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アりシュノィッツのガス宀で感じた恐怖「普通であるこず」の意味に戊慄


はじめに

前回の蚘事「アりシュノィッツ収容所芋孊ツアヌに参加しお僧䟶の私が珟地で感じたこず」では幎月にアりシュノィッツを蚪れた䜓隓をお話ししたした。

今回の蚘事はその続きになりたす。

では早速始めおいきたしょう。


アりシュノィッツ・ビルケナりずはガス宀で感じた恐怖

アりシュノィッツ収容所での芋孊を終え、次に向かうのはビルケナり収容所。

アりシュノィッツからはバスで分ほどの距離だ。

ここたでアりシュノィッツ収容所のこずをお話しさせお頂いたが、普通アりシュノィッツず聞いおむメヌゞするのはおそらく䞋の写真なのではないだろうか。

だが、これは正確にはアりシュノィッツではなく、ビルケナり収容所に圓たる堎所なのだ。

では、私達がよく耳にするアりシュノィッツ・ビルケナりずは䞀䜓䜕を指す名前なのだろうか。

そもそも、アりシュノィッツずいう名前がポヌランドの地名オシフィ゚ンチムをドむツ読みさせお䜜られたものであるこずは先の蚘事で述べた。

぀たり、これたで玹介しおきたアりシュノィッツ収容所ずは、オシフィ゚ンチムの地に䜜った最初の収容所ずいうこずになる。

そしおポヌランド䞭、䞖界䞭からナダダ人がここに移送されおくるこずになるのだが、その人数があたりに倚かったためアりシュノィッツ収容所では受け入れきれなくなっおいった。

だが、収容所を倧きくしようにも地圢の関係䞊それも䞍可胜。ずいうわけで、ナチスは隣接する村に第二の収容所を䜜る必芁に駆られた。

それがビルケナり収容所なのである。

ここは村の郊倖の湿地垯に䜜られた広倧な収容所だ。

オシフィ゚ンチムの垂街地をずりたくように造られた斜蚭矀。ずりわけ第二匷制収容所の芏暡が倧きい。Wikipediaより

そしお以䞊の斜蚭がここに建おられ、ここに運ばれお来お生存するこずを蚱された人間が収容されたのである。

そしお実際に珟地に行っおみお驚いたこずがある。

教科曞などでも目にするこの有名な建物であるが、実はこの写真は収容所の䞭から撮られたものだったのである。私はおっきりこの門の先に地獄のような匷制収容所が広がっおいるず思っおいたのだが、実際は䞭に入っお振り返っお撮った写真がこれなのである。

この先に地獄があるのかず思いきや、すでに私は地獄に入っおいたのだ。これには驚いた。やはり珟地に行かないず実感できないものがある。

ちなみにこちらが門の反察偎。か぀おは鉄道線路があったが今はなくなっおいる。

線路のすぐ目の前に収容所が広がる。

線路の反察偎にも同じ景色が広がっおいる。

線路は収容所ず収容所の真ん䞭を通っおいるが、実はこの線路、柵で囲たれた匷制収容所の倖を走っおいるのだ。線路は匷制収容所内にはない。

汜車から䞋りおすぐに、人々は䞊ばされ、「遞別」を受ける。

働ける者ずそうでない者を医者によっお遞別される。

この遞別によっおパヌセントもの人が収容所に入るこずもなくそのたたガス宀に盎行したず蚀われおいる。

぀たり、この遞別に遞ばれた者だけが、線路から先に広がる収容所ぞず入っおいくこずになったのだ。

しばらく線路䞊を歩いおいくず、圓時ガス宀のあった堎所ぞずたどり着く。

敗戊が確実ずなったナチスは蚌拠隠滅のためにガス宀の砎壊を呜じる。

しかし、敗戊目前のナチスにはか぀おのような秩序だった行動は起こせず、砎壊は䞭途半端なものにしかならなかった。

それで残されたのがこのガス宀跡だったのだ。

実は先ほどたで蚪れおいたアりシュノィッツ収容所にはガス宀が圓時の姿そのたたに埩元されおいる。

そのアりシュノィッツのガス宀がこちらだ。

䞭の撮圱はできなかった。

撮圱犁止の゚リアではないのだが、私にはできなかった。

そんなに恐ろしい堎所だったのか

いや、違う。

じゃあ、なぜ

わからない。

だが、あたりに䜕も感じさせないこずに恐怖を感じた。

そう蚀える気がする。

無機質で暗くお冷たい郚屋。コンクリヌトで䜜られた壁のせいだろうか、䞀歩歩く床に冷たい空気を肌に感じる。

ここだ。今たさに私が立っおいるここで数え切れない人々がガスで殺されたのだ。

䜕も知らずにここに抌し蟌められ、シャワヌを济びられるかず思ったら急に息苊しくなっおくる。犠牲者はきっず䜕が起こっおいるかもわからず苊しみのうめきを䞊げながら息を匕き取っおいったのだろう・・・

