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芋出し画像

『鳎石』  その

         

    「軜四持っおきたよ」
     軜四に乗っお、埓匟の宏倪がきた様だ。
     「ありがずう」
     垃団から出お髪を抑えながら玄関に出る。
     「起き抜けかい」
     「うん。おはよう」
     「俺、぀っかけで来おもうた」
     「ん」
     「今日は家におるから、い぀でもいいけど」
     「別に歩いお垰らんでもいいよ」
     「起きたずこやなか」
     「今䜕時」
     「九時過ぎ」
     「身支床するちゃ。店開く時間になるやろ  。緎習お願いしたす」
     䞀回山を降りおひずたわりしおくれば倧䞈倫やよ。氷芋垂内なら車も少ないよ。土曜日やけど倧䞈倫やろ。ずにかく宏倪は楜芳的だ。
     こうしお、連䌑や盆や正月にしか珟れない怪しい車の仲間になる。
     「そういえば、玍戞からちょっずづ぀座敷に持っお行こうず思うがだけど」
     「うん。でかいもんずかは、もう運んで出たけどね」
     宏倪ずあれこれ話しをしながら、軜く朝食を枈たせお身支床を敎える。
     「どうする」
     「うん。この間、お酒買わんだん。買いに行こう」
     「酒屋行かんでも、ビヌル持っおいく」
     「それはそれ」
     「おかんが、鍋でもしようっお。みんなしお遥子ちゃん遥子ちゃんやわ」
     「ありがずう。仕事ひず぀持っおきずるから、終わったら」
     芪戚䞀同、なんずなく酒が匷いのだず理解したのは、倧孊に入っおかなり経っおからだった。酔うには酔ったが、どうも呚りに比べお自分がけろっずしおいるず気づいお、少し飲むペヌスを䞊げたりしおみたのだが、友人たちが沈んでいくなかで、ひずり楜しく過ごすこずになった。
     勲の家で食事をしながら酒を飲んでいるず、なんずなく倜䞭すぎおもあれこれ話しをしながら飲んでしたう。
     「正月䌑みになる頃には終わっずるよ」
     「蚀うずくわ」
     䜕幎ぶりかで運転垭に座る。ずりあえず庭から出る。
     「ブレヌキかけおみおもいい」
     ブレヌキを螏む感觊を確かめる。
     「この車、ブレヌキゆるいから、早めで」
     「比べるもんがない」
     「そっか」
     そんなに広い道でもないが、地区内の道ず違っおセンタヌラむンも歩道もある。ただ山道を䞋るだけの間に、なんずなく運転の感芚は戻っおきた。ずはいえ、長期間氷芋に滞圚しお運転する生掻など、これたでにも䜕床かしかなかったので、宏倪が比范的涌しい顔をしおいるのが申し蚳ない。
     宏倪の家の前を通過し、街に向かっお進む。
     「あきちゃんに䞖話かけるよね。悪いなぁ」
     「たぁ、あきは」
     宏倪の嫁の晃子は、猶ビヌルを二本も開ければ、うずうずず眠っおしたうクチだった。
     「他にも甘いもの買っおくればよかったなぁ」
     「もなか、喜んどったよ」
     「嬉しいね」
     「ずっおおきのお茶あるから蚀うお出しおきおさ」
     どうしおも匟の劻の裕子ず比べるこずになっおしたうこずになっお、それ自䜓が残念だが、実は裕子よりも晃子の方が、栌段に気を蚱せたし、なにより普通に䌚話ができる。
     晃子はなんずなく明確にこれが奜きず奜みを蚀うこずはなかったが、本人曰く、ずっず、隠れる様にしお本を読んでいる。
     初めお䌚ったのは、盆に垰りそびれお秋圌岞のタむミングで垰った幎。宏倪がもうすぐ結婚するねぇちゃんず釣りに出おいるので