
韓国で超オススメ!ただし、時間×体力×精神力が必要|国立現代美術館 果川本館「ロードムービー: 1945年以降、韓日美術」ほか
【#367、約7,600文字、写真約150枚】
韓国にある国立現代美術館 果川本館(국립현대미술관 과천)に初めて行き「ロードムービー: 1945年以降、韓日美術」などを鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。
▶︎ 結論
韓国の中でも、大満足の美術館でした!それは主に、1)大自然と溶け込む建築と、館内で巨大螺旋スロープを使ったユニークな設計、2)子どもにも寄り添った運営、3)韓国人の作品を中心とした約9,000点の収蔵数、4)複数込みの展覧会が₩3,000と激安だったことによります。近くには、遊園地や動物園などもあるため、家族での訪問もオススメです!
なお、留意点は以下です。
大ボリュームすぎるため、精神的、肉体的に疲れた
僻地にあるため、MMCA初心者はまず「ソウル館」がオススメ
おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:①果川館40周年プロジェクト:光の想像たち、②ロードムービー: 1945年以降、韓日美術、③MMCA果川常設展《韓国近現代美術 I》、④MMCA果川常設展《韓国近現代美術II》、⑤MMCA海外名作:スイレンとシャンデリア
場所:国立現代美術館 果川本館
会期:①2026.07.10〜2027.11.29、②2026.05.14〜2026.09.27、③2025.5.1〜、④2025.6.26〜、⑤2025.10.2〜2027.1.3
休館日:毎週月曜日
開館時間:10:00-18:00
住所:313 Gwangmyeong-ro, Gwacheon-si, Gyeonggi-do, 韓国
アクセス:ソウル大公園駅から無料シャトルバスで約10分
入場料(一般):₩3,000
事前予約:不要
所要時間:3時間以上
撮影:95%以上撮影可能
URL:①こちら、②こちら、③こちら、④こちら、⑤こちら
▶︎ 訪問のきっかけ

訪問の主なきっかけは2つ。1)韓国旅行を企画した際、行ったことがない美術館として候補に上がった、2)隣接するソウルランドに子どもと行く予定があったことです。
▼ 去年、韓国で美術館4つを巡った旅行記
▶︎ アクセス

私はまず、ソウル駅から電車で約40分かけてソウル大公園駅へ向かい、そこから「ゾウ列車」で約10分かけて、ソウルランドへ行きました。そこで15時まで遊んだ後、国立現代美術館 果川館へ歩いて向かいました(約3分)。

ソウル大公園の周辺には、動物園、植物園、美術館、遊園地、キャンプ場などが集まる、大規模なテーマパークになっています。









国立現代美術館 果川本館へは、ソウル大公園駅から徒歩だと約20分で到着します。もしくは、ソウル大公園駅から美術館へ20分おきに運行している無料シャトルバスもあります。
ソウルランドへ行く場合も、有料のゾウ列車に乗るのではなく、無料シャトルバスで美術館まで向かった後、そこから数分歩いて向かうのも良いかもしれません。

▶︎ 国立現代美術館 果川本館とは?

MMCAは韓国唯一の国立美術館として、1969年、李氏朝鮮時代の王宮であった景福宮内に設立(その後、徳寿宮→果川に移転)。現在、韓国内に4つのMMCAがあります。
果川本館(1986年):韓国や世界の現代美術が中心
徳寿宮館(1998年):20世紀初頭の韓国の近代美術が中心
ソウル館(2013年):21世紀の現代美術やメディアアート中心
清州館(2018年):保管や修復が中心、収蔵庫も公開
▼ MMCA ソウル館の感想
今回訪問したMMCA 果川館は3階建て。敷地面積は7万3,360㎡、展示スペースは約1万3,941㎡(韓国最大級!)、館外には3万3,000㎡の彫刻庭園もあります。

設計の担当は、金泰洙(Tai Soo Kim/김태수)で、アメリカを活動拠点とする韓国系アメリカ人です。代表作はこの果川本館。彼の建築の特徴は「stories about simplicity」「adapting to the conditions of regions」らしいです(参考)。



MMCA全体のコレクション数は、11,800点以上。そのうち、約91%が韓国人の作品。また、果川本館のコレクション数は、全体の約74%(約9,000点)を占めます。