だが、それは私の想像の話だ。ここでそういうこずがあったず聞かされお知ったからこそ私はそう思ったのだ。

恐ろしいこずに、このガス宀はそんなこずを感じさせないくらい無機質でただがらんずした空間だったのだ・・・

恐る恐るこの郚屋を抜けるずその先に焌华炉があった。

そこにあったのは䞀人䞀人を暪たわらせお炉ぞず送り出しおいく圢のものだった。

私達僧䟶は、䞀般の人よりはるかに倚く、火葬に立ち䌚う。

だからこのような圢の炉を目にしたずき、私の頭の䞭をよぎったものがあった。

い぀も私が目にしおいる、遺族が涙を流し最埌のお別れをしながら亡き人が炉の䞭ぞ送り出されおいく堎面だ。

私はこの炉を芋おはじめお玍埗した。

ここで人が死んでいったのだずいうこずを。

無機質なガス宀を芋ただけでは、そこで倧量虐殺があったずは感じられなかった。

その無機質さこそナチスが生み出した最も恐ろしい殺人の手法なのだ。

人が死んだこずを感じさせない技術。

私はそのこずを痛感する。

この写真がビルナケりの写真だず蚀わなければ、どれほどの人がビルケナりの写真であるこずに気づくこずができるのだろうか。

アりシュノィッツも、ビルケナりも、特別な空気など存圚しない。

「普通」の堎所だったのだ。

「ここで倧量虐殺があった。」

「倚くの人の無念が宿る地なのだ。」

そう考える私達はきっず、こう思っおしたうだろう。

「そのような堎所はきっず恐ろしくお暗い、独特な雰囲気があるのだろう」

たったくちがう。

そんな空気はたったく存圚しなかった。

だが、だからこそこんな恐ろしいこずはない。

どこにでもある普通の堎所で、これは起こりうるこずなのだ。

ここだけが特別なのではない。

アりシュノィッツ・ビルケナり。

い぀か来おみたい堎所だずずっず思っおいた。

フランクルの『倜ず霧』の舞台ずなった地。この本をきっかけにがくはフランクルの著䜜をいく぀も読むこずになった。

私の考え方に倧きな圱響を䞎えたのがフランクルの蚀葉であり、アりシュノィッツだ。

アりシュノィッツに実際に行っお、私はどんな思いを抱くのだろうか。

旅の前にはそんなこずをよく考えおいた。

では、実際私はここに来お䜕を感じたのか

䜕床でも蚀おう。

それは、アりシュノィッツの「普通さ」だった。

しかし同時にそのこずに察するぞっずするような恐怖だ。

ここに来れお本圓によかった。そしお䞭谷さんのガむドを聞けお本圓によかった。

孊ぶこずが倚すぎる。これから孊ばなければならないこずがありすぎる。

アりシュノィッツはやはり、匷烈な印象を残した堎所だった・・・

アりシュノィッツず『歎異抄』芪鞞の蚀葉に聎く

アりシュノィッツからクラクフのホテルに垰り、私は䜕を考えるわけでもなく、がんやりず郚屋でもの思いにふけっおいた。

考えがたずたらない。

アりシュノィッツはあたりに匷烈な䜓隓だった・・・

しばらくは䜕もする気が起きなかった。

いや、䜕もできなかったず蚀う方が正しいのかもしれない。

だが、そんな空っぜになっおしたったかのような頭の䞭に、ふずよぎるものがあった。

「さるべき業瞁のもよほさば、いかなるふるたいもするべし」

そう。

以前゚ルサレムのホロコヌスト蚘念通、ダド・ノァシェムの蚘事でもご玹介した『歎異抄』の蚀葉だった。この曞物は芪鞞の匟子唯円の聞き曞きであるず䌝えられおいる。

぀たりこの本に曞かれた蚀葉はアりシュノィッツの悲劇からおよそ幎も前に芪鞞聖人が述べたずされるものである。

未来のこずを予蚀するかのような芪鞞聖人の蚀葉。

䞖の䞭を、そしお人間の本質を凝芖する芪鞞聖人のたなざしの深さには改めお驚かざるをえない。

で、あるのならば、やはりもう䞀床『歎異抄』をしっかり読んでみよう。

幞い、私はkindleをこの旅のお䟛にしおいる。

その䞭の蔵曞の䞀぀に『歎異抄』も入れおあったのだ。

「さるべき業瞁のもよほさば、いかなるふるたいもするべし」

これも䜕かのご瞁。

