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Photo bysoropen

回り道[゚ッセむ] 

    銀行のATMに甚があった。
    目の前の人が終わり、みたら、出金口に2䞇円残っおいる。
    ハンティングをかぶった、たしか  黒っぜい、おっさん

    窓口の人を呌び、前の人がATMにお金を忘れおいる、ず蚀っおも、キョトンずしお通じない。

    だめだ、こりゃ。

    出金口から、2䞇円をひっ぀かみ、手の䞭に折りこみながら、銀行を飛び出す。
    ハンティングが、ずんずん向こうぞ去っおいく。
    手前の信号が赀になるず、完党アりト、絶察、間に合わない。

    走るのは倧嫌い。
    だが、早く行っお枡したい  たった2䞇円のために、たた銀行に行っお本人蚌明しお  。
    私なら、絶察むダだ。

    ギリギリで信号を通過しお、息継ぎで立ち止たりながら、叫んでみる。
    銀行、忘れ物、ず、ひっかかる単語を倧声で蚀っおも、芋おくれるのは、呚りだけ。
    ATMから盎線100メヌトル近くも走った蟺りで、やっず远い぀き、黒のゞャケットをひっ぀かむ。

    「ちょっず、銀行、2䞇 これ」
    れむれむ蚀う私を䞍審げに、おっさんが芋䞋ろしお来る。
    「  は」
    䞍審そうに眉をしかめ、ゞャケットを振り払い、向こうに行こうずするのにお札を叩き぀ける。
    「2䞇 ATMで出したでしょ それ持っおたす 䜕回も呌んだのに」
    眉をしかめたたた、おっさんは自分の財垃を出しお、私の手からお札を抜き取った。
    財垃に入れるず
    「フン」
    そう蚀っお、䜕事もなかったかのように歩き出す。

    呚りの路面電車ずバス、信号の音、車の゚ンゞン  人の話し声。
    それが、耳の奥に゚コヌする。

    目は、淡々ず歩き去っおいく圌の姿に、釘付けになる。

    こういうタむプか。
    「盞手  間違えた。カメラに写っおなきゃ、もらえたのに。バカだなあ」
    私がもし、そんなこずをしおもらったら、嬉しさのあたり、どんなに苊しくおも、千円ぐらい、お瀌で枡す。
    それが無理でも、お瀌は蚀う。

    無瀌者
    内心で斬っおおいお、私は疲れ切った䜓で、銀行ぞず戻った。
    自分の甚事は、ただだった。

    この話を誰かに聞いお貰おうにも、友人たちの回答はわかっおいる。
    「銀行の窓口があいおたんなら、係員呌んで預ければすぐじゃん。時間ず劎力、もったいない」
    「それはそれは、ごくろうさた、いい運動になったね」
    目いっぱい笑われながら。

    窓口の人に状況を改めお、䌝えおみた。
    玠盎にこうすりゃ楜なんだよなあ。
    でも  やっぱり䜕だか、しっくりこない。
    こうしお人情、なくなっおくのかな。

    数日埌。
    䌚瀟の昌䌑み、い぀ものように、自転車で近所の本屋さんぞ出かけた。
    予玄しおいた本を買っお、自転車に鍵をかけ、事務所に戻る。

    その埌、30分以内で、別の事務所に移動するこずになった。
    出かける支床をしおいる矢先。
    事務所の扉を、いかにも䞊品な奥様颚の女性がノックした。
    「こちらに〇〇さんっお、いらっしゃいたすか」
    私のフルネヌムを蚀われ、
    「はい、私ですが  」
    「あら、倧家さん」
    䞀緒にいた、瀟長倫人こず、奥さんも驚いおいる。
    倧家さんは私のそばに寄っおきお、黒い物を差し出しながら、気の毒そうな顔で話し出す。
    「これ、あなたのお財垃でしょ 䞭のお金は党郚なくなっおたす。免蚱蚌が入っおたし、自転車にもお名前があったから、ひょっずしおず思っお。間違いないわ。䞀件目で芋぀かっお良かったわ。あたくしがずったんじゃ、ありたせんからね」
    そう蚀っお、確かに私の財垃を手枡しおくれた。

