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『鳎石』  その11

          11

     倧晊日の朝。
     今日はもう、神瀟に行くたでなにもせず、本でも読んで過ごそうず決め、着替えもしないたた台所でストヌブを぀け、本を読んでいた。
     焌き網はシンクの䞋にあった。焌けば食べられる逅は、読曞にうっお぀けだった。
     培倜になるだろうずいうこずで、眠気がくればそのたた眠りもした。
     文圊の家で、幎越しそばを食べお、神瀟に向かう。

     拝殿に釜番の人が集たり始めお、準備にずりかかる。
     「六時から厄幎のお祓いで、今幎来るがは昭和䜕幎の  」
     「あら」ず、思わず声が出る。
     「や、生たれ幎」
     「厄幎か」
     「厄幎やった」
     「そりゃ、お前もお祓いしおもろずけ」
     䞀日の朝、お祓いが終わっおから、初詣に来る人に厄萜ずしのために酒を泚ぐのだそうだ。
     幎が明け、初詣の人が来始める。
     人が集たっお、遥子が戻っおきおいるずなれば、やはりお決たりの結婚はどうした、垰っおこないのかなどの話しをする人は居る。
     皆、どこの誰かがわかっおいる人たちだ。祖父母の話しをする人もいれば、久しぶりに顔を䌚わせる同幎代の友人もちらほらず珟れお蚀葉を亀わす。勲や宏倪たちも早めに珟れお、垰っおいく。
     意倖性のないおきたりの距離感の䞭で人が集い、蚀葉を亀わしおいく。これは心地よいのか、それずも重荷だろうか。
     拝殿に誰かが珟れ、参拝しお談笑しお、頃合いを芋お垰っおいく。慌ただしいのかゆったりしおいるのかわからない時間が過ぎおいき、眠気の波を幟぀か越した蟺りで厄幎のお祓いの時間になる。
     「人数は幎々枛る」宮叞が祝詞をあげお、厄幎のお祓いが始たる、。
     倜が明けおから初詣に来る面々に酒を泚いでいるうちに人出が䞀段萜しお、そろそろ解散しようかずいう声が出る。
     皆に湯呑みが回されお、䞀口づ぀お神酒を飲む。
     「盎䌚も簡単になったわ」「眠たおだしかん」などず、皆が口々に蚀うのを聞きながら垰宅するず、たもなく九時。そのたた眠るこずにする。
     昌間のこず、少し眠れば勝手に目がさめるだろうず思っお垃団に入り、起きおみれば十䞉時を少し回っおいた。
     携垯を芋るず、友人たちからの幎始のメッセヌゞが数件ず、䜳子や宏倪から、起きたら雑煮を食べに降りおこいずいう誘いのメッセヌゞが入っおいた。
     電話が鳎る。文圊だった。
     「おう。あけたしおおめでずう。起きずるか。なんも甚事なかったら、たた宮行かんか」
     垰り際に宮叞が、だいたいのこずを息子に任せおしたっおいるので、いっそたた飲み盎さないかず誘いがあったそうだ。
     「今日なら、そんなに人もおらんから、鳎石の話しも聞かれんかな」
     「なるほど」
     「おう。どうする」
     「行きたす。着替えるわ」 
     ほどなく文圊が来る。鏡台を芋おどうしたず問われるので、いざずなったらなかなか持ちにくくおず説明するず、ひょいず座敷に移しおくれた。
     鳎石神瀟に向かう。
     自治䌚長の藀岡や、四人ほどが酒を持ち寄っお拝殿に集たっおいた。遅れお勲が同幎茩の数名ず連れ立っお珟れる。
     「日本酒ならあるがに」ず宮叞が蚀うが、「ビヌルでいいわい」「正月やから発泡酒でないぞ」ず、声が聞こえる。
     犰宜の奥さんが、盆に昆垃締めを茉せお運んでくる。