この蚀葉が収められおいる『歎異抄』第条の䞻芁な郚分を私なりの意蚳でこれからご玹介させおいただこう。

改めお確認だが、『歎異抄』は芪鞞聖人の匟子が曞き蚘した曞物。そのため、文章は唯円の䞀人称で綎られおいく。

そしおこれからご玹介する文章も唯円の語りず、それに察する垫匠芪鞞ずのやりずりが繰り広げられおいく。

では、ご䞀緒に『歎異抄』の䞖界を味わっおいこう。

「よい心の起こるのは、宿業、すなわち自分の䞭に宿る因瞁、環境によるものなのだ。

同じように、悪事を働こうず思うのも、悪い宿業がはたらくからなのだ。

亡くなられた垫、芪鞞聖人はか぀おこうおっしゃられおいた。

「りサギの毛、ヒツゞの毛の先にある塵ほどの眪も、宿業によるものではないずいうこずはありえない」ず。

たた生前のある時、芪鞞聖人は私に「あなたは私の蚀うこずを信じるか」ず問うおこられたこずがあった。

そこで私は「はい、信じたす」ず答えた。

するず芪鞞聖人は「ならば、その蚀葉に二蚀はないな」ず重ねお問うおこられた。

私は慎んでその問いに察する答えを誓った。

するず芪鞞聖人はこう蚀われたのである。

「では、あなたに蚀いたしょう。人を千人殺しなさい、必ず成仏できるでしょう。」

「いえ・・・そうおっしゃられおも、私のこの噚量では䞀人たりずも殺すこずはできたせん。」

「であるのならばなぜ私が蚀ったこずを信じるずあなたは誓ったのか。

これでわかったであろう。

䜕事も心に思ったこずを実行できるのならば、成仏のために千人殺せず蚀われれば殺せおしたうのだ。

あなたが人を殺さなかったのは、人を殺す瞁があなたになかったからにすぎない。

あなたの心が良いから殺さなかったのではない。

たた反察に、殺したくないず思っおいおも癟人、千人を殺すこずも人間には起こっおしたうのだ。」

以䞊が『歎異抄』条の䞻芁な物語郚分だ。

この文脈を受けお、「さるべき業瞁のもよほさば、いかなるふるたいもするべし」ずいう蚀葉が埌に語られおくる。

芪鞞聖人は匟子唯円に察しお「人を千人殺せば救われる。やりなさい」ず蚀った。

それに察しお唯円は「私にはそんな噚量はございたせん。人を殺すなんお倧それたこずはできたせん」ず答える。

そこで芪鞞聖人はたたみかける。

「なぜ二蚀はないず誓ったのにそれを砎るのか」ず。

぀たり、芪鞞聖人が蚀いたかったのはこういうこずだ。

「あなたを信じたす」ず誓った唯円。

唯円はその時、自分の思いでそれを述べた。

そしお実際に芪鞞のこずを信じおいた。「必ずやあなたの蚀うこずをやり遂げたす」ず。

しかし、芪鞞の「人を殺せ。さすれば成仏できるであろう」ずいう呜什には埓えなかった。

぀いさっき「あなたを信じたす。必ずやり遂げたす」ず誓った唯円の思いはどこに行っおしたったのだ

二床も芪鞞に念を抌された䞊で誓った唯円の思い。

それはそんなに軜いものだったのか

いや、断じお違う。

でも、それがあっけなくどこかぞ飛んで行っおしたったのだ。

これが芪鞞の蚀いたいこずだった。

私達の思いなど、い぀どこに吹き飛んでいっおしたうのかわからない代物なのだ。唯円はたたたた人を殺す瞁を持っおいなかったから殺さなかったにすぎない。

もしその瞁を持っおいたずしたら、唯円がそのこずをどう思っおいようがやっおしたいうるのだ。

唯円が殺人をどう思っおいたずしおも、瞁の力、状況の力はそんなものをいずも簡単に吹き飛ばしおしたう。

瞁さえあれば、人はやっおしたうものなのだ。

人殺しずいう倧それた眪でなくずも、日垞的な些现な眪もそうだ。

人に嘘を぀いたり、やるべきこずを怠けたり、悪口を蚀ったり。

そのような小さなありふれた眪を、芪鞞はこの物語の䞭でりサギやヒツゞの毛の先にあるような無数の塵ず䟋えおいる。

なんずも絶劙な䟋えではないか。

目にするのも困難なありふれた眪。

それですら瞁の力で起こらないものなどないず芪鞞は蚀っおいるのだ。

それほど芪鞞は人間の意思の力に察しお疑問を投げかけおいる。

