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スイッチが見つからない|好きになるスイッチは、どこにもなかった

    自意識拗らせ話をするが、当時の私は、“逆蚊取り線香”。じっとしてるだけで、なぜか一部の「限られた人種」が寄ってくる。性別問わず。なにかの宗教かな?

    小中学生の頃、それにうっすら気づき始めた。
    バレンタインに男子から手作りチョコをもらったり、習い事を始める理由が”私がやっているから”だった子もいた。そんなのがちょこちょこあった。

    ホワイトデーにはもちろんお返しを渡したりもした。
    面白いことに価値を置いていた当時の私は、どうせなら笑えて記憶に残るチョコのほうが喜ばれるだろうと思った。

    小学生なりに悩みに悩んで、最終的にうんち型のチョコを作った。
    手のひらサイズのBIGうんちに、割り箸をぶっ刺した。

    「素手でチョコを持って食べるなんて平民か?」という、貴族気取りの理屈で、割り箸を刺した。
    せっかくの美味しいチョコが不味そうに見えたら本末転倒なので、赤や黄色の星のトッピングで、うんちに“おいしさ”の説得力を足した。
    アラレちゃんが持ってるあの笑顔のピンクうんち。あれを目指した。

    案の定、相手は爆笑しながら喜んでくれた。
    …いや、あれは本当に喜んでたんだろうか?
    あの表情、今となっては読み取れない。
    まさか、引いてたのでは…考えると、冷や汗がでてくる。

    中学生になると最初の1年間だけ、私はだいぶボーイッシュになっていた。
    昔から“男の子になりたい”願望が強かった、理由は単純。
    ドラゴンボールとらんま1/2を栄養にして成長したので、誇り高き戦闘民族に憧れていたし、性別が入れ替わるのは割と簡単なことだと信じていた。

    体のどこかにある性別変換スイッチを押せば、翌朝には男になっている。私は本気でそう思っていて、眉間も押した。ヘソの下も。
    でも一番怪しいのは、後頭部。
    あそこだけ、明らかに“秘境”感あった。
    ジャングルの奥に隠された何か、みたいな。
    小さく「ピコン…」って鳴った気がした夜もあった。

    押す力加減にもこだわりがあって、「強く押すと成人男性に、優しくそっと押すと少年になる」みたいな説を自分で編み出していた。

    もちろん翌朝も確認を怠らない。
    目覚めた瞬間、まず自分の声を出してみる。
    「…おはよう」
    声変わりしてなかった日は、そっと天井を見てから深くうなずいていた。
    …仕方ない、また今夜だ。

    そんなこんなで、私は中1の1年間を、わりと本気で「男になる修行」に費やしていた。

    すると今度は、同性の先輩から可愛がられるようになった。
    仲のいい先輩の友人からは、餌付け可能な野生生物みたいな距離感で構われていた。


    友人越しに、面識のない先輩から手紙も貰うこともあった。
    中学生女子ってやたらと手紙を送り合う文化があるけど、私はそれがすごく苦手だった。
    なんで直接話さないのか分からないし、単純に筆まめじゃなかった。だからその先輩にも返事をしたのは最初の方だけだった。
    返事をしなくても追撃手紙が来ていたので、もはや相手は誰でも良かったのかもしれない。

    ちなみにその先輩の手紙の内容も先輩の名前も一切覚えていない。
    最後まで直接会話をすることもなかった。

    中学を卒業する頃には、誰かの観察対象になることも、勝手に期待されたりすることも、定期的にあった。
    だけど私は、最後までよく分からなかった。
    なぜ私がその対象になるのかも、自分がどう見られているのかも。

    ちなみに私は、自分から誰かを好きになったことがない。

    人から興味を持たれるスイッチは押されるくせに、
    自発的に好きになるスイッチだけは、いまだに行方不明だ。

    眉間も押した。後頭部も。ヘソの下も。
    USBポート、パネルの奥、充電ケーブルの根元……
    ない。どこにも、ない。
    あれ?もしかして…最初から、搭載されてなかった?
    バグ?いや、設計ミス。



    このあと、まさかの“地獄のモラ男編”へと続きます。
    他の話も置いておくので、お口直しにどうぞ👇


    ▼自撮り動画をアイコンにする愛すべき男の話。


    ▼おしっこに感謝したり、ルンバに追いやられたりする日常をまとめています


     
     
    3歳児とのカオスな日常を、漫画にしています。 育児のズレや違和感、 たまに人生のややこしさを、 だいたい笑いに変換。 育児漫画|コミックエッセイ|イラスト ご連絡は X(@nejigumo)または mail(nejigumo.wrk@ジーメール)

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