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【第7話】お姫さまとオオカミさん~ケーキの中の大騒ぎと、みんなの笑顔~【ねんね前の読み聞かせ】

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    ケーキの中の大騒ぎと、みんなの笑顔

    むかしむかし、あるところに お姫様とオオカミさんがいました。
    お姫様はその国で一番偉い人だったので、 お友達がいませんでした。
    オオカミさんは森の動物たちに怖がられていて、 友達がいませんでした。
    そんな二人の物語です。


    「ただいま戻りましたー!」
    夕方、城の門が開き、兵隊さんのリーダー、トーマスが大きな声で入ってきました。 両手で大事そうに抱えているのは、ふわふわのイチゴのショートケーキ。
    「町の腕相撲大会で優勝したんだ!」
    その声を聞いて、エイダがぱっと振り向きました。
    「わあ! すごい! トーマス!」
    その時です。
    「……チチチ……」
    ケーキの中から、小さな音がしました。
    「……え?」
    トーマスが目を丸くした次の瞬間――
    「ネ、ネズミィィ!!」
    ガシャーン!
    トーマスは大声を上げて、鎧の音を立てながらひっくり返ってしまいました。


    「トーマス!?」
    エイダが慌てて駆け寄ります。 ケーキの蓋が開き、中からひょこっと顔を出したのは―― 生クリームまみれの小さなネズミ。
    「……あ」
    エイダの顔が、ぱあっと明るくなりました。
    「あ、チュー太郎! こんなところにいたのね!」
    「えっ……!?」 「お、お知り合いですか!?」
    床に座り込んだままのトーマスは、足をがくがく震わせています。
    チュー太郎は、ぺこりと頭を下げました。 「ご、ごめんなさい……ちょっと……空を飛んでたら……」
    説明を聞いているうちに、トーマスの顔から少しずつ強張りが消えていきました。 そして――生クリームだらけのチュー太郎を見て、ふっと笑いました。
    「……災難だったな、小さな冒険家さん」
    「……!」
    チュー太郎の目が、きらっと光ります。
    「で、でも……」
    トーマスはすぐに立ち上がり、一歩下がりました。
    「やっぱりネズミは……ちょっと……こ、怖い……!」


    「ふふっ」
    エイダが笑います。
    「でも、トーマス。チュー太郎、悪い子じゃないのよ」
    「……う、うむ」
    トーマスは頷きました。 へこんだケーキを見て、トーマスは言いました。
    「……これは、みんなで食べよう」
    「えっ?」
    「せっかくの優勝賞品だ。一人で食べるより……そのほうがいい」
    エイダは嬉しそうに笑いました。
    「ありがとう、トーマス!」


    三人はテーブルを囲みます。
    エイダはきちんとお皿で。 トーマスは大きな一切れ。 チュー太郎は――こっそり端っこを一口。
    「……美味しい」 「うむ!」 「で、でちゅ……!」
    その声に、エイダとトーマスは顔を見合わせて――
    「わっはっは!」
    城の中に、大きな笑い声が響きました。
    その夜、ユマール王国は、いつもより少し温かい空気に包まれていました。
    身分も、大きさも、種族も違うけれど―― 同じケーキを囲んだ夜。
    エイダは、とても幸せな気持ちで目を閉じました。
    おやすみなさい。



    👇youtubeでも公開しています👇

    https://youtu.be/yiNEVr6kgYU


    BGM無し 朗読音声無料公開中(生成AIにより作成)


    ※本記事には広告が含まれます(Amazonアソシエイトを利用しています)
    今回のお話は「ちがいをこえて分かち合うよろこび」があたたかく描かれていました。
    同じように、気持ちをそっと大切にしてくれる絵本はこちらです。

    ▶︎いっしょにたべよう


    ――――――――――

    👇お子さまと一緒に読む方はこちら👇

    (ひらがな版へ)

    ※ひらがながよめる おこさまむけに、やさしく かきなおしています

    ――――――――――

    ケーキの なかの おおさわぎと、
    みんなの えがお

    むかしむかし、あるところに
    おひめさまと
    おおかみが いました。

    おひめさまも、
    おおかみも、
    ともだちが いませんでした。

    これは、そんな ふたりの
    おはなしです。

    ゆうがた。

    「ただいまー!」

    トーマスが
    おおきな こえで
    かえってきました。

    りょうてには――
    ふわふわの ケーキ。

    いちごの ケーキです。

    「まちの たいかいで
    かったんだ!」

    その こえに、
    エイダが くるっ。

    「わあ! すごい!」

    そのとき――

    「……ちちち……」

    ケーキの なかから、
    ちいさな おと。

    「……え?」

    つぎの しゅんかん――

    「ね、ネズミぃぃ!」

    がしゃーん!

    トーマスは
    びっくりして、
    どてん!

    ころんで しまいました。

    ―――――

    「トーマス!?」

    エイダが
    いそいで ちかづきます。

    ケーキの ふたが ひらいて――

    ひょこっ。

    でてきたのは、
    クリームだらけの
    ねずみ。

    「……あ!」

    エイダの かおが
    ぱっと あかるく なります。

    「チューたろう!」

    「こんな ところに いたのね!」

    「えっ!?」

    トーマスは
    まだ びくびく。

    「し、しりあい!?」

    チューたろうは、
    ぺこり。

    「ごめんなさい……
    そらを とんでたら……」

    はなしを きいて、
    トーマスは
    だんだん おちついてきました。

    そして――

    くすっ。

    「たいへん だったな、
    ちいさな たんけんか」

    「……!」

    チューたろうの めが
    きらり。

    でも――

    「で、でもな……」

    トーマスは
    すこし さがって、

    「ネズミは……
    ちょっと こわい……」

    ―――――

    「ふふっ」

    エイダが わらいます。

    「でもね、トーマス。
    チューたろうは
    いいこだよ」

    「……うむ」

    トーマスは
    うなずきました。

    つぶれた ケーキを みて、

    「……みんなで
    たべよう」

    「えっ?」

    「ひとりより、
    いっしょの ほうが いい」

    エイダは にっこり。

    「ありがとう!」

    ―――――

    さんにんで、
    テーブルへ。

    エイダは おさらに。
    トーマスは おおきく。
    チューたろうは ちょっぴり。

    ぱく。

    「おいしい」
    「うむ!」
    「で、でちゅ…!」

    そのこえに――

    「わはは!」

    みんなで
    おおわらい。

    そのよる。

    おしろの なかは、
    いつもより
    ぽかぽか。

    おおきさも、
    ちがいも、
    かんけいありません。

    おなじ ケーキを
    いっしょに たべた よる。

    エイダは、
    しあわせな きもちで
    めを とじました。

    おやすみなさい。


    このおはなしは、ここから つづいていきます。

    ▶︎ つぎのおはなし

     
     
     
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