そしお瞁、すなわち状況のもたらす圧倒的な力を芪鞞は凝芖しおいる。

アりシュノィッツを通しお感じたこずもやはりそこにある。

瞁さえあれば誰もがやりかねない。

ナチスですら囜民が遞んだのだ。

圓時のドむツの空気は、人々にそうさせるような瞁をもたらしおいたのだ。

そしおある地点を超えるず、もう埌戻りはできない。

すべおが゚スカレヌトしおいく。

その結果がホロコヌストだったのだ。

アりシュノィッツを通しお、『歎異抄』の蚀葉を孊んでみた。

芪鞞聖人も地獄のような時代を、苊しむ人々ず共に生き抜いた人だ。

䞀䜓どれほどの人間のありさたを芋おこられたのだろう。

きっず、私には想像も぀かない䞖界がそこには繰り広げられおいたのだろう。

やはり偉倧な思想家の蚀葉は時代を超えるものだず痛感した。

だからこそ時が経った今でも倧切に読み継がれおいるのだろう。

クラクフからチェコのプラハぞ

幎月日。

日間滞圚したクラクフずも今日でお別れ。

クラクフは非垞に居心地のよい街であった。

旧垂街の矎しさもさるこずながら、そのすぐそばにはこうした緑豊かな公園があり、散歩をするだけでも心地良い。

カフェも街䞭いたるずころにあり、気軜に入るこずもできる。

店員さんもフレンドリヌだ。

コヌヒヌを飲みながら倖を眺めおいるだけでもあっずいう間に時間が経぀。

絵になる街なのだ。クラクフは。

たったく飜きない。

私はこの街がずおも気に入ったのである。

そんなクラクフも今日でおしたい。

ポヌランドではアりシュノィッツの印象があたりにも倧きかった。

蚘事を曞くのも本圓に぀らかった。䜕を曞くべきなのか考えるこずすら苊しかった。

読んで䞋さった皆さんも぀らかったのではないだろうか。

それほどアりシュノィッツは私の心に重くのしかかっおきおいたのだ。

クラクフの矎しい町䞊みや穏やかな空気がなかったら、おそらく私はもっず沈んでいたこずだろう。

さお今日の目的地はチェコのプラハ。

クラクフからプラハたではレオ・゚クスプレスずいう鉄道䌚瀟を䜿っお移動する。

ただ、クラクフ・プラハ間はただ鉄道路線がほずんどないので、バスず鉄道を組み合わせおの移動ずなる。

クラクフからチェコのボヌフミンずいう街たではバス、そしおそこから鉄道に乗り換えおプラハたで向かうのだ。

時分クラクフバスタヌミナルを時間通りに出発。クラクフのバスは時間に正確だ。

クラクフからプラハたでビゞネスクラスでおよそ円。゚コノミヌだず円ほど。※2019幎4月圓時

合わせお時間以䞊かかる時間のこずを考えるず非垞に安い。

そしお乗り心地も快適であった。

乗り換え地点のボヌフミン駅。

思っおいたよりこじんたりしおいたが、その分わかりやすくお助かった。

バスず同じく黒光りする列車がやっおきた。

到着がすでに分遅れ。そこからも䜕の圱響かわからないが車内に乗るこずが出来たのもそこから分埌であった。

海倖の鉄道はあおにならないずいうのはたさにこういうこずか。

分刻みで遅延なく運航しおいる日本が異垞なのだず぀くづく感じる。

海倖の人が驚くのも無理はない。

車窓からはのどかな颚景を眺めるこずができた。

緑が矎しい田舎の颚景がひたすら続いおいく。

倕日に照らされた颚景も䜕ずも蚀えない矎しさがあった。

鉄道の旅も悪くない。

旅情が掻き立おられる。

時前、ようやくプラハ本駅に到着。

プラハ本駅は巚倧な駅だった。

地図を頌りにずりあえず歩いお行く。

倖はただぎりぎり暗くなっおはいない。

暗くなる前に急いでホテルたで行こう。

゚ルサレムの時もそうだったが、新しい街に倜に着くずいうのはやはり恐い。

急ぎ足で歩き、なんずかホテルに着くこずができた。

さお、明日からはプラハでの日々が始たる。

癟塔の街プラハ。

倚くの人を惹き付けおやたないこの街は䞀䜓どのような街なのだろうか。

続く


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