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曲げわっぱの弁当箱、ごはんがおいしく感じるのは木のしくみ|おすすめ3つを紹介

    プラスチックのお弁当箱から曲げわっぱに変えた日、いちばん驚いたのは夫でした。中身はいつもと同じ、卵焼きと鮭とほうれん草のおひたし。それなのに「同じおかずなのに、なんだかおいしそうに見える」と言うのです。わたし自身は見た目より先に、お昼にふたを開けたときのごはんの感じが少し違うことに気づいていました。

    それまで使っていたのは、100円ショップで買い足したプラスチックのお弁当箱でした。軽くて洗いやすくて、それはそれで悪くないのですが、お昼に開けるとふたの内側にうっすら水滴がついていることがよくありました。ごはんの粒がところどころべたついているのも気になっていて、なんとなく「お弁当ってこういうものかな」と思っていたのです。曲げわっぱのことは前から知っていましたが、割れないか、洗いにくくないか、値段に見合うのかと、いくつも疑問があって手が出せずにいました。

    とはいえ、憧れだけで曲げわっぱをすすめるつもりはありません。値段もそれなりにしますし、扱いにくい面もあります。実際、買う前は「見た目重視で、結局続かないのでは」という迷いもありました。今日は、わたしが実際に選ぶ過程で知った「なぜ木のお弁当箱がいいと言われるのか」という理屈の部分と、続けるために欠かせない「塗り」の話を、正直に書いていきます。

    わっぱに詰めると、どうしてごはんがおいしく感じるのか

    曲げわっぱの魅力としてよく言われるのが、木がごはんの余分な水分をゆるやかに含んでくれるので、時間が経ってもべたつきにくいということです。わたしも最初は半信半疑でしたが、お昼に開けたときのごはんの表面がふっくらしている感じは、プラスチックの容器とは違うと感じました。

    もうひとつ、木は湿度を吸ったり吐いたりする性質があるとも言われています。お弁当箱の中の空気がこもりにくくなるので、ふたを開けたときに蒸れたようなにおいがしにくいという声もよく聞きます。これも、わたしの体感としては「たしかにそう」と思う一方で、詰め方やおかずの水分量によっても変わってくるはずなので、木だから絶対に大丈夫、というような書き方はしないでおきます。

    プラスチックの容器は表面がつるっとしていて水分を通さないぶん、余分な水分をどこにも逃がせず、ごはんとふたの間にそのまま留まってしまいます。夫の「なんだかおいしそうに見える」という一言は、見た目の話だと思っていたのですが、あとから考えると、水滴がついていないぶん湯気の立ち方や照りが違って見えていたのかもしれません。

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    大事なのは、この木のしくみが働くのは「木がむき出しになっている部分がある場合」だということです。次の章で書く「塗り」の話は、まさにここにつながってきます。塗りの種類によって、木の呼吸のしかたも、お手入れの負担も変わってくるからです。

    ただ、続けられるかは「塗り」で決まります

    曲げわっぱには、大きく分けて「塗りあり」と「白木(無塗装)」の2種類があります。ここを知らずに選ぶと、続けやすさの面で後悔することがあると、道具を長く使うことをテーマにしたインスタのフォロワーさんから教えてもらったことがあります。

    塗りあり(漆塗りやウレタン塗装など)は、木の表面に膜があるぶん、油汚れやにおいの染み込みに強く、気負わずに洗えるのが利点です。から揚げのような油ものを入れても、すぐに洗えばそれほど神経質にならなくてよい、というのが実際に使ってみた感覚です。木のしくみをすべて生かしきれるわけではありませんが、日々続けやすいのはこちらだと思います。

    一方で白木(無塗装)は、木そのものが呼吸をしている状態なので、調湿の働きはいちばん素直に感じられます。ただし、使うたびにすぐ洗って、しっかり乾かすところまでが手入れの一部です。濡れたまま放置したり、洗剤を強くこすりつけたりすると、木が傷んだり黒ずんだりしやすいとも言われています。

    そしてどちらの塗りであっても、木製の曲げわっぱは基本的に食洗機や電子レンジは使えません。塗りがあるからといって食洗機にかけられるわけではなく、高温や強い水流で木が反ったり塗りが傷んだりする可能性があるためです。ここは正しく知っておいたほうがいい部分だと思うので、はっきり書いておきます。あたためが必要なおかずは、詰める前にきちんと冷ましておくか、別の方法を考える必要があります。

