
【第6話】お姫さまとオオカミさん~チュー太郎、空のおさんぽ~【ねんね前の読み聞かせ】

チュー太郎、空のおさんぽ
むかしむかし、あるところに お姫様とオオカミさんがいました。
お姫様はその国で一番偉い人だったので、 お友達がいませんでした。
オオカミさんは森の動物たちに怖がられていて、 友達がいませんでした。
そんな二人の物語です。
その日、ユマール王国のお城は静かでした。 エイダはいません。 この日はトーマスも居ないようです。
「……よし」
壁の小さな穴から、ひょこっと顔を出したのは、デニムのオーバーオールを着たネズミのチュー太郎です。
「今日は……城の中を探検する日なんだ」
チュー太郎は冒険家。 狭い道も、暗い道も、わくわくしながら進みます。
横の道。縦の道。斜めの道。ぎざぎざの道。
「お、ここは温かいな」 「おっと、いい匂い!」
ぐんぐん進んでいくと、前の方に眩しい光が見えてきました。
「出口だ!」
外に出たその瞬間――
「うわあ……!」
そこは、お城の塔の一番てっぺん。 下を見ると、町も、森も、全部小さく見えます。
「こ、怖い……でも……ドキドキする!」
チュー太郎は、足をぶるぶるさせながらも、えへっと笑いました。
「これぞ冒険家だよな」
塔のてっぺんには、旗を支える真っ直ぐな棒が立っていました。
「もっと上に行けるかも」
えいっ、と登ったその時――
ヒュ〜〜〜ッ!
強い風が吹きました。
「わっ!」
棒がしなり、びよーん! 元に戻る反動で――チュー太郎は空へ――
ぴょーん!
「うわあああ!」
ヒュ〜〜〜ッ! ヒュ〜〜〜ッ!
風の音が耳の横を通り過ぎます。 くるくる。ふわふわ。
「……あれ?」
チュー太郎は、ぎゅっと目を閉じてから、そっと開きました。
「……飛んでる?」
下を見ると、お城がミニチュアみたい。
「すごい……!」 「お空のおさんぽだ!」
怖いけれど、なんだか楽しい。
「あっちにエイダがいるかな?」 「森の方は……リティかな?」
そんなことを考えているうちに――
「……あっ」
下に見えたのは、大きな銀色の鎧を着た人。 その人が、頭の上で掲げていた――ふわふわのイチゴのショートケーキ。
「えっ……?」
次の瞬間――
ムギュッ。
柔らかくて、甘くて、ふかふか。
「……?」
ぺろ。
「……美味しい!」
チュー太郎は、生クリームにすっぽり埋まりながら、ほっと一息つきました。
「助かった……」
ふわふわのケーキは、まるで雲のベッドみたい。 チュー太郎は、そのまま目を閉じました。
「……冒険は、まだ続くみたいだな」
おやすみなさい。
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今回のお話は「ちいさな勇気と、思いがけない冒険」がやさしく描かれていました。
同じように、気持ちをそっと大切にしてくれる絵本はこちらです。
▶︎ぐりとぐら
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※ひらがながよめる おこさまむけに、やさしく かきなおしています
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チューたろう、
そらの おさんぽ
むかしむかし、あるところに
おひめさまと
おおかみが いました。
おひめさまも、
おおかみも、
ともだちが いませんでした。
これは、そんな ふたりの
おはなしです。
そのひ。
ユマールおうこくの おしろは、
とても しずか。
エイダも、
トーマスも、
おでかけ していました。
「……よし」
かべの あなから、
ひょこっ。
チューたろうが
かおを だしました。
「きょうはね、
たんけんの ひ!」
ちいさな からだで、
わくわく。
せまい みち。
くらい みち。
よこの みち。
たての みち。
ななめの みちも、
どんどん すすみます。
「ここ、あたたかい!」
「いい においも する!」
ぐんぐん すすむと――
まえに
ぴかっと ひかり。
「でぐちだ!」
そとへ でた とたん――
「うわあ……!」
そこは、
とうの てっぺん。
したには、
まちも もりも、
ちいさく みえます。
「こ、こわい……
でも、たのしい!」
あしは ぶるぶる。
でも、にこっ。
「これが
たんけんだよな!」
てっぺんには、
はたの ぼう。
まっすぐ そびえています。
「もっと うえへ
いけるかも!」
えいっと のぼったら――
ヒュ〜〜〜!
つよい かぜ。
「わっ!」
ぼうが びよーん!
もどった はずみで――
ぴょーん!
チューたろうは、
そらへ!
「うわあああ!」
ヒュ〜〜〜!
かぜが びゅんびゅん。
くるくる。
ふわふわ。
「……あれ?」
めを ぎゅっと とじて、
そっと あけます。
「……とんでる?」
したには、
ちいさな おしろ。
「すごい!」
「そらの おさんぽだ!」
ちょっと こわい。
でも、わくわく。
「エイダ、どこかな?」
「リティも いるかな?」
そう おもっていると――
「あっ」
したに みえたのは、
ぴかぴかの よろい。
その うえに――
ふわふわの ケーキ。
いちごの ケーキ。
「えっ……?」
つぎの しゅんかん――
むぎゅっ。
やわらかい。
あまい におい。
ふかふか。
「……?」
ぺろ。
「……おいしい!」
チューたろうは、
クリームの なかで
ひとやすみ。
「たすかった……」
ケーキは、
くもの ベッドみたい。
「……たんけん、
まだ つづきそう」
そう つぶやいて、
めを とじました。
おやすみなさい。
このおはなしは、ここから つづいていきます。