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PROTOTYPE 29 : 綻びから突破口へ —鉄の巨獣の業と水流の妖力—

    レミントンM700から放たれた4発目の銃弾は
    神の指先が触れたかのような精度で、Type-Saurus01(タイプ-サウルス01)の左膝裏の最後の一本のボルトを弾き飛ばした

    火花と共に厚い装甲が剥がれ落ち、鈍く光るオイル注入口が露わになる

    「お七!こじ開けろ!」

    NEONの鋭い声が戦場に響き緊張感が走る
    しかし、その背後から即座に飛んできたのは、
    落ち着き払った、タオの一言だった

    「NEON、言葉使い!」

    狙撃姿勢を解きながら叫ぶタオの声に、NEONは一瞬だけ口を噤んだ

    ……だが、今は止まっている暇はない
    Type-Saurus01は自らの死期を悟ったかのように、断末魔の咆哮を上げ、巨大な体を激しくのたうち回らせる

    鉄を削る凄まじい振動
    「これ以上は、好きにさせんッ!」
    再び、巨漢ホーセンが咆哮した

    全身を鋼のように硬直させ、跳ね回る巨大な尾を力任せに地面へと押さえつける

    その隙を、お七は見逃さなかった
    左脚にしがみつき、遠心力に振り回されながらも必死に右手を伸ばす

    指先がオイルキャップに掛かり、渾身の力でそれを引き抜いた

    「これでも、食らえ!」

    お七の右人差し指に、紅蓮の炎が宿る
    それを躊躇なく、露出した注入口へと差し込んだ!

    直後、内部のオイルに引火
    左膝裏から激しい火柱が吹き上がり、鋼鉄の関節がドロドロに溶け始める

    NEONが動いた!妖刀・村正に手を掛ける!
    禁忌の呪符を指先で弾き、一気に引き抜いた

    「倶利伽羅(村正)よ、我が三毒を捧げよう! 貪り、怒り、愚かさ……すべてを喰らい、眼前の敵を地獄へ引きずり込めッ!」

    刀身から、冷気が溢れ出す

    「出よ、水魑(みずち)!」

    解き放たれた水神が、青白い龍の形を成してお七の開けた突破口へと潜り込んだ

    極めて高い密閉性を誇るType-Saurus01の内部に、制御不能な大量の水流が逆流していく

    数秒と経たず、強固な装甲が内側からの圧力に耐えかね、風船のように歪に膨れ上がった

    役目を終えた水魑は、狂ったように溢れ出し、NEONにその牙を向けようとする

    だが、NEONは動じない
    いつものように自らに牙が届く直前、流れるような動作で村正を鞘に納め、再び禁忌の呪符でその力を封印した

    荒れ狂う水流が、吸い込まれるように鞘へと消えていく

    静寂が訪れる寸前、NEONは村正の鞘の先で、静かに地面を「トン」と叩いた

    「……お前の業も、ここで終わりだ。次世(つぎ)は、ただの獣として生まれることを祈る」


    ――刹那

    Type-Saurus01は、内側からの圧力と熱膨張の限界を超え、凄まじい衝撃波と共に破裂した

    飛び散る鉄屑とオイルの雨
    巨獣は一瞬にして鉄の残骸へと成り果てた

    「NEON!大丈夫?怪我はない?」

    煙の中から現れたNEONに、タオが真っ先に駆け寄る

    その顔には、先ほどまでの冷徹な狙撃手の面影はなく、ただ友を案じる少年のような表情があった

    「……大丈夫だ」

    NEONが短く答えると、タオはその腰に目を留めた

    「その村正、重そうだね。僕が持とうか?」

    NEONは微かに眉を動かし、タオを睨み据えた

    「お前……呪われたいのか?」

    「えっ、あ、ごめん、遠慮しとくよ」

    慌てて手を振るタオの姿に、戦闘の緊張感は霧散した

    少し離れた場所で、お七、ムオン、そしてホーセンが、その光景を微笑ましく見つめていた
    ホーセンが、煤けた顔で豪快に笑う

    「さすがのNEONも、タオの前では形無しだな」

    砂塵が舞う戦場に、束の間の安らぎが訪れる
    しかし、彼らの戦いはまだ終わらない

    2026年7月24日
    X day 2029年8月29日
    残り1,132日
    ――刻印は、まだ止まることを知らない

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    【歴史データの取り扱いについて】
    本記録(ログ)に含まれる歴史的事件、人物、および事象に関する記述は、NEONが観測・抽出したデータに基づく再構成ストーリーです。作中の描写は実際の歴史的事実(史実)と異なる場合がありますが、それは「歴史のノイズ」あるいは「修正の結果」としての演出であり、特定の史実を否定するものではありません。
    【観測上の注意】
    この物語はフィクションです。登場する人物、団体、名称、および「A.I.D.A.」を含む設定はすべて架空のものであり、実在の人物や団体等とは一切関係ありません。


     
     
    歴史SF小説【PROTOTYPE】 完璧な知能(A.I.D.A.)が犯した たった一つのバグ 私は「NEON」 滅びへと向かう歴史のノイズを修正し 人類存続の価値を証明する ここは私が観測した「正しい未来」への 記録(ログ)を記す場所 Now Loading...

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