
4年で取り壊し?ソウルで楽しむ仏老舗美術館の贅沢夜アート|ポンピドゥー・センター・ハンファ「The Cubists:Inventing Modern Vision」
【#369、約6,300文字、写真約75枚】
2026年6月に韓国にできたばかりのポンピドゥー・センター・ハンファ(퐁피두센터 한화 / Centre Pompidou Hanwha)に初めて行き「The Cubists:Inventing Modern Vision」を鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。
▶︎ 結論
韓国でもオススメの美術館だと思いました!それは主に、1)近くには汝矣島漢江公園もある都心の好立地、2)広くておしゃれな館内、3)ハイクオリティで有名な作品がたくさん!、4)水曜・土曜は21時まで営業していたことによります。アートに詳しくなくとも、著名な作品を多く見られることで満足度も高いです。4年後に存在していない可能性があるので、今のうちに是非!なお、観覧料は₩28,000と若干高めです。
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:The Cubists:Inventing Modern Vision
場所:ポンピドゥー・センター・ハンファ
会期:2026.06.04 - 2026.10.04
休館日:every Monday
開館時間:火・木・金・日が10:00~18:00、水・土が10:00~21:00
住所:63 Building, 50 63-ro, Yeongdeungpo-gu, Seoul
アクセス:汝矣ナル駅から徒歩約15分
入場料(一般):₩28,000
事前予約:不要
所要時間:約1時間半
撮影:ケータイは可能(デジカメは禁止)
URL:こちら
▶︎ 訪問のきっかけ

韓国旅行に行く前、Googleで「韓国 / 美術館」と検索。その際、ポンピドゥー・センター・ハンファという美術館が、2026年6月4日にオープンしたと知りました。「韓国にポンピドゥー?!できたばっかり?!これは行くしかあらへん!」と思い、訪問しました。

▶︎ アクセス

ポンピドゥー・センター・ハンファは、汝矣ナル駅から徒歩約15分。私は歩いて向かいましたが、公式サイトでは、バス利用をオススメしています。平日は無料シャトルバスが運行しています。









▶︎ ポンピドゥー・センター・ハンファとは?

✔️ 今年6月オープンしたばかり!

ポンピドゥー・センター・ハンファは、2026年6月4日にオープンしたばかり。2023年、フランスと韓国の外交140周年を記念し、ポンピドゥー・センターとハンファ文化財団が4年間のパートナーシップ契約を締結しました。
ハンファ文化財団は、ポンピドゥー・センターとの契約に2,000万ユーロ(約36億円)を支払ったそうです。4年間、1人₩28,000の観覧料、1日8時間営業と仮定すると、単純計算で1時間に100人の来場でペイできます。それ以外の収入や、費用があるとしても、ハンファの儲けは少なそうです(もしくは赤字?)。
美術館のコンセプトは以下(うーん、平凡…)。
"Fostering Arts, Expanding Cultural Horizons"
(芸術を育み、文化の地平を広げる)
✔️ 立地は、韓国のウォール街・汝矣島

場所は、韓国・ソウルのウォール街と言われる汝矣島。そこに建つハンファグループの本社「63ビル」の旧コンベンション棟1〜3階に位置します(もとは水族館)。施設全体のスペースは1万1,000 ㎡以上。ギャラリーは2室で構成(それぞれ約1,500㎡)。

設計は、ジャン=ミシェル・ヴィルモットが率いる建築事務所・Wilmotte & Associés(フランス)が担当。他の代表作は、ルーブル美術館の改装やエリゼ宮、仁川国際空港(ターミナル2)の空間デザインなど。

建物のコンセプトは「Box of Light」。昼は自然光が奥まで届き、夜は建物自体が街を照らす仕組みになっています。くにゃくにゃした形状は、韓国の伝統的な屋根瓦の曲線をイメージしたらしいです。
✔️ 4年で取り壊し?

現在、ポンピドゥー・センターは、大規模改修により長期休館中。その間、作品群を眠らせるのはもったいないため、それらを海外展開するプロジェクトの一環で、韓国に美術館が設立。そのため、ハンファの命は、ポンピドゥー本館の改装が終わるまでの4年のみの予定です。
ハンファは収蔵品はもたず、フランスの本館が所蔵する作品を使って、年に2回の企画展を予定しています(4年間✖️2回=計8回)。
2026年11月には、ベルギー・ブリュッセルにもポンピドゥー・センターが関わる新しい現代美術館「KANAL」がオープン予定(こちらは、5年間の契約。ハンファと違い、その後も館は存続)。
✔️ ポンピドゥーのユニークな拡大戦略

ポンピドゥー・センターは、自館のコレクションを使って、世界に分館のような施設を多くつくっています。

ただし、ハンファのように、本館の休館中だけ作品を貸すのではなく「5年程度の期間で、現地パートナーと共同構築する」宗旨を採用しています。そのようなモデルは、グッゲンハイムやルーブルも実施していますが、ポンンピドゥーの契約期間は比較的短めです(結果的に契約延長していますが)。

日本には表参道(東京)、中之島(大阪)のみ

韓国には4店舗(日本は7店舗)
日本でポンピドゥー・センターの話がなく(水面下ではあったかもしれませんが)、韓国で実現できたのは、フランスとの関係の強さが影響しているのかな?と思いました。
▶︎ ハンファって何?

ハンファグループは、ソウルに本社を置く韓国の大手財閥の1つです(韓国内では7位の規模)。もとは「韓国火薬(ハングクファヤク)」として1952年に創業し、現在は化学、防衛産業、造船、太陽光などの事業を手掛けています。

各財閥が大なり小なりアート施設があるなか、ハンファはポンピドゥー・センターとのパートナーシップで、やっと仲間入りを果たせたようです。
▼ サムスンと関連があるLeeum美術館
▼ MMCAで現代自動車が協賛していた展覧会
▶︎ 「The Cubists:Inventing Modern Vision」感想

ポンピドゥー・センター・ハンファのオープニングを飾る展覧会は、キュビズムに関する定番的な内容。1907年前後の黎明期から1920年代までを8つのセクションで構成し、ピカソやブラックなど約40作家による約90点が展示されていました。
また、キュビズム運動が韓国に影響を与えた「KOREA FOCUS」も開催。韓国の美術館が所蔵する韓国人作家11人の絵画、21点も紹介されていました。

一般観覧料は₩28,000。一般的な韓国の展覧会にしては高額な部類だと思いました。以下のブログでも同様の記載がありました。
성인 28,000원, 솔직히 미술관 입장료로 가벼운 값은 아니다. 큐비즘이라는 단일 주제에 큰 관심이 없다면 1시간 만에 나올 수도 있으니, 주제만 떼 어 보면 호불호가 갈릴 수 있다.
(大人28,000ウォン、正直言って美術館の入場料としては手頃な値段ではない。キュビスムという単一のテーマに大きな関心がなければ1時間で出てきてしまう可能性もあるので、テーマだけ見れば好みが分かれるかも)
展示室内での撮影は、ケータイのみ可能(デジカメは不可)。日本でもたまにある形式ですが、私は韓国で初めて出会いました。

半地下文化はややこしい




✔️ ギャラリー1

ギャラリー1に入り、ざっと見回しただけでも作品量が多いと感じました。さすが、観覧料が高いだけはあります。時間も限られているため、サクッと鑑賞しました。

私は、21時まで営業している土曜日に訪問し、18時半から20時ごろまでいました。繁華街で観光客も多い立地だからか、遅い時間帯でも観覧者は多かったです。

展示してある作品は、ピカソを中心に、どこかで見たことがあるクオリティの高い作品がたくさん。さすがポンピドゥー・センターの杮落とし!

ピカソ(上)とブラック(下)の作品を並べてみるとそっくり。ピカソといえば『泣く女』のような過激なタッチを想像しますが、20世紀初頭は黄土色で地味な作品が多かったようです。



展示室内は、ただ壁に作品をかけるだけではなく、造作に凝っていたため、非日常感がありました(さすが、観覧料が…略)。全体的に、ベージュトーンで構成されていたため、落ち着いて鑑賞できました。

作品の展示に使っているガラスはすべて低反射タイプでした。ガラスの有無がわからないほどの高性能だったため、とても快適に鑑賞できました。


ロベール・ドローネーの大きな作品が、この展覧会で最も印象に残りました。「なんだこりゃ?意味不明や…」というキュビズムではなく、描かれている対象を把握できる範囲で「美しく、面白い」と思える作品でした。
また、ギャラリー2に登場するピカソの大作も含めて、こんなにたくさんの作品をフランスからよく運んできたなぁ、と感心しました。




館内では、子ども美術ツアーも実施していました。親の同伴はなく、子どもたちは静かにガイドの言うことを聞きながら、感想を話していました。このような取り組みを日本の美術館も強化すれば、美術館にとっても、親にとっても(子どもにとっても)win-win(-win)だと思いました。

ロベール・ドローネーの奥さんの作品




✔️ ギャラリー2

ギャラリー2は、1と違って、吹き抜け空間となっていました。







ピカソの大型舞台幕「メルキュール」(393cm✖️502cm)は、韓国で初めて公開されたそうです。シュルレアリスムのような雰囲気も感じます。






過去、韓国は日本のコントロール下に置かれていました。そのため、フランスのキュビズムがダイレクトに輸入されず、さまざまなキュビズムが一緒くたに表現されたそうです。

Leeum美術館から


これもLeeum美術館から




ポストカード(日本のハガキサイズ)は、₩4,000ウォンと割高だったため、ステッカーセット(₩6,500)を購入。

◾️ 韓国の監視員は若者ばかり

気になったのは、看視員がみな若者ばかりだったこと(韓国のほかの美術館も同様)。日本では中年以降の方が多く、鑑賞者が作品の品質を損なわないために、目ざとく注意してくる印象が強いです。
この違いには、以下のような理由があるようです。
1)学歴社会の韓国では、キャリア形成の一環で美術館スタッフに応募する
2)韓国の高い若者失業率を解消するため、政府や自治体が、青年雇用プログラムや公共枠を積極的に導入
3)看視員ではなく、解説員や展示ガイド、学芸員の補助なども一体として担う役割が強い
4)英語や中国語を話せることが重宝される
5)デジタル・写真撮影へ寛容な社会のため、それに順応した若者の雇用が重視される
6)形態が非正規の短期〜中期の契約社員・アルバイトのため、学生がシフトを組みやすい
7)アートブームにより、美術館で働く=若い世代のおしゃれなカルチャーと捉えられている
環境が違えば、看視員(解説員)も変わるのは興味深いです。
◾️ 韓国のSNS文化と、鑑賞スタイル

展示室内では、作品を撮影している友人を撮影する友人(カップル)、作品の前でピースサインをして撮影する人をたくさん見かけました。日本で行うと、眉をひそめられそうですが、韓国ではそれが普通。そのため、迷惑視したり、怒る人は1人もいません(笑。
SNSが発達した文化だと、美術館での過ごし方・楽しみ方も変わるんだなぁと思いました。
▶︎ まとめ

いかがだったでしょうか?韓国旅行の際に訪れる価値が十分にある美術館でした!都心にある好立地、広大で鑑賞しやすい展示環境、質の高い作品群など、アートに興味が薄い人も楽しめると思います。週に2回は、21時まで営業しているのもありがたいです。4年後にはなくなっているかもしれないので今のうちにGO!このほか、あなたのオススメする韓国の美術館があれば、是非、コメント欄で教えてください☺︎
▶︎ 次回予告

次回は、愛媛県美術館 で鑑賞したコレクション展の感想を投稿する予定です。
▶︎ 今日の美術館飯

▶︎ あなたにオススメ3投稿
1)韓国で4つの美術館を巡った旅行記
2)ピカソのセラミック専門の美術館
3)noteに投稿した全リンク集(369件)
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