    値段の違いも、この塗りと関係しています。塗りのあるものは職人さんが漆やウレタンを塗り重ねる工程がひとつ増えるぶん値段が上がると思われがちですが、実際には白木のもののほうが高いことも多いです。曲げわっぱそのものが、薄く削った木の板を熱で曲げて、桜の皮で綴じるという手作業の工程を経ています。塗りをかけない白木は、この木地そのものの木目や質を隠せないので、より上質な木材が選ばれやすい、という話を聞いたことがあります。

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    正直に言うと、わたしも白木に憧れがなかったわけではありません。それでも、はじめの一台に選んだのは塗りのあるものでした。理由は単純で、毎日続けられる自信が、そのときのわたしにはなかったからです。

    まず気負わず、毎日使うなら「塗り」のわっぱ

    続けやすさを優先するなら、はじめの一台は塗りのある曲げわっぱをおすすめします。わたしが実際に選んだのは、夫の平日のお弁当箱としてでした。

    みよし漆器本舗 曲げわっぱ弁当箱 高背小判 漆塗り 700ml

    天然木製の本体に漆塗りが施された、高さのある小判型の一段弁当箱です。サイズは約17.5×13×高さ6cmで、容量は700ml。高さがあるぶん、ごはんとおかずを立体的に詰めやすく、揚げ物のような背の高いおかずも気にせず入れられます。漆塗りは表面がしっとりとした質感で、洗うときも布で拭くとすっと水気が取れる感じがして、忙しい朝には助かっています。夫からは「におい移りが気にならない」という感想をもらいました。価格は2,831円で、はじめての木のお弁当箱として、思い切れる範囲だったのも選んだ理由のひとつです。

    仕切りのない一段タイプなので、おかずカップを使ったり、レタスなどの葉物で仕切ったりして詰めています。最初は仕切りがないことに少し不安もあったのですが、慣れてしまえば自由に詰められるぶん、その日の残り野菜も気軽に足せるようになりました。

    もうひとつ、仕切りがあると詰めやすいという声も聞きます。子育て支援センターで知り合ったママ友は、家族が多く週末にまとめて作り置きをする人なのですが、彼女が愛用しているのは仕切り付きのタイプでした。「ごはんとおかずが混ざらないから、汁気のあるものも安心して入れられる」と話していて、なるほどと思ったのを覚えています。

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    山家漆器店 曲げわっぱ 700ml 紀州塗り 天然杉 仕切り付き

    和歌山県海南市の紀州漆器の産地から届く、天然杉を使った曲げわっぱです。サイズは約17.5×13×高さ6cm、容量は700mlと、先ほどのみよし漆器本舗のものと同じくらいのサイズ感ですが、こちらはT字型の仕切りが付いているのが大きな違いです。ごはんとおかずのスペースがあらかじめ分かれているので、詰める順番に悩まずにすむと、そのママ友は話していました。ゴムバンドと説明書も付属しているとのことで、持ち運びのしやすさにも配慮されているようです。天然杉は軽さも魅力で、荷物が多い日のお弁当持参でも負担になりにくいそうです。もちろんこちらも、食洗機と電子レンジは使えないタイプなので、そこは同じように気をつける必要があります。

    価格は4,000円。仕切りがあるぶん、みよし漆器本舗のものより少し高くなりますが、「毎朝おかずの配分を考えなくていいのが、思っていた以上に楽だった」というママ友の言葉が印象に残っています。詰める順番に迷いがちな人には、はじめから仕切りのあるタイプのほうが向いているのかもしれません。

    どちらも塗りのある曲げわっぱなので、そこまで神経質にならずに使えるのが共通点です。仕切りがあったほうが安心できる人か、自由に詰めたい人か。そのくらいの基準で選んでもいいのだと思います。

    いつか迎えたい、産地の一生もの

    正直に書くと、無塗装の白木のわっぱは、手入れの手間を思うと、日々のお弁当作りの中でまだ向き合いきれる自信がありません。実家の母は、昔ながらの無塗装の秋田杉のわっぱを何年も大切に使っていて、白木の良さをよく知っている人ですが、わたしはもう少し、扱いやすいものから始めたいと思っています。それでも、いつかは産地のしっかりしたものを一台、と思いながら見ているのが、この大館工芸社の小判弁当です。

