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んの魔法 | 長編小説 | 第4章 初めてのスポン(第9話)

「エッヘン、オッホン、スッポンポン!」
すると、本を隠すほど大きな新聞も、ふわっと浮き上がって、スポンと本の中に消えた。
本には、写真のように鮮明に新聞の絵が描かれた。

第4章 初めてのスポン(第8話)より

これは、言葉と記憶と心をつなぐ、僕の再生の物語。

始めから読む方はこちら → 序章 海辺のバス停(第1話)
前回のお話はこちら → 第4章 初めてのスポン(第8話)

本編はここから


それから、しばらくの間は、名前の最後に「ん」のつく物を探して、部屋を歩きまわった。宝探しをしているようで、何だか面白い。

「ほれ、気分がいいじゃろ?」

カウンターから、ンタンタンの声が聞こえた。どうやら、新しいデザートを用意しているようだ。マフは、相変わらず左の隅で尻尾をくるんと巻きながら、まるで我関せず、とでも言いたげに、小さなあくびをしている。

他に、スポンできそうな物は、まだあるのかな?
あ、あった!
「デザートは、メ…」

「メロン!」

ンタンタンが持ってきたデザートのメロンが「スポン!」と消えたのは、言うまでもない。

「せっかく、切ったのに、そりゃ殺生な〜〜っ」と、
時代がかったセリフで、ンタンタンが答えると、
「みゃーは、やると思ったニャ!」
薄目を開けていたのか、マフがそう言った。

「ごめん、うっかり…」
あれ? そう言えば…、メロンは呪文を言わずに消えた…?

「ん」のつく名前は確かに要注意だな。
気をつけなきゃ…!

それから、僕は部屋にあるいろんな物をスポンした。絵として綺麗に現れる物もあれば、ほとんど形にならない物もあった。

例えば、あんぱん、カバン、リモコン(なんでこんなところに?)は綺麗な絵になったが、すずらん、小瓶、ヘアピン、やかん、などは、ゆがんだり、いびつな形になったりしたものもあった。

ンタンタンに聞いたら、僕のよく知っているものほど、鮮明な絵になるらしい。

そんな時、「んしり亭」の玄関のドアベルが「コン!コン!コン!」と鳴ったのだった。


次はいよいよ、第5章 迷子のりんちゃん(第10話)につづきます。

んの魔法 ~深淵の本と心の夜明け~ の固定ページはこちら → いらっしゃいませ!お茶ですか?それともお話ですか?




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