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Photo byflower_koibana

スミレちゃんの物語 第3話:「何で?」がいっぱい

    スミレちゃんは
    お庭の花壇にお水をあげていました。

    お庭には
    綺麗なお花がいっぱいです。

    お水をあげると
    葉っぱを広げて喜んでいるように見えます。

    でも
    ここでスミレちゃんは
    不思議に思いました。

    「お花はどうして
    ワンちゃんやネコちゃんのように
    動いたり鳴いたりしないの?

    近所のワンちゃんは
    近づけばワンワン鳴くし
    ご飯を上げたら喜んで
    くるくる踊るのに。

    お花はお水を上げても
    鳴き声を上げないし
    くるくる踊らない。

    それに
    お花は動いていないのに
    どうして気がついたら咲いているの?」

    スミレちゃんは
    花壇のお花をじっと見つめて
    いつ動くのかと観察します。

    しかし
    ちっともお花は動きません。

    スミレちゃんの
    「何で?」が頭の中で
    わいてきては止まりません。

    「ねぇ、お花さん。
    何であなたは動かないのに
    いつの間にか咲いているの?」

    そう尋ねても
    やっぱり答えません。

    お花は生きているのかな?
    何て疑問に思ったりもしますが
    お水をあげたときのお花さんは
    何だか嬉しそうに見えます。

    だからおそらく
    生きているのだろうと思うのです。

    だとしたら
    お花にはお花の
    何か事情があるのかもしれません。

    その事情って何だろうと
    スミレちゃんは疑問に思います。

    ふと
    空を見上げたスミレちゃん。

    良く晴れた青空に
    白い雲がもくもくと伸びてはちぎれ
    ゆっくりと漂っています。

    ここでも
    スミレちゃんの「何で?」が
    わいてきました。

    「お空に雲が泳いでいるのは何で?
    そんなに雲は軽いの?

    曇ってそんなに軽くて柔らかいのかな?
    お布団みたいに
    乗ってみたら気持ちが良いのかな?」

    ふかふかの雲に乗ってみたらどんな感じか
    想像してみます。

    ふわふわの雲が
    スミレちゃんを包みます。
    とても気持ちが良いね。

    うっとりとした気分で
    寝転がるスミレちゃん。

    そんな雲の上でお昼寝をしたら
    最高に気持ちが良いだろうね。

    でも…

    「雲はどこに向かって
    泳いでいくのかな?」

    スミレちゃんの知らない
    遠くの国でしょうか?

    もし
    そうならば
    あまり長い時間
    雲の上で寝ていられないね。

    気がついたら
    言葉も分からない
    見ず知らずの国に行ってしまうかもしれません。

    もし
    そうなったら
    怖いな。

    でも

    「雲に乗って
    知らない国まで探検するのも
    面白そう!」

    雲に乗って
    知らない国を探検するスミレちゃん。

    何だか格好良いね。
    面白そうだね。

    考えるだけで
    ワクワクするね。

    あ!
    お庭のバラの茎が
    折れています。

    どうしようと
    スミレちゃんは
    折れたバラの茎を支えてあげました。

    すると

    「痛い!」

    スミレちゃんの指から
    血が出てしまいました。

    どうやら
    バラのとげが刺さってしまったみたいです。

    痛い。
    指から出てくる
    真っ赤な血を見て
    スミレちゃんはまた
    「何で?」と思いました。

    「ケガをすると
    何で痛いのかな?

    痛くなければ
    ケガをしても耐えられるのに」

    ちょっと前までのスミレちゃんは
    ケガをしたら痛くて
    わんわん泣いていました。

    今は
    このくらいのケガなら
    我慢できますが

    ケガをすると
    本当に痛くて
    辛いのです。

    もし
    ケガが痛くなければ
    たくさん走って
    はしゃいで転んでも怖くないでしょうし

    ケガが怖くて
    出来ないということが
    減ると思うのです。

    ケガするのは
    痛いし厄介だなと思うスミレちゃんですが
    どうしてケガすると痛いのかと
    頭の中で「何で?」がいっぱいです。

    「おや?

    スミレちゃん
    どうしたの?

    指から
    血が出ているじゃないか?」

    外の花壇に水をやりに出て
    帰ってこないスミレちゃんを心配して
    お父さんが出てきました。

    「お父さん。

    バラの花が折れちゃってね
    直そうとしたんだけど
    棘が刺さってケガしちゃったの」

    「そうなんだ。
    バラのためにありがとう。

    取りあえず
    家の中に入って。

    スミレちゃんの指を
    手当てしてあげるから」

    そう言って
    お父さんはスミレちゃんに
    手を洗うよう言いました。

    綺麗になったスミレちゃんの指に
    消毒液を塗って
    絆創膏でケガしたところを覆いました。

    「これで大丈夫だね」

    スミレちゃんのケガした指は
    手当てによって
    痛みが引きました。

    「お父さん、ありがとう」

    そこでもスミレちゃんは
    「何で?」で頭がいっぱいでした。

    「どうしたの?」

    「お父さん、あのね

    私の頭の中は
    「何で?」でいっぱいなの」

    スミレちゃんは
    今日あった
    「何で?」について
    お父さんに話しました。

    すると
    お父さんは言いました。

    「お花が鳴かなかったり
    動かなかったり。

    それは
    犬や猫のような動物じゃないから。

    そういう考え方もあるけれど
    スミレちゃんはどう思ったのかな?」

    「えっとね…

    私もそう思うんだけど
    お花にはお花の事情があるんだと思うの」

    「どういう事情かな?」

    「お花には
    お花にとってちょうど良い時間の流れがあって
    お花のペースでゆっくり咲いているのかな?
    そう思ったの

    それでね
    お花はワンちゃんやネコちゃんみたいに
    鳴いたり動いたりするのが
    好きじゃないのかも。

    ゆったりのんびり
    土から根を伸ばして咲いている。

    綺麗なお花を
    私達に見せるだけで
    満足なのかなって思ったの」

    お父さんは
    感心したようにスミレちゃんを見ました。

    「スミレちゃん。
    そうかもしれないね!

