのか」――ねこが孀独や共同䜓の空癜を埋める存圚になっおいるこずを考えた関連蚘事です。
    https://note.com/noraneko_kaigi/n/n1e301059eb8d

    #創䜜倧賞2026
    #゚ッセむ郚門
    #のらねこ䌚議
    #猫
    #神瀟猫
    #猫゚ッセむ
     

     
     
    神瀟に集う13匹のねこを入口に、孀独・承認欲求・善意ず支配を描く連茉『のらねこ䌚議は䞑䞉぀時に』。初めおの方は党話ガむドからどうぞ。線集・広告ディレクタヌ。講釈垫・政治家、䌊藀痎遊を曟祖父に持぀。https://www.instagram.com/noranekokaigi/

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