    大館工芸社 小判弁当(中)640ml 秋田杉

    秋田杉を使った、大館曲げわっぱの小判型です。サイズは約18.8×12×5.8cm、容量は640mlとやや小ぶり。木目の美しい秋田杉を薄く削り出して、桜の皮で綴じるという手仕事でつくられていて、国が指定する伝統的工芸品にもなっているそうです。表面にはウレタンの塗装がかけてあるので、無塗装の白木そのものよりは手入れがしやすく、油ものの色移りやにおいにも神経質になりすぎずにすみます。木の美しさを残しながら、毎日使う道具として扱いやすいように仕立てられている——そのあたりが、値段の7,600円という、先ほどの2台よりひとまわり高い理由なのだろうと思っています。

    母の無塗装のわっぱは、もうずいぶん長く使われていて、木の色がわずかに飴色がかってきています。使い込むほどに表情が変わっていくのも、木の道具ならではだと思うと、道具というより育てていくもののように見えてきます。塗りのある大館のものも、長く付き合ううちに、きっと少しずつ手になじんでいくのだろうと思います。

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    母は、使い終わったらその日のうちにすぐ洗って、伏せずに風通しのいい場所で乾かすことを、もう何年も続けています。「面倒だと思ったことはないの」と聞いたら、「洗い物のついでだから」とあっさり言われました。特別なことをしているというより、習慣として体に染みついている様子でした。とくに母の使っている無塗装のわっぱは、この乾かすところまでが手入れの一部です。わたしにとっては、まだ少し先の目標という位置づけ。塗りのわっぱで木のお弁当箱に慣れてから、いつか迎えたい一台です。

    洗って、乾かすまで|カビを出さないための小さなコツ

    塗りのあるなしに関わらず、木製のお弁当箱を長く使うコツは、結局のところ「ためない」ことに尽きると感じています。帰ってきたら、なるべくその日のうちに洗うこと。水につけっぱなしにしないこと。洗ったあとは、ふたと本体を重ねずに、それぞれ風通しのいい場所で乾かすこと。この3つを守るようにしてから、においやカビで困ったことはありません。

    洗剤は、香りの強すぎないやさしいものを選ぶようにしています。スポンジも、木の目に沿ってこすると洗いやすく、逆にごしごしと力を入れすぎると、塗りのない部分に傷がついてしまうことがあるようです。梅雨の時期は部屋干しの生乾きと同じで乾きが遅くなるので、洗ったあとは布巾で水気をひと拭きしてから乾かすようにすると、心なしか早く乾く気がしています。

    以前、SNSで知り合った方から「曲げわっぱにカビが出てしまった」というメッセージをもらったことがあります。詳しく聞くと、洗ったあとにふたを閉めたまま棚にしまっていたそうで、湿気がこもってしまったのが原因だったようです。木は水分を含んでくれる分、閉じ込めてしまうと今度は乾きにくくもなる、ということなのだと思います。

    油ものを入れたときは、直接わっぱに触れないようアルミやシリコンのカップを使うのも、においや汚れの移りを抑えるちょっとした工夫です。カレーやミートソースのような色移りしやすいおかずも、同じように別容器に入れてから詰めると安心です。台所の道具を長く使うために、わたしが日ごろか
    ら心がけていることについては、以前の記事でも少し詳しく書きました。よかったら読んでみてください。

    洗って、乾かして、また明日詰める。それだけのことですが、木のお弁当箱と付き合っていくというのは、案外こういう地味な積み重ねなのだと感じています。プラスチックのころは、洗って食器かごに放り込んでおけば終わりでした。それに比べると手間はたしかに増えましたが、面倒だという感覚とは少し違っていて、むしろ毎日のちょっとした儀式のようになっています。

    木のしくみを知って、続けやすい塗りを選んで。それだけで、お昼にふたを開ける瞬間が、前より少しだけ楽しみになりました。憧れの白木は、もう少し先でいいと思っています。それでも母のわっぱの色を見るたびに、いつか自分もあんなふうに使い込んでみたいと思っています。

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    夫と小さな子どもと暮らす30代。テーマは「丁寧で、住みやすい暮らしづくり」です。安いものを次々に買い替えるより、選び抜いた良いモノを長く大切に使いたい。暮らしの中で「これは良かった」と思えたものを、わたしの目線でそっとおすすめしていきます。

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