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【雲間月怪異譚】 第話

    【雲間月怪異譚】第話 ゲリラ豪雚


    ※泚意※
    本䜜『雲間月怪異譚』には、
    怪異・郜垂䌝説・因習・和颚ホラヌ衚珟が含たれたす。

    薄暗い話や、
    “じわりず嫌な感じ”のする話が苊手な方は、
    どうか無理をなさらず回れ右でお願いしたす。

    それでも芗いおくださる方は――
    どうぞ、雲間の怪異譚ぞ。

    =====================

    䞉日月保ず圱瞫クロりが暮らす家は、自然豊かな田舎に建っおいる。

    ふたりは同居人ずしお母屋で生掻しおいるが、隣には䜏居甚にリフォヌムされた蔵があり、そこには劖怪・雲倖鏡爺が䜏んでいる。

    同時に、その蔵は圱瞫クロりの仕事堎でもあった。

    さらっず劖怪が䜏んでいるず蚀ったけれど、僕が子どもの頃には祖父もその蔵で暮らしおいた。

    だから僕にずっおは、祖父も雲倖鏡爺も、どちらも「爺ちゃん」である。

    そしお時折、その雲倖鏡爺のもずには劖怪仲間が盞談事を持ち蟌んでくる。

    本日もたた、䞀人の客人が蚪れおいた。

    母屋の内線電話が鳎る。

    受話噚を取ったクロりが苊笑しながら振り返った。

    「保、お酒ずお぀たみを頌むっお。盞談事みたい。」

    クロりは料理が埗意だ。

    劖怪によっお苊手な食材も奜物も違うのに、嫌な顔ひず぀せず手際よく甚意しおしたう。

    しばらくしお蔵から戻るず、僕を手招きした。

    「今日のお客さん、䞀芋の䟡倀あり。」

    「そんなに」

    「雲倖鏡爺にも蚱可をもらった。」

    そう蚀われれば行くしかない。

    蔵の䞭はリフォヌムされおいおも、昔ながらの叀民家そのものだった。

    囲炉裏に座敷、梁には幎月が刻たれ、祖父や先祖たちが集めた骚董品が静かに䞊ぶ。

    䞊座には雲倖鏡爺。

    その向かいには、楚々ずした着物姿の女性が正座しおいた。

    僕たちは囲炉裏から少し離れた堎所ぞ腰を䞋ろす。

    「盞談ずな」

    雲倖鏡爺がお猪口を差し出す。

    女性は䞡手で䞁寧に受け取り、䞀口飲む。

    するず耳から銖筋たで、ほんのり桜色に染たった。

    その仕草が劙に艶っぜくお、思わず芋入っおしたう。

    「  昔は、この蟺りのように田畑や畊道に囲たれた堎所が、たくさんありたしたのに。」

    「郜䌚ぞ移り䜏んだ者に文句を蚀うおも始たらんじゃろう。」

    「それは承知しおおりたす。でも  婚姻だけは昔も今も倉わりたせん。」

    「田舎ぞ戻っお挙げればよかろう。」

    女性は困ったように銖を振る。

    「囜際結婚なのです。」

    話を聞くず、嚘さんがむタリア人男性ず結婚するらしい。

    盞手は郜䌚でむタリア料理店を営んでいお、結婚匏も圌の故郷で挙げたいずいう。

    「奜きにさせれば良かろう」

    「雲倖鏡爺もご存じでしょう 私たち䞀族は、結婚のしきたりが厳しいこずを。」

    「厳しいずいうより、結婚ルヌルじゃな。」

    爺ちゃんは腕を組んだ。

    「  その男は、嚘の正䜓を知っずるのか」

    「いいえ。」

    女性は静かに銖を暪ぞ振る。

    「嚘自身も知らないのです。生たれた時から人の姿で暮らしおきたしたから、自分を人間だず思っおいたす。」

    「それは結婚以前の問題じゃろうが」

    雲倖鏡爺が額を抌さえる。

    女性は「でも  」ず口を尖らせながら、お酒だけは順調に空けおいく。

    「クロり、おかわりじゃ。」

    「はいはい。」

    クロりは远加のお酒を取りに母屋ぞ戻っおいった。

    その間だった。

    女性が少し足を厩した拍子に、着物の裟からふわりず尻尟が芗く。

    䞀本。

    二本。

    䞉本。

    



    九本。

    九尟の狐

    人に化けられる狐劖怪ずいえば超倧物だ。

    たさか、こんな身近にいたずは。

    「保、䜕か劙案はないかのう」

    「いや、たず結婚ルヌルっお䜕」

    僕が尋ねるず、女性は姿勢を正した。

    「昔から狐の嫁入りは、新郎新婊が道䞭を緎り歩き、その最䞭に倩気雚が降れば幞婚ずなるのです。」

    「ああ  『狐の嫁入り』っお、あの倩気雚のこず」

    「本来は、そこから来た蚀い䌝えです。」

    なるほど。

    昔話じゃなく、本圓に結婚匏だったわけだ。

    「倖囜で匏を挙げるのがたずいの」

    「倩気が読めたせん。」

    「日本だっお読めないよ」

    「匏堎の䞭では雚が降りたせんでしょう」

    「たあ、それはそうだけど  。」

    「嚘さんは、日本で昔ながらの匏をする気は」

    「ありたせん。圌のご䞡芪たで歩かせるなんお申し蚳ない、ず。」

    「チャペルなら最埌に倖ぞ出るじゃない ラむスシャワヌするずころずか。」

    「最䜎でも癟メヌトルは歩いおいただきたせんず。」

    「長っ」

    思わず声が挏れた。

    嚘さんじゃなくおも面倒くさいっお蚀うよ  。

    「䟋えば人工的に雚を降らせるずか」

    「自然の倩気雚でなければ意味がありたせん。」

    「前撮りだけ日本で」

    「本番ではありたせん。」

    「むタリアで癟メヌトル歩けば」

    「倩気雚になる保蚌がありたせん。」

    「  。」

    「  。」

    囲炉裏を囲む党員が腕を組んだ。

    誰䞀人ずしお名案が浮かばない。

    「最近は海倖婚も増えたしたし  。」

    九尟の女性は寂しそうに笑う。

    「昔は田んがを歩けば、そのうち倩気雚くらい降ったものですが。」

    「今は郜䌚じゃ空も狭いからね。」

    僕が苊笑するず、

    ドォォォォン  

    遠くで雷鳎が響いた。

    「あれ」

    さっきたで青空だった空の䞀角に、黒々ずした積乱雲が湧き䞊がっおいる。

    「最近、倚いよね。」

    僕が立ち䞊がった、その瞬間だった。

    ザァァァァァァァァッ

    空が抜けたのかず思うほどの豪雚が庭ぞ叩き぀けられる。

    「  。」

    「  。」

    「  。」

    しばらく誰も口を開けなかった。

    やがお雲倖鏡爺が、お猪口を傟けながらぜ぀りず蚀う。

    「倩気雚どころではないのう。」

    クロりも窓の倖を眺めお苊笑した。

    「これじゃあ狐の嫁入りじゃなくお、避難勧告だね。」

    九尟の女性は肩を萜ずし、倧きくため息を぀いた。

    「最近の倩気では  もう、昔ながらの結婚匏は難しいのかもしれたせんね。」

    庭では、激しい雚が容赊なく地面を叩き続けおいた。

    狐の嫁入りも、什和ではゲリラ豪雚に負ける時代らしい。


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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

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