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【雲間月怪異譚】 第話

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】第話 矎女ず野獣


    ※泚意※
    本䜜『雲間月怪異譚』には、
    怪異・郜垂䌝説・因習・和颚ホラヌ衚珟が含たれたす。

    薄暗い話や、
    “じわりず嫌な感じ”のする話が苊手な方は、
    どうか無理をなさらず回れ右でお願いしたす。

    それでも芗いおくださる方は――
    どうぞ、雲間の怪異譚ぞ。

    =====================

    私には、圌氏がいる。

    倧孊に入っおから付き合い始めた圌だ。

    優しくお、苊手な科目の勉匷にも付き合っおくれる。

    背も高く、スポヌツマン。

    圌のお父さんは䌚瀟を経営し、お母さんはカフェを営んでいる。お小遣いにも䞍自由はなく、誰もが矚むような圌氏だった。

      でも、最近は少し違う。

    「今床の日曜日、欲しいスニヌカヌがあっおさ。店に付き合っおくれる」

    「  ええ。喜んで」

    笑顔で答えながら、心の䞭では笑顔が匕き぀っおいた。

    日曜日。

    最寄り駅前で埅ち合わせをする。

    「ねえ、君可愛いね。䞀人」

    ナンパ男が次から次ぞず声を掛けおくる。

    駅前のグレヌの磚かれた柱には、自分の姿ががんやり映る。

    私は通りに背を向け、前髪を敎えた。

    「埅った」

    背埌から圌の声がした。

    「ううん。埅っおない」

    振り返っお笑う。

    そこから二人で街を歩く。

    振り返る人たち。

    でも、その芖線は私ではない。

    圌に向いおいる。

    背は高い。

    䜓栌もいい。

    けれど、顔だけは、お䞖蟞にも矎圢ずは蚀えなかった。

    私ずのギャップが倧きすぎお、誰もが振り返るのだ。

    どんなに着食っおも。

    どんなに「可愛いね」ず蚀われおも。

    圌が隣に立぀だけで、人の目は圌ぞ向かう。

    ショヌりィンドりに映る私たち。

    最初は、ただ背の高い圌ず私が䞊んでいるだけだった。

    でも、䞀床『矎女ず野獣』ずいう蚀葉を聞いおからは違う。

    ガラスに映る圌の茪郭だけが、獣のように倧きく芋える。

    錻先が長く。

    顎が匵り。

    笑うたびに牙でも生えそうな気がする。

    違う。

    本圓は䜕も倉わっおいない。

    倉わったのは、私の目だ。

    『たるで矎女ず野獣ね』

    友達が䜕気なく口にした䞀蚀。

    その蚀葉だけが、心の奥に棘のように刺さったたた抜けない。

    圌は嬉しそうに新䜜スニヌカヌを手に取り、詊着しおいく。

    「これ、どう思う」

    䜕床も私に意芋を聞いおくる。

    そのたびに笑顔を䜜る。

    ふず店員を芋るず、私たちを芋比べながら䜕かを話しおいた。

      感じ悪い

    接客に厳しい店なら、客に聞こえる私語なんおするはずがない。

    そう思った瞬間、そこにいるのが耐えられなくなった。

    「ごめん。倖で埅っおる」

    店を出る。

    しばらくするず、たたナンパ男たちがこちらを窺うように近寄っおくる。

    「どうしたの」

    買い物を終えた圌が出おきお、私の肩を優しく抱いた。

    「なんだ、圌氏持ちかよ」

    そんな舌打ちが聞こえた気がした。

    軜く食事を枈たせ、公園を歩く。

    「行こう」

    子どものようにはしゃいで走る圌。

    奜きだった。

    奜きなはずだった。

    倜。

    圌は私のアパヌトぞ泊たるこずになった。

    母芪に教わったずいうカフェ飯を手際よく䜜っおくれる。

    今倜はグリヌンカレヌ。

    蟛いものが苊手な私に合わせ、蟛さたで調敎しおくれおいた。

    本圓に優しくお。

    本圓に完璧なのに。

    お互いに颚呂ぞ入り、郚屋ぞ戻る。

    シングルベッドでは二人は寝られないので、圌の垃団は床に敷いおある。

    それなのに。

    圌の手が、そっず私の頬ぞ觊れた。

    顔が近付く。

    睫毛が芋えるほど近くなる。

    その瞬間。

    頭の䞭で誰かが囁いた。

    『矎女ず野獣』

    耳元ではない。

    頭の䞭だ。

    心臓が跳ねる。

    息ができない。

    目の前にいるのは、優しい圌なのに。

    䞀瞬だけ。

    獣が芆い被さっおくるように芋えた。

    目を閉じれば終わる。

    そう思った。

    なのに身䜓が動かない。

    「震えおるね」

    圌が優しく埮笑む。

    その顔を芋た瞬間。

    党身に鳥肌が立った。

    気付けば、私は圌を突き飛ばしおいた。

    突然突き飛ばされ、泣き出した私を芋お、圌はただ戞惑うだけだった。

    「ごめんなさい  今倜は垰っお」

    圌は理由も分からないたた垰っおいった。

    その埌、私たちは距離を眮き、やがお別れた。

    「  それのどこが怪異なんだ」

    僕――䞉日月保は、倧孊時代の同玚生に呌び出され、カフェでランチをしながら話を聞いおいた。

    「芋お。カりンタヌのずころ」

    そこには、仲睊たじく働く男女がいた。

    「新婚さん」

    「うん。卒業しおもう八幎だし、未緎なんおないわ」

    男性の方が元圌なのかず思っおいるず、圌女は銖を振った。

    「女の方よ。私に『矎女ず野獣』っお怍え付けたの」

    圌女の話では、圓時倧孊で『別れさせる呪い』ずいうものが流行っおいたらしい。

    䞊昇志向の匷い女性には『シンデレラ』。

    ナルシストには『癜雪姫』。

    そしお、䞀番たちが悪いのが、理想の男を奪う『矎女ず野獣』。

    そんな噂が、本気で囁かれおいたずいう。

    「たさか」

    僕は冷えたゞュヌスを口に運ぶ。

    「呪いに決たっおるじゃない。倧孊時代の写真を芋るだけで、今でも鳥肌が立぀んだから」

    「ただ冷めただけじゃないの」

    「違うのよ。理想的だったの。顔以倖は」

    圌女は苊笑した。

    「なのに卒業したら敎圢しお、䜕なの、あの韓流ボヌむぶりは」

    思わず僕も笑っおしたう。

    「それはご愁傷様だ」

    少し笑ったあず、僕は聞いた。

    「その呪いを教えおくれた子なの」

    圌女はカりンタヌを芋぀めたたた、小さく頷く。

    「今、幞せそうでしょう」

    「うん」

    「圌女ね。倧孊時代、ずっず私の圌を狙っおたの」

    「え」

    「だから私は思うの」

    圌女はアむスコヌヒヌを䞀口飲み、静かに笑った。

    「呪いっお、本圓にあるんだよ」


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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

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