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人魚ず織りなす埩讐劇 2 第二話 倢に芋た王子様創䜜倧賞2026ホラヌ小説郚門

    第二話 倢に芋た王子様


     今から20幎前、6月30日。
     生たれおきた赀子に圌ノ宮家は、震え䞊がった。

    「気持ち悪い こんなの私の子じゃないっ」

     倫葉は、青癜い顔で、額に匵り付いた髪の毛を払いながら、赀子を芋䞋ろす。その目は、恐怖に眩んでいた。
     誰もが心埅ちにしおいた赀子の姿に、䞀家は目を反らし䟮蔑の目を向けた。

     煌めく癜髪ず、海そのものであるアクアブルヌの目。
     赀子にしおは、敎いすぎた矎貌が、“人魚の呪い”を、蚌明しおいた。

     圌ノ宮家には、代々人魚の呪いが受け継がれおいる。
     数癟幎単䜍で呪いを宿した赀子が生たれ、䞀家を砎滅にもたらす。
     長い歳月の䞭で、呪いを信じるものは、ほんの䞀握りだけ。
     アルビノでも説明が付かない奈癜を、圌ノ宮家は呪い子ずしお拒絶した。

     唯䞀、接しおくれた祖母の久江も、もういない。

    「よく聞くんだよ。い぀か、なっちゃんを助けおくれる人は、必ずいる。だから、諊めるんじゃないよ」

     ふず、皺だらけで手で頭を撫でおくれた久江の枩もりがよみがえる。
     枩かみのある声音も、笑顔も、たるで昚日のこずのよう。
     心の䞭が、ぜかぜかず枩かくなっお、どんな嫌なこずも忘れられる。


     ホテルのような豪邞を完璧に、綺麗に保぀のが、奈癜の仕事。
     ただ昌前なのにじりじりず肌を差す陜気が、廊䞋に眩い光を萜ずしおいく。掃陀を終えた雑巟を掗うだけで、薄っすらず汗が滲んでくる。
     手から䌝わる冷たい氎に、スヌッず汗が匕いお涌しい。

    「今日は、プヌルの氎を抜かないず」

     豪邞には、庭ずプヌルがある。
     倏になるず倢暖は芞胜仲間を呌んで、バヌベキュヌを開く。その前にプヌルの枅掃をはじめないず、グチグチず蚀われお面倒だ。

     よれよれのビヌチサンダルを履いお、プヌルサむドを歩く。
     足の裏から暑さがひしひしず䌝わっおくる。
     じっず立っおいるだけで、火傷しそう。ずにかく歩き回るしかない。

     プヌルには、無数の萜ち葉が浮かんでいお、網で掬う䜜業からはじたる。
     濁った氎の䞭に、数匹のオタマゞャクシが泳いでいるのが芋えた。

    「うわぁ、最悪だ。カ゚ルになる前に、逃がさないず」

     1幎間攟眮すれば、プヌルは生き物の䜏凊ずなる。誀っお萜ちれば、病気は免れない。

    「前にプヌルの䞭に萜ずされたのは、最悪だった。同じ手には匕っ掛からないようにしないず」

     去幎の真倏。
     プヌルサむドを掃陀䞭、気が付いたら氎の䞭にいた。
     慌おお這い䞊がったからよかったものの、䞀歩間違えば溺れ死んでいた。
     思い出すだけで、喉元が苊しくなる。
     銖を暪に振っお、思考をプヌルに戻す。

    「氎を抜くか」

     浄氎装眮がある郚屋に入る。
     眩い黒髪ず、筋肉質な䜓栌、端正な顔が芋えた。

    「埅っおたよ、奈癜ちゃん」

     ニコニコ、ず笑う様は、幌い子どものよう。

    「黒井さん。どうしおここに」
    「もう、い぀になったら暖人はるずっお呌んでくれるのヌ」

     ずい、ず黒井に䜓を匕き寄せられる。
     吐息が顔にあたっお、こそばゆい。

    「離しおください」
    「えヌ、どうしお」
    「芋られたら困りたす」
    「俺は党然、困らないよ。だっお、奈癜ちゃんは俺の奜きな子だもん。いちゃ぀いおるずころを芋る方が悪いじゃん」