    そうだ、たしか、本しか  持っおきおない  。

    氷のように冷え切った財垃ず、倧家さんの、少し、ぬるい指先に、珟実感ず恐怖が沞いおくる。

    ビルの駐車堎に眮いた、私の自転車の䞋に、この財垃が萜ちおいたず蚀う。
    キャッシュカヌドや、クレゞットカヌド、運転免蚱蚌もカヌド類は党郚残っおいお、お札ず小銭だけ、綺麗に無くなっおいる。
    お守りで入っおいた銭亀も。
    「あたくしも、たったいた、垰っお芋぀けたずこよ。カヌドも免蚱蚌も、あっおよかったわね。確認なさっお、安心できるずいいから、ね お力萜ずしのないように、ね」
    倧家さんがもう䞀぀の懞念もアドバむスしおくれたので、奥さんの蚱しを埗お、私は近くの銀行に向かった。

    残高を確認し、䌚瀟に戻っおクレゞット䌚瀟に電話をかけ、特に利甚履歎がないこずを確認しおから、䞀安心した。
    幎末䌑みに、友人ず、人生初の歊道通コンサヌトず同人誌即売䌚に行く予定だった。
    軍資金のうち、おおよそ1侇6千円が、突劂、消え倱せた。

    仕事の移動を遅らせおたで、私のヘマに付き合っおくれた奥さんず同僚に、悔しさをこらえながら、お瀌を蚀う。
    人ずも、灜難だったよね、ず同情しおくれおいる。
    「なんだよ、遅れるっおさあ、いいけど、どうしたの」
    どこか憎めない瀟長が、口笛を吹きながら登堎した。

    奥さんが状況をかい぀たんで話すず、やられたね、ず蚀いながら、瀟長はこう続ける。
    「ねえ、お説教の぀もりじゃないよ。でもそれだけあったら、お逅を買っお、幎越しできるんだよ。君のお金が誰かを助けおあげたっお、考えおやんなよ。自分も責めなくおいいし」
    「そんなこず、神様じゃあるたいし、あなた、䜕蚀っおるの 無神経よ」
    奥さんの思わぬ反撃に、瀟長は銖をすくめおいる。
    「でもさあ、銀行もいったんでしょ 気が぀かなかった 君のボヌナス、今日入金しおあるんだよ。だからさ、メゲないで。旅行のお土産ずかいいからさ。ね」
    事務所を移動する車の䞭で、瀟長は、楜しそうに話しおくれた。
      絶察面癜がっおる。

    倱ったものは、返っおこない。
    捉え方しだいで、少し楜になるのかも。
    圓時の私には、思い぀けなかった。

    無意識に息を詰めお、早かった脈が、瀟長の想定をかみしめるうち、おさたっおきた。
    おごっお貰ったホットカフェオレが、掌の䞭で枩かい。
    でも、あきらかに、私の灜難を楜しんでいる瀟長に、内心で、私はがやいた。
    「で、芋舞金は、出さない、ず」

    玍期の無茶な仕事ばかりを取っおきお、瀟員䞀同、迷惑をこうむるこずの方が、倚かったが。
    私がここに就職できたのは、この䌚瀟ず瀟長だからこそ。
    即決に近いスピヌドず、驚くほどの寛容さには、居心地の良さず、恩も感じおいた。

    無事に東京から垰り、わずかなお土産を枡したずき。
    瀟長に、こう告げた。
    「そういう瀟長のもずで働くのは、お前の埳になる。がんばれよ、っお父に励たされたした。ただ、深倜残業や出匵の倚さには、眉もひそめおたしたけど」
    私も瀟長を芋習い、䜙蚈な䞀蚀を付け加えながら、遠回しなお瀌を蚀った。

    父は私に、こうも蚀った。
    「お前、本、奜きなんだろ 論語読みの論語知らずは、恥ずかしいぞ」
    い぀もは穏やかで明るく、優しい父の蚀葉が、ずっしりずこたえた。

    結局私はその䌚瀟を、3月に退職した。

    次の職堎で働き始めお、23幎埌だったず思う。
    圓時、別事務所の所長圹をしおいた人ず、ばったり、再䌚した。
    あの䌚瀟が、倒産したず聞いた。
    圌女ずも、もう䌚う事もない。

    あのずき瀟長がくれた、ホットカフェオレ、矎味しかったなあ。


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    ずぶずぶの玠人です。瀬知掋叞さんの、「ずなりの小さいおじさん」が倧奜きです。 実䜓隓ベヌスの創䜜少々含゚ッセむ䞀郚有料や、奜きなこず、読曞感想、぀ぶやきなど。本文掚敲、校正、描画にAI利甚あり。本文は自身で曞きたす。BLAIむラスト生成率が急䞊昇䞭。

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