#41|【遠距離介護とお金①】 1000万円かかると思っていた。両親の介護費、実際の月額
介護が始まった頃、私はよくお金の心配をしていた。
「介護費 平均」
そんな言葉を検索した。
ある調査によると、
介護期間の平均は、一人あたり4年7か月。
一時的にかかる費用が47万2千円。
月々の費用が9万円。
単純に計算すると、一人およそ540万円になる。
父と母、二人なら。
1000万円を超える。
介護が10年続いたら、どうなるのだろう。
母の介護度がもっと上がったら。
父の認知症が進行したら。
二人のお金は、最後まで足りるのだろうか。
しかも、私はすぐには駆けつけられない。
自分でできないことは、誰かに頼まなければならない。
遠距離なら、そのためのお金もかかる。
介護が始まれば、
それまでの生活費に介護費がそのまま上乗せされていく。
毎月、両親の貯金がどんどん減っていく。
そんなイメージだった。
あれから4年が経った。
母は要介護3になった。
週4日、小規模多機能へ通い、
週2日はそこで泊まっている。
父も要支援1になり、
週2回、半日のデイサービスへ行くようになった。
二人は自立型ケアハウスで暮らしている。
両親の受診には、
付き添いを頼む。
お金の管理は、
社会福祉協議会にお願いしている。
緊急時には、
家族の代わりに24時間駆けつけてもらえるよう契約もした。
薬の管理も、薬局にお薬カレンダーに薬をセットして
持ってきてもらっている。
両親に毎月いくら入ってきて、
いくら出ていくのか、
一度全部並べてみた。
父と母の収入は、二人合わせて月24万円ほどの年金。
それに対して、毎月の支出は、
二人で暮らすケアハウスの費用、
食費や光熱費を含めて約13万円。
母の小規模多機能が約8万円。
父のデイサービスが約1万円。
そのほかに、
受診の付き添いやタクシー代、
金銭管理の支援、
緊急時のためのサービス、
通信費、
薬の管理、
日用品や二人のお小遣いなどがある。
全部足すと、月に約29万円だった。
年金が24万円。
支出が29万円。
差額は、5万円。
私はしばらく、その数字を見ていた。
二人とも施設で暮らし、介護サービスを使い、
私ができないことを人に頼んでいる。
それでも、貯金から補っているのは、
二人合わせて月5万円だった。
年間なら60万円。
介護が始まった頃に私が想像していた、
「介護費が生活費の上にどんどん積み上がって、両親の貯金が減っていく」
という家計とは、ずいぶん違っていた。
これからもずっと同じ金額で済むとは限らない。
それでも、4年前に想像していた現実とは違っていた。
考えてみると、
介護費が増えた一方で、必要のなくなった支出もかなりあった。
二人は実家を出た。
父は車を手放した。
長年払い続けてきた民間の医療保険も解約した。
旅行へ行くこともなくなった。
実家を維持していた頃には、
固定資産税、
マンションの管理費や修繕積立金、
火災・地震保険、
電気や水道などがかかっていた。
車には、
自動車保険、
自動車税、
駐車場代がかかっていた。
民間の医療保険もあった。
計算してみると、必要のなくなった支出だけで、
年間100万円近くになる。
介護費は増えた。
でも、それまでの暮らしにかかっていた
年間100万円近い支出がなくなった。
さらに、家と車を売ったことで、
まとまったお金が手元に戻ってきた。
解約した保険から戻ってきたお金もある。
これからの介護に使うことができるお金。
介護が始まる前の私は、
「今の生活費+介護費」
で考えていた。
実際には、そうではなかった。
必要のなくなった支出が消え、
介護に必要な支出に変わった。
そして、家や車という形で持っていた資産も、
これから使えるお金に変わった。
介護が始まって増えたお金ばかりを見ていた私は、
暮らしが変わることで、
お金の流れそのものが変わることを見ていなかった。
少し安心した。
そう思えたとき、別の問題が見えてきた。
本当に考えなければならなかったのは、
親の家計ではなく、
私自身のお金だった。
つづく。
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