果川本館の建築で面白い点は、建物の中央に巨大な螺旋スロープを設置していることです。それを徐々に上りながら、左右の展示室を行き来し、最終的には屋上へ到着する仕組みになっています。このパターンは初めてだったため、新鮮なつくりだと感心しました。

高さ18.5m、1,003台のテレビモニターで構成された作品
現在、ワタリウム美術館で展覧会を実施中
▼ Musseum SAN(韓国)も大きなナムジュンの作品を常設
MMCA果川本館は、ソウルから約1時間かかる場所にあるにもかかわらず、館内には想像以上に観覧者が多くて驚きました。ソウルランドや動物園なども隣接することから、子どもの姿も多かったです(すばらしい)。
▶︎ 展覧会 感想

当日は、4〜5の展覧会が開催されていました。それが全部込みで₩3,000(約330円)とは激安!それぞれ1つずつがボリューミーだったため、時間的、肉体的、精神的に、丁寧に鑑賞するのは難しかったです😓
✔️ 1階Lobby「果川館40周年プロジェクト:光の想像たち」

「光」をテーマにしたインスタレーションを館内外で実施していました。ロビーに展示されていた作品は、地味だったため「作品」とは気づきませんでした(苦笑。
✔️ 1階Gallery1・2、メインホール「ロードムービー: 1945年以降、韓日美術」
1945年以降現在までの80年にわたって続いてきた日韓美術交流の歴史を俯瞰する。(…)韓国と日本の両国のアーティストたちは、それぞれ異なる政治的・社会的条件や歴史的状況の中で国境を越え、ロードムービーのような多層的な交流を続けてきた。



この展覧会は、横浜美術館で開催された「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」(2025年12月~2026年3月)の韓国verです。偶然、訪問した内容が、日本と強いつながりがある展覧会でラッキーでした。
▼ 横美で開催された展覧会の感想(mataさん)


今年8月、日経新聞で「韓国で<日本に好感>、過去最高の54.3%」という記事を読みました。18歳〜39歳では「非常に良い」「どちらかといえば良い」の合計が73%!韓国内の政治状況が大きく影響していると推測しますが、このような展覧会を実施すること自体、友好的な証左だと思いました。

館内の広さにびっくり






全体的に、暗く、影のある作品が多いと感じました(歴史的には当然かも)。そして、かなり抽象度の高い作品が並んでいたため、とっつきにくかったです。













▼ 菅木志雄の個展@小山登美夫ギャラリー





LEE Bul《Cyborg W5》




展示の中に、村上隆の初めて見る作品が多くありました。キャプションを読まずに進んだため「あえてスーパーフラットを置かず、初期作品を展示する文脈は何だったんだろう?」と気になりました。





改めて調べると、村上隆は、戦中・戦後のモティーフを使うことで「日本とは何なのか?」「アメリカに影響された日本文化とは何なのか?」「そして俺って一体…?」という問いを作品に語らせていたようです。








下記の作品は、韓国人のマジシャンが、日本の住宅街などを歩きながらしゃべり、マジックを披露する楽しい作品です。

と、当時は思っていたものの、実際は、水戸芸術館がアーティストに依頼して制作した作品でした。
東日本大震災の現場から約100km離れた場所で生活を送る、全盲の白鳥建二がマジシャンを「見る」視点で、動画が撮影されています。日本人でもない、被災もしていない、全盲でもない作家が、どのように他人の苦しみに共感するかを表現しているそうです(参考)。うーん、深い。
当時は「何でこんなコミカルな作品がメインビジュアルを飾ってんねや?」と思いましたが、実際はそれに匹敵する背景があったようです。

Gallery1・2を使った企画展だけでも大ボリューム。「Gallery」は全部で6つあり、その他の展示室も控えています。この時点で少し退嬰的になりつつ「サクサク見ないとやばい…」と痛感しました。
✔️ 1階Circular Gallery1「MMCA海外名作:スイレンとシャンデリア」

「Circular Gallery」という名前の通り、丸くて大きな展示室。その中央にある大きな円柱とベンチがおしゃれすぎる!また、大量のハイクオリティな作品に「すごすぎる…」しか言葉が出てきませんでした💬










右:Sam FRANCIS《Matter of Heart》



▼ SFMoMAも収蔵するチャック・クローズ



✔️ 2階Gallery3・4「MMCA果川常設展《韓国近現代美術II》」

このフロアは、植民地時代、朝鮮戦争、産業化、民主化などの時代を経て、20世紀後半に制作された約120点の作品が展示されていました。

日本に設置したら国旗損壊罪?(笑



ここも大ボリューム!歩くだけで肉体的に疲れました。





これらの作品群は、存命のアーティストも多いはず。鑑賞している韓国人の方たちにとっても、馴染みのある作品が多いのでしょうか?