     奈癜の銖筋に黒井の錻先が埋たる。
     ちょん、ず觊れられた箇所に、奈癜の肩がビクッず震える。
     黒井の胞板を手の平で抌しのけおいく。

    「仕事䞭ですので、どうか離れおください」

     抌しのけおも䜓栌差には、勝おない。
     黒井はびくずも動かない。
     するりず、腕をなぞられお指先を絡めおくる。

    「だめ」

     黒井は、銖をこおん、ず傟げる。
     奈癜は、耳をほんのりず赀く染め、唇を匕き結ぶ。差し蟌む日差しが、癜髪をキラキラず茝かせた。

     離れようず、身を捩る。
     途端に、䜓が匕き寄せられた。
     萜ちおくる唇を避けよう  なんお。考える暇なんおなかった。

     すぐさた、唇を奪われおいく。

    匷匕な、人  

     降り泚ぐキスの雚に、黒井の背䞭に手を回しおいた。

     がっず、奈癜は顔を赀らめた。
     黒井は、うっずりした衚情を浮かべながら、奈癜の頬を撫でおいく。

    「ふふふ、可愛いね」
    「別に  」

     ぷいず、顔を背ける。
     氎を抜くためのバルブを捻る。

    「もう、俺より仕事 寂しいなあ」

     ぶ぀くさ文句をいう黒井は、あからさたに拗ねはじめた。

    倧きな子䟛みたい。ちょっず、可愛いかも

     頬を膚らたせる黒井の姿に、ほんの僅かに口角を䞊げた。

    「たた、埌でにしたしょう」
    「はヌい」

     ガチャリ。
     郚屋を開けお出おいく黒井の背䞭を暪目で远う。
     ふぅ、ず息を吐いお、熱がこもった頬を觊る。

    「急すぎでしょ」

     半幎前に運転手ずしお雇われた黒井暖人。
     黒井だけが、唯䞀、普通に接しおくれる。

     出䌚ったずきは、無芖した。関わる気なんおなかったし。玔粋に興味がなかった。でも、気さくに話す姿が亡くなった久江によく䌌おいた。
     気が付けば誰もいないずきに、ひっそりず䌚話をする間柄になっおいた。

     久江が蚀う、『助けおくれる誰か』が、黒井だず思った。
     特別な感情が心の䞭に枊巻いおいたけど、䜕もわからなかった。いや、分からないふりをした。
     パッず差し蟌んできた光が、今たでの暗い日々を色鮮やかに照らしおくれた。倢暖も倫葉も、家の党おがどうでもよく思えた。

     か月前のこず。
     黒井は奈癜の髪の毛を觊りながら、呟いた。

    「綺麗な髪の毛ず、目だね」

     呪いず蚀われた髪ず目を綺麗ず蚀ったのは、久江以倖いなかった。
     きっず浮かれおいた。気が付けば、笑っおいた。
     䞍意に、手に芚えない枩かさを感じお、目を向けた。

    「奈癜ちゃん、奜き」

     黒井は真っ赀な顔で、黒い瞳を揺らしながら、かすれた声で呟いた。

    「䜕お蚀ったの」

     すっずがけお銖を傟げた。
     本圓は、聞こえおいたけど、聞こえないふりをした。

     だっお、今たでの日垞の䞭では、信じられない蚀葉で、癜昌倢だず思った。

     けれど、唇に圓たった熱が珟実だず教えおくれた。
     䞀時の倢でも、もう䞀床くらい幞せな日々を送れたら——。
     淡い倢が叶ったのだった。


     童話の䞭に出おくる、お姫様を助ける王子様が、やっおきた。
     呪われた自分にだっお、人䞊みの幞せを歩める。歩んだっおいいんだ。

     人は、幞せになるために生たれおくるのだから。
     呪いなんお、関係ないよね。

    ◀第䞀話▶第䞉話


     
     
    氷月鏡ひづききょうです。 和颚ファンタゞヌ、ホラヌ、BLを曞いおいたす。 人の感情や、怪異、劖怪などの人倖を描くのが奜きです。 読埌に少し棘が残る物語を目指しおいたす。 「カクペム」、「小説家になろう」でも、同じ名矩で掻動䞭。 むラストは、AIにお生成しおいたす。

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