
病に挑む次世代治療 No.35 CRISPRは慢性疾患治療を変えるのか ― Intellia、HAE向けin vivo CRISPR治療「Lonvo-z」の追加第Ⅲ相データを発表 ―
米Intellia Therapeuticsは6月13日、遺伝性血管性浮腫(HAE)を対象としたin vivo CRISPR治療「Lonvo-z(lonvoguran ziclumeran)」の第Ⅲ相HAELO試験の追加データを発表した。
本データはEAACI(欧州アレルギー・臨床免疫学会)2026でLate-Breaking Oral Presentationとして採択されるとともに、同時にNew England Journal of Medicine(NEJM)へ掲載された。
Lonvo-zは、CRISPR/Cas9技術を用いて肝臓のKLKB1遺伝子を不活化し、HAE発作の原因となるカリクレイン産生を長期的に抑制することを目指した世界初のin vivo CRISPR治療候補である。
Intelliaは既に、第Ⅲ相HAELO試験で主要評価項目を達成したことを発表していた。
今回公表された追加解析では、
・オンデマンド治療を必要とする発作を89%減少
・中等症~重症発作を91%減少
・HAE患者QOLスコア(AE-QoL)を有意に改善
することが示された。
さらに、
・発作頻度はプラセボ群比87%減少
・62%の患者が6か月間「発作ゼロ・追加治療ゼロ」を達成しており、これまで報告された主要結果も再確認された。
安全性についても良好であり、重篤な有害事象は報告されなかった。
現在のHAE治療では、
・頻回の皮下注射
・定期的な静脈投与
・毎日の経口投与
など継続治療が必要となる。
これに対しLonvo-zは、
「1回の投与で長期的な発作抑制」を目指す点が大きな特徴である。
Intelliaは2026年4月にFDAへのBLA提出を開始しており、2027年前半の米国承認および上市を見込んでいる。
CRISPR医療はこれまで、
「本当にヒトで成立するのか」という段階にあった。
しかしLonvo-zは、「1回の遺伝子編集で慢性疾患を長期コントロールする」という新しい治療概念を現実のものにしつつある。
2027年、世界初のin vivo CRISPR承認が実現するのか。
引き続き注目したい。
※本テーマについては、以前投稿した「病に挑む次世代治療 No.26」の続報となります。
https://note.com/natty_daphne2321/n/nb4d11c3dfe5c