韓国人がつくった作品群を見て「どんな国民性なんかなぁ」と俯瞰しながらサクサク鑑賞しました。韓国で多くつくられた白磁器のように、シンプルで実直な作風が多いと感じました。また、全体を通して、憂いや自虐、諦観のような印象も受けました。








✔️ 2階Circular Gallery2「光の想像たち」

ここには、ジェームズ・タレルの作品が1つ(撮影不可)、イバン・ナバロの作品が2つ展示されていました。

タレルの作品は、果川本館の新規収蔵品らしいです(MMCAでタレルは初収蔵)。彼にしては小さめの作品だったため、没入感は薄かったです。






✔️ 3階Gallery5・6「MMCA果川常設展《韓国近現代美術 I》」

MMCAの所蔵品から20世紀前半に制作された作品約150点を展示。歴史上は、大韓帝国、開化、日帝占領、解放、朝鮮戦争の時期に該当します。2階に展示されていた抽象絵画ではなく、わかりやすいファインアートがメインでした。






※国登録有形文化財




※国登録有形文化財






外国人の私がサクサク見ても、最後は時間もなく、精神的、体力的にもフラフラになってしまいました😮💨


✔️ 3階Bridge「光の想像たち」

3階の通路に展示されているAyoung KimのLED作品《Delivery Dancer’s Arc: Inverse》も、40周年を記念したものでした(3階が遠すぎて、作品をよく目視できず…)。
キム・アヨンは、今注目が高いメディア・アーティスト。『美術手帖 2026年1月号』の表紙も飾った実力派です。
✔️ 3階Rooftop「Garden in Time & Link」

最後は、3階の丸い屋上庭園でフィニッシュ。屋上全体が大型インスタレーションらしいです(2022年、参照)。私には、オシャレな屋上にしか見えませんでした☺︎


▶︎ 子供美術館

MMCAのHPを見ると「子供美術館」が別掲されているため「独立した建物があるん?すごい!」と思っていました。


しかし実際は、MMCA 果川本館内に「子供美術館」が同居していました。「美術館」と大層な名前が付いていますが、実際は1フロアの「室内あそびば」的な施設のようです(私たちは入室せず)。


当日は「おお~感覚美術館」(2026.04.30〜2027.02.21)を開催中。常設ではないため、MMCA 果川本館の気合いを感じました。

▶︎ MMCA Shop

ミュージアムショップには、残念ながら、はがきサイズのポストカードやステッカーの販売はなし。迷った挙句、普段は買わないマグカップを購入。保管に場所を取るため、マグカップはあまり好きではありません。しかし、マグカップを使うたびにMMCAで疲労困憊した記憶が蘇るので、買って良かったと思いました。
▼ 私の思うベストミュージアムグッズ
MMCAのロゴは格好いいので、大きなダイステッカーをつくれば売れると思います!


そのほか、1階と2階の間にカフェテリア「LOUNGE D」もあります。
▶︎ 彫刻庭園

MMCA 果川本館には、彫刻庭園があります。ここは入場無料で楽しめます。







▶︎ まとめ
いかがだったでしょうか?具体的な学びは薄かったものの、大自然の中に溶け込んだ建築、子どもにも優しい取り組み、ハイクオリティな収蔵品、大ボリュームな展示数により、大満足でした!近所に遊園地や動物園、植物園などがあって十分に遊べるものの、ソウルからは若干遠いため、MMCAに行ったことがない人は、まずは「ソウル館」をオススメします。
▶︎ 次回予告

次回は、坂の上の雲ミュージアム(愛媛県)で開催中の「<坂の上の雲>にみる明治のインテリジェンス」の感想を投稿する予定です。
▶︎ 今日の美術館飯



▶︎ あなたにオススメ3選
1)韓国のオススメ博物館
2)李禹煥の美術館
3)note投稿の全リンク集(367件)
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