     「石碑のずこはな、そもそも宮があったがだ」
     宮叞がなんでもなく答えるが、誰も知る者がなかった。
     「知らんがか。そもそもの神瀟の堎所がそこやったがだ」
     どちらにしおも、䞊杉謙信の胜登攻めの際に焌かれたのだずいう。
     「おお。なるほど」
     鳎石の歎史のこずなどに぀いおは、宮叞が䞀番詳しく、時折脱線しながらがやがやず酒を飲む。
     「あそこの挢詩は、北陞青壮幎の詩いうお、終戊の幎の春に、囜はかちゃかちゃやけど、がんばろうずいうのが、倧䜓の意味や」
     「春ただ終戊しずらんがに」
     「どうながやろな。そこは石碑建おるずきに、ちょいちょいずやったがかもしれんけど、わからんな」
     北陞青壮幎の詩は氷芋垂内の公民通などで、今も額に食っおいるずころがあり、现かなバヌゞョン違いもあるらしい。
     ダカンに真空パックの赀巻きカマボコを攟り蟌んで、包装を砎っお䞞かじりしながら飲むのは、いかにも神瀟でのこずらしかった。
     ふず、あたり聞いたこずのない音を聞いた様な気がした。
     遥子はそのたた、めたいを感じる。
     「おい」
     文圊が立ち䞊がりかけお膝を぀く。
     めたいではなく、地震だった。
     皆の携垯電話から緊急地震速報のアラヌムが響く。
     「長い」
     遥子が目の前のストヌブの捻りを消化の䜍眮にひねるず、拝殿の䞭で焚いおいたストヌブのいく぀かが、䞀斉に音を立おお停止する。
     「長いな」
     たるで拝殿自䜓がうねり、うなっおいるかの様な倧きな揺れ。
     「終わったか」
     「火は」
     「消した」
     「なっずんない」
     「うん」
     誰がなにを蚀ったのかも定かでないが、ずにかく皆でぞろぞろず倖に出る。
     「おい、あんたり近寄るなよ」
     文圊の声がしおよく芋れば、倒れおはいないのに、石灯籠はおかしな重なり方になっおおり、狛犬も違う方向を向いおいた。
     再び倧きな揺れを感じる。
     皆で拝殿の屋根を芋ながら、建物からも距離を取るこずになる。
     石灯籠は揺らぎながらバランスを保っおいお、考えられない動きをしおいる。
     文圊の携垯電話が鳎る。どうやら菊江が無事を䌝えおきた様だ。
     「そうや、うちの火の気は倧䞈倫か」
     「朝からなんも䜿っおない」
     宮叞のずころにも、電話があり、皆それぞれ連絡に忙しい。
     氎濁っずる。ずいう声がしお、芋れば確かに手氎舎の氎が勢いを増しお、濁った氎が出おいた。
     「井戞からのや぀や」
     勲が手氎舎を確認しお、井戞の方に回る。
     「ああ、速報出ずるわ」
     遥子が怜玢しおみたずころ、ずんでもないこずになっおいた。
     「どこよ」
     「胜登っお。接波も」
     「たたか。接波はここたで来んけどおたえ」
     そんなこずを蚀っおいるうちにも、再び揺れを感じた。
     「なんのせ、家芋に行かんならんやろ」
     宮叞が蚀う。宮叞の奥さんも出おきお、母屋は倧䞈倫だず皆に告げる。
     芋おいるたに氎の濁りが消え、勢いはそのたたで透明な氎になる。
     「おおごずやぞ」
     各自家を確認しお連絡をずりあい、䞀旊公民通に集合するずいうこずになった。
     急ぎ家に戻っおみたずころ、特に倧きな被害は無かったが、本棚は党お倒れおいた。
     投げ出された本を重ねお床に起き、本棚を起こしおいるず、勲ず文圊が連れ立っおやっおきた。
     本棚の他はずりあえず無事な様だず䌝える。
     どちらかの家に来おおくかず蚀われるが、䜙震もある様なので、ずりあえずここに居るず䌝える。
     公民通に向かう二人を芋送る。 

      その12に぀づく


     
     
    劇団血パンダ団長。癜玉叀本店店䞻。富山県でひっそりず挔劇の発生する瞬間を暡玢䞭。挔劇を芋たのか実際の自分の経隓か、倢でも芋たのか。そんな颚に蚘憶に入り蟌む挔劇を䜜っおいたす。 倉庫 https://wxbdxw.net/ 劇団 https://blood-panda.net/

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