    お花にはお花の事情があって
    お花にとってちょうど良い時間の流れが
    あるんだろうね」

    「本当はどうなの?」

    「本当って?」

    「私の考えって
    正しいのかな?」

    スミレちゃんは
    本当のことが気になって
    仕方がありません。

    だって
    今話したことは
    スミレちゃんの想像です。

    しかし
    お父さんは

    「本当の事なんて
    大人でもよく分からないことが多いよ」

    と言って笑いました。

    「そうなの?」

    「大人でも分からないことが多いし

    そもそも
    大人になると
    『何で?』と思うこともなくなっていくことが
    多いんだよね。

    だからね
    スミレちゃんの『何で?』を大切にして欲しいな。

    正しい答えを出すことよりも
    『何で?』と思ったことを
    自分なりに考えてみること。

    それを積み重ねていけば
    少しずつ自分の納得出来る答えが
    見えてくると思うよ」

    自分なりの答えを
    出していけば良い?

    それならば

    「お花のちょうど良い時間や
    お花の事情も
    それはそれで答えになっているの?」

    「そうだよ」

    そうなんだ。

    「じゃあ、これは?

    雲が空を泳いでいくのは
    雲がそれだけ軽くてふわふわしているから?

    曇って
    お布団みたいに柔らかいのかな?

    ふわふわの雲に乗って
    お昼寝したら気持ち良いよね!

    でね
    雲に乗って
    知らない国に行ってみたい!」

    スミレちゃんは
    雲のイメージを膨らませて
    大興奮です。

    そんなスミレちゃんを見て
    お父さんは楽しそうです。

    「そうだね。

    雲に乗って探検も楽しそうだね」

    「あ、でね
    もう一つ
    『何で?』があるの」

    そう言って
    スミレちゃんは
    ケガした自分の指を見せます。

    「ケガをすると
    どうして痛いの?

    痛くなければ
    走ってはしゃいで転んでも
    怖くないのに」

    すると
    お父さんは

    「そうだねぇ」と言って
    暫く考え込んでから言いました。

    「ケガをすると痛いよね。

    じゃあ
    ケガをしないように
    次からはどうしたら良い?

    例えば
    さっきスミレちゃんが
    バラのとげを触った時を想像してみて」

    「えっとね…

    次からは
    とげに気をつけて触る」

    「そう!

    ケガしたら
    次からは気をつけられるよね。

    ケガは
    そういう役割があるんだ。

    次はケガしないように
    気をつけられるように
    痛くできているんだよ。

    それとね
    もう一つ大事なことがあるよ」

    「それってなあに?」

    「自分が痛いことは
    他に人にとってはどう感じると思う?」

    「痛い」

    「そうだよね。

    自分にとって痛いことや苦しいことは
    他の人も同じだよね。

    じゃあ
    自分が辛いなって思うことも
    同じだよね」

    つまり
    どういうことかな?

    お父さんは
    何が言いたいのでしょう。

    「ちょっと難しかったかな。

    つまりね
    自分にとって苦しいことや辛いことが
    他の人にも同じ事なら
    人の痛みを想像できるよねってことだよ」

    「人の痛みを想像?」

    「痛みが分かる分
    人に優しく出来るっていうことだよ」

    人に優しく出来る?

    痛みが分かれば?

    どういうことでしょうか。

    「お父さん

    ちょっと私には
    よく分からないや。

    何で?何で?」

    「そうだねぇ…。

    後は
    スミレちゃんがこれから先
    生きてみて答えを出してみてね。

    いつか
    その『何で』の答えが
    見つかると思うよ」

    スミレちゃんは
    ぷくっとほっぺを膨らませました。

    お父さんの答えに納得がいきません。

    でも
    確かに
    これから先
    生きてみないと
    分からないことなのかもしれません。

    スミレちゃんの
    「何で?」は
    明日もその次の日も
    たまっていくのかもしれないね。

    でも
    「何で?」がわいてくる度に
    色んな答えを想像してみるのも
    楽しいね。

    そうやって
    どんどん答えを積み重ねていったら
    大人になったときは
    どんな答えがスミレちゃんの中で
    積み重なっているかな?

    たんに
    正しい大人になっているよりも
    素敵な大人になっているだろうね。

     
     

    アキ

     
     
    ポエム、エッセイを書いています。 作業療法士を辞め、復帰しても再び辞め、今度は精神保健福祉士を目指すものの、上手く支援職の転職が出来ず、あれこれ迷走し、清掃マネジメントの仕事に転職。2025年6月に入籍、退職して今は主婦です。妊娠して出産し、現在初めての育児に奮闘中です。

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