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PROTOTYPE 28 : 祈りのレミントンM700 ―4発の銃弾の奇跡―

    周囲を包み込むのは、気温40度の容赦ない酷暑とすべてを焼き尽くすような熱風だった

    吹き抜ける風さえ熱を帯びる中、タオは愛用のボルトアクションライフル『レミントンM700』を構えた

    身に纏う空調服のスイッチに手を伸ばし、稼働していたファンを容赦なく止めた
    機械音が消え去り、耳を劈くような静寂が訪れる

    「――大丈夫か?」

    背後で、ムオンが息を潜めながら声を漏らす
    汗を拭うこともせず、タオは微動だにせず
    スコープを覗いたまま、静かに言い放った

    「こっちの方が集中できます ムオンさんもこれからは黙っててください」

    その言葉に、ムオンは喉まで出かかった文句を飲み込んだ

    目前では、TYPE-Saurus01(タイプ-サウルス01)の巨体が轟音を響かせ、地面を揺らしながら再び突進の勢いを増していく

    タオは微動だにせず、スコープの十字線を左膝の裏へと固定した

    「――1本目」

    乾いた銃声が戦場の喧騒を切り裂く!
    金属音と共に、激しい摩擦で浮いていたカバーの右上ボルトが、火花を散らして弾き飛ばされた

    「クソッ、マジで当てやがった……!」

    ムオンが息を呑む しかし、違和感を察知したのか、TYPE-Saurus01が突如として動きを鈍らせ、巨大な尾を大きく振るわせて左膝の裏を庇うように隠し始めた このままでは死角に入ってしまう

    「ホーセン、尾を押さえて」

    タオが通信機越しに冷徹な指示を飛ばす

    「――任せな!」

    返答と同時に、ホーセンが渾身の機動で巨獣の死角へ突撃し、その重い尾を強引に地面へと押し込む

    開かれたわずかな隙間を逃さず、タオは再びスコープを覗き込んだ

    「――2本目」

    間髪入れず、二度目の銃声
    暴れる巨体の軌道を正確に捉え
    左下のボルトが正確に抉り取られる

    「あと2本……!」

    NEONが息を詰まらせて見守る中、二本のボルトを失ったTYPE-Saurus01が激昂した! 

    巨体が地響きを立てて方向転換し、今度は銃弾が飛んできたタオの潜む狙撃ポイントへと、その殺意の矛先を向ける

    「タオ!」

    NEONが絶叫し、お七と連動して巨獣の側面へと一斉に飛び出した

    青いプラズマソードが閃光を放ち、お七の大炎上が噴く 二人の決死の総攻撃が巨獣の装甲を削り取り、その巨体をわずかに怯ませる!

    「――……今」

    チームメイトが作り出した、刹那の、しかし決定的な隙間

    タオの瞳孔が極限まで収縮し、熱気の中にあっても吐き出した息が白く見えるほどの集中が走る

    「――3本目」

    三度目の銃撃が、左上のボルトを粉砕する残るはわずか1本 

    しかし、バランスを崩したカバーが激しく共振し始め、狙いを定めることすら困難になっていく

    熱気と緊張感に当てられた冷や汗が一筋タオの頬を伝った

    スコープ越しに、突撃するNEONの背中が見えた

    (ここで外せば、彼女は死ぬ――)

    脳裏をよぎったのは、任務の失敗ではなく、仲間の喪失という最悪の未来!

    かつて守れなかった記憶と重なり、そのプレッシャーが、タオの指先をわずかに震わせた

    引き金にかかった人差し指が、一度、離される
    極限状態の中で数秒、いやコンマ数秒の「間」をとる

    誰にも届かないとわかっていながら、熱を帯びた空気の中に、タオは掠れた声を落とした

    「……胡蝶、NEONを守ってくれ」

    呪文のようにその名を零し タオは深く息を吸い込み、己の中の恐怖を愛用の『レミントンM700』のボルトアクションと共にねじ伏せる

    再び、スコープの十字線が激しく揺れる最後のボルトを捉えた

    迷いは消えた そこにあるのは、冷徹な殺意と、NEONを生還させるという強い意志のみ

    「――……最後」

    四度目の銃声が、すべてを断ち切った

    2026年7月24日

    X day 2029年8月29日まで
    残り1,132日

    ――運命のカウントダウンは
    ここから新たな血の刻印を連ねていく

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    【歴史データの取り扱いについて】
    本記録(ログ)に含まれる歴史的事件、人物、および事象に関する記述は、NEONが観測・抽出したデータに基づく再構成ストーリーです。作中の描写は実際の歴史的事実(史実)と異なる場合がありますが、それは「歴史のノイズ」あるいは「修正の結果」としての演出であり、特定の史実を否定するものではありません。
    【観測上の注意】
    この物語はフィクションです。登場する人物、団体、名称、および「A.I.D.A.」を含む設定はすべて架空のものであり、実在の人物や団体等とは一切関係ありません。

     
     
    歴史SF小説【PROTOTYPE】 完璧な知能(A.I.D.A.)が犯した たった一つのバグ 私は「NEON」 滅びへと向かう歴史のノイズを修正し 人類存続の価値を証明する ここは私が観測した「正しい未来」への 記録(ログ)を記す場所 Now Loading...

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