
病に挑む次世代治療 No.41 難治性潰瘍性大腸炎にも光 ― オベファジモド、第Ⅲ相ABTECT Maintenance Part 2で再燃例・無効例への有効性を確認
フランスのAbivaxは2026年6月29日、潰瘍性大腸炎(UC)治療薬オベファジモド(obefazimod)の第Ⅲ相試験「ABTECT Maintenance Part 2」のトップライン結果を発表した。
私はこれまで本シリーズで、
・No.34「第Ⅲ相ABTECT Maintenance Part 1成功」https://note.com/natty_daphne2321/n/n39f84435cf7d
・No.39「Study108長期維持試験3年間データ」https://note.com/natty_daphne2321/n/nbc111f2a2a91
を紹介してきた。
今回発表されたPart 2は、それらとは目的が異なる。
対象となったのは、
寛解導入試験で十分な効果が得られなかった患者
維持療法中に再燃した患者
という、実臨床でも治療に難渋する難治例である。
つまり、「オベファジモドは効かなかった患者にも有効なのか」という重要な問いに答える試験と言える。
その結果、導入療法で反応しなかった患者でも、50mg投与を継続することで44週時点の臨床的寛解率は37.2%、内視鏡的寛解率は34.5%に達した。また、維持療法中に再燃した患者では、50mgへの増量によって約45%が再び臨床的寛解を達成しており、「再燃後でも病勢を再びコントロールできる」可能性が示された。
さらに今回の発表では、安全性データも大きく強化された。第Ⅱ相・第Ⅲ相試験を合わせた総曝露期間は1,704 patient-yearsに達し、悪性腫瘍や非黒色腫皮膚癌(NMSC)の発生率はいずれも潰瘍性大腸炎患者で報告されている背景発生率の範囲内であった。新たな安全性シグナルも認められず、年内に予定されているNDA申請に向けて、ベネフィット・リスクプロファイルをさらに裏付ける結果となった。
オベファジモドは、miR-124の発現を高めることで免疫応答を生理的に安定化させる「immune recalibration」という新しいコンセプトの経口低分子薬であり、JAK阻害薬やS1P受容体調節薬とは異なる作用機序を持つ。
今回のPart 2の結果によって、オベファジモドは「初回治療で効く薬」だけではなく、「難治例や再燃例にも対応できる薬」である可能性が示された。これは実際のIBD診療において非常に大きな意味を持つ。
2026年第4四半期には米国FDAへのNDA申請が予定されており、承認されれば、miRNAを標的とする世界初の経口免疫調節薬として、潰瘍性大腸炎治療の新たな選択肢となることが期待される。
今回Abivaxは、「Part 2は単なる追加解析ではなく、NDA申請を支える安全性データベースの拡充」であることを繰り返し強調している点は重要だ。
前報のNo.34は「第Ⅲ相試験成功」、No.39は「長期寛解維持」、そして今回No.41は「難治例への有効性と安全性データの完成」という位置付けになる。
この3本を通して読むことで、オベファジモドが承認に向けて一歩ずつエビデンスを積み重ねてきた流れが理解できるだろう。