
Mな日本人はお好き?--メキシコはイーカゲンが好い加減3(じかん篇)
さあて今回も問題から始めよう。
AからEに当てはまる国を下の候補から選べ。
待ち合わせ時間5分前にくるのは(A) 人。
ピッタリに来るのは(B) 人。
10分遅れで来るのは(C) 人。
30分遅れで来るのは(D) 人。
その頃パジャマを脱いでいるのは(E) 人。
イギリス , ドイツ , 日本 , フランス , メキシコ
よく聞くよね。まあメキシコのところがスペインやブラジルだったり、イギリスのところがアメリカだったりすることもあるけど、最近のアメリカは人種がより多様になってて実感と違うので今回はこちらで(実はイギリスもだけどね)。
では必要ないかもしれないが答え合わせだ。
Aは5分前行動が大好きな我らが日本人。
Bは前も後も許さないゲルマン・ドイツ人。
Cはソコソコ時間を守るアングロサクソン英国人。
Dはラテン民族の中では優等生のフランス人(ただnote仲間フランス在住の文月さんによると目クソ鼻クソらしい)。
Eは……もちろん残っているのはココだけ。
ということでハイ。本日は
メキシコのイーカゲン事情(時間篇)
を、お届けしよう。イーカゲンシリーズも3回目。別に順番に見る必要はない。記事の最後にリンクを貼るので未読の方は後でそっちも楽しんでほしい。
それではVamoooos!(約5500字)
CASE1)朝の登校
宵っぱりで朝寝坊の国だろって?
いやいや。メキシコの朝は意外に早い。
前に別の記事で紹介したが、うちの高校はなんと7時から1限が始まる。中学は7時15分。冬などまだ真っ暗だ。今年度金曜に1限のクラスがあった私。毎週その朝は初日の出を見に御嶽山に向かう気分だった。来年は1限が1回もないといいな。
え?そんなに暗かったら生徒の登校が危ないって?
いやいや。ほぼ100%保護者の車で送り迎えなので、そこは全く問題ない。ほぼ、と書いたのは高校3年生になると自分で運転してくる子もいるからだ。
数年前になるが駐車場で「これ、僕の車」と教え子が言った。彼の指の先には赤い新車のアルファロメオ。私はぶっ飛んだ。こちとら未だ車が買えずに路線バスとUBER人生なのに。コレだから保護者の職業が医師や弁護士だらけのお金持ち学校は!
……メキシコ格差社会ハンパない。
ちなみにこの子は卒業間際に開いた自宅パーティでの飲酒(と多分薬物)が学校にバレて退学処分。決まっていた大学に行けずに、結局闘牛士養成学校へ進んだ。スペインと同じようにメキシコでも年々動物愛護的圧力により難しい業界だが、Facebookで見る限りなんだかんだ楽しくやっているようである。
※つい最近メキシコでは殺さない闘牛を目指す!というニュースが流れた。時代だなあ。
とにもかくにも100%車登校な彼らはヤレ渋滞だ、ヤレ車のKEYが見つからなかったと、なんだかんだで遅刻が多い。金曜1限も全員揃うのは30分も経った頃。それでもまあ来るだけマシ。これが雨や雪になるとスゴイことになる。登校自体するのは多くて1/3。少ないとクラスでたった2,3人、なんてことも。
理由としては雨が降らないことがデフォルトで、もともとの道路が排水を考えて作られていない。そのためちょっと多めに雨が降るとすぐに道路があちこちで冠水してしまう。
あらら。こりゃあ今日は外に出られないね。ということで簡単に学校も仕事も自主的にお休みにしちゃうわけである。
インフラを整備?しないしない。
ネットミーム(スペイン語でmeme)にして、みんなで笑うだけである。


facebook投稿より
CASE2)店のオープン時間
朝が早いのは学校だけではない。
大手スーパーは朝7時(24時間営業もある)、銀行は8時や8時半からなど、日本より早いなあと思うことが多い。こうした大きい店舗はいいのだ。問題は小さな店舗が集まっているモールである。
モールの開店時間はたいてい10時。
さあ、その時間ピッタリに行ってみよう。
開いている店舗は半分もないはずだ。
バスや電車が来なかったから仕方ない。以上。誰も気にしない。遅延証明書なんて当然ない。間に合うように走ったりもしない。
道で走っているのは逃げているスリの兄ちゃんくらいである。
ちなみにうちの学校はタイムカードを導入している。当然遅刻したら給料は減る。そこで大切になるのは時間厳守ではない。横のつながりである。
「ごめーん道が混んでて。5分遅れそう。タイムカード押しといて〜」「OK!」ガチャリ。
これで世はこともなし。
CASE3)イベントの開始時間
メキシコ人はパーティ好きである。
誕生日、母の日、独立記念日などなど何かと理由をつけては週末に自宅やsalón de fiestaという名の宴会場に集まって、音楽をガンガン流し、子供も参加のなか明け方まで飲み食い歌い踊りまくる。
基本的にこの参加自体、いつから行っても、誰を連れて行っても、さらにはドタキャンで行かなくっても問題はない。ただ遅れるのはどんだけでもいいが告げられた時間に行くのはNGで日本人の5分前行動なんざ論外である。どんなに早くても2,30分は後にしよう。それでもきっと早い。まあ食事が始まるのは1時間以上過ぎてからと思って間違いない。
この最たるものが結婚の披露宴である。
7時開始とか言う通知を信じてはいけない。
パンデミック直前の2020年の2月。私はこの街で初の結婚式に招待された。昔も参加したことがあったがその時は元夫と一緒で時間はすっかりお任せであったので、ついついこのメキシコ規則を忘れていた。
「大きな会場を借りてるんだから、それなりにちゃんと始まるよな。この街で初めてだから最初から見逃したくないし」
そう思って時間ぴったりに行った私。
まだまだメキシコを知らぬ甘ちゃんだった。
私のほかは1組の老夫婦と従業員のみ。
1時間が経過する頃になって、やっとボチボチ人が集まり出すも主役未だ不在。
2時間後、ついに新郎新婦が家族と登場。結婚式が押していたらしい。そこに参列していたと思われる人たちもドコドコ入場。やれやれ、やっと始まるぞ……と思ったのだ、が!
実際マイクを持った人が開会を宣言したのはさらに1時間後!これいったい何の待ち!?
結局3時間飲み物だけでダラダラ近所の人と話したりで待ち続けた。これが日本なら今ごろは引き出物をもらって帰宅している。
22時過ぎ。ニギニギしく会が始った。
待ちすぎた腹にはちょっと物足りないタコスをゆーーっくり食べ、腹ごなしタイム突入。
23時半の段階がこちら。まだまだ元気。

この後ひたすらダンス・ダンス・ダンス!
疲れて失速。ご家族たちとダラーっと会話。
で、お開きになったのは明け方3時半。
私は結局このイベント会場に8時間半いた。
この日得た大事な教訓。
1. 結婚式は絶対2時間は遅れて行く。
2. メキシコのイベント会場では働かない。
皆さんも色紙に書いて枕元に貼ってほしい。
CASE4)移民管理局での手続き
私は現在メキシコの永住者カードを持っているが、こちらに来てすぐは1年有効の就労ビザつき在住者カード、そのあとは2年有効のものを移民管理局で申請し更新しなければいけなかった。
これがまあ、相変わらずのお役所仕事。
(詳しくはイーカゲンシリーズ2を参照)
一回ですんなり終わった試しがない。
まずは予約をしたにもかかわらず1、2時間は平気で待たされる。予約の意味ない。
学校の顧問弁護士が電話で確認した通り用意したのに、写真のサイズが違うだの住居を証明する電気代の領収書がこの日付じゃ古すぎるだのと言って差し戻し。言われたサイズはこれなんですが?💢 確認の意味ない。
3回目の申請でやっと窓口で受領された。
「在住者カードの引き渡しは午後1時半からだ。その時に戻ってこい」
午前11時。スーパーマリオみたいなヒゲ親父が言った。日本なら早お昼でも……という時間だが、こちらの昼は午後2時くらいからが標準。近くの美術館で時間を潰す。それでもまだ1時。外で30分を潰すには暑くなり過ぎていたので管理局のベンチで数独をしながら待つことにした。
さあ、待ちに待った1時半である。
私は窓口に突き進んだ。
マリオは私を見て、あからさまに迷惑そうな顔をした。
「Ahorita(アオリータ)」
親指と人差し指をくっつけ言い放つ。
うわあ、出たよクセモノ単語。
ahora(アオラ)はスペイン語で「今」。
これをカワイく、そして強調してほんとスグ!みたいな言い方にしたのがAhoritaだ(文法的には縮小辞という。ラテンの国でもメキシコ人はこれが大好き国民で有名)。
「Baby Shark」に抜かれるまではYouTube再生数世界一だった「Despacito」も本来の形は「despacio」(ゆっくり)
可愛くいやあいいってもんじゃない!
ついでに言えば「ahorita vuelvo(すぐ戻るよ)」と言うのはウインドウショッピングで店を出る時の常套句。こう言った客はまず戻ってこないがデフォルト。
さらに教訓。
メキシコ人が「5分」と言ったら15分。
「30分でできる」と言ったら2時間。
Ahorita と言ったら、もう神のみぞ知る。
トイレの壁に貼り、家族みんなで覚えよう。
「エバン ナベオート」
数独に飽きた頃、やっと名を呼ばれ窓口へ。
「いやあ待った待った。セニョールが1時半って言うからちゃんと1時半に来たのにぃ」
「あ、ここにサインをくれ」
私のジャブ攻撃を完全スルーである。
「まずこれ。預かっていたパスポート」
やべ、そーだ。預けてたんだ。忘れて帰るとこだった。真っ赤な目立つJAPANパスポートを受け取る。
「本当にさ。日本はpuntual(時間厳守)な国なのよ。真逆だよね。もう慣れたけど」
懲りずにジャブ、ジャブ、右ストレート。
するとスーパーマリオがすかさず言った。
「何言ってる。俺たちメキシコ人だってpuntualだぞ」
はっ、マリオ、その冗談笑えないよ?どの口が……
「終業時間にはpuntualだ!!」
ドヤ顔マリオのカウンターパンチ炸裂。
私はリングに沈みながら心の中で叫んだ。
確かにそーのーとーおーりーーー!!!
case1)学校。
始まりグダグダだが終わりは3時ぴったり。荷物をまとめる時間が必要だから5〜10分早く授業を終えるよう上から言われているほどだ。鍵閉めるから急げ〜と校長にケツを叩かれ教員も早々に退出。そんなわけで居残り?物理的にできない。
case2)店や役所
こちらも恐ろしいくらいの時間厳守。
正確には時間厳守とちょっと違う。6時まで開いているはずの保健所が5時半で閉まっていたりする。後日文句を言ったら「天気悪いからもう誰も来ないと思った」
つまり前に倒れることはあっても後ろには絶対に倒れない。まだ客が並んでる?カンケーない。だって「時間だから」。
これ。絶対日本人は見習うべきである。
横断幕にして職場のエントランスに掲げよう
メキシコはイーカゲンがいい加減(まとめ)
ではまとめである。さも権威があるかのようにアカデミックに締めくくろうではないか。
皆さんは、文化人類学者 Edward Hall が『Beyond Culture』で提唱した「M タイム」「P タイム」はご存じだろうか。
人にはその文化的背景などによって2つの時間の捉え方があるという説である。
M タイムmonochronic time =単一的時間
P タイム polychronic time=多元的時間
例えば、M タイム型の人は、時間軸が1つしかなく、一度に1つのことしかしないが、物事は順序よく進め、約束は守り、時間に正確なタイプである。一方、P タイム型の人は、時間軸が 2 つ以上あり、複数のことを同時に行い、時間にルーズな側面があり、約束に遅れたりするが、人間関係を重視するタイプの人である。
冒頭の問題で言えば日本人やドイツ人が典型的なMタイムの国民で、ラテン人種のフランス人やメキシコ人などはPタイムの国民だと言われている。だが、それは正確ではない。ドイツ人だけじゃないだろうか、この区分で説明できるのは。
正しくはこうだ。
日本人はMPタイム––––学校や仕事の始まりには厳しく、終わりはルーズ(上司や同僚に気兼ねして帰りたくても帰れない)。
メキシコ人(ラテン人)は逆のPMタイム––––始まりルーズで終わり厳格(仕事の人間関係よりその後の個人的な関係を重視していると考えれば純Pタイム)。
はあ……。つくづく日本人てマゾだなあ。
MPって実はMasochistic Person の略?
喜んでしてるなら、まあ性癖だ。仕方ない。
でも嫌だなあと思ってるなら、メキシコ人の
パジャマ(Pyjamas)で待たせる(Mataseru)くらいのズーズーしいPMタイムで生きていくのもアリである。
え?それはあまりに極端だって?
ではまずは始まりも終わりもまじめにまもるMM型のドイツ人を目指そう。
あとはせめてMPだとしても
More Personal time!
(もっと個人的な時間を!)
まずは全国民でスマホの待ち受けにしよう!
ここまで読んでくれて本当にありがとう。
Hasta pronto! また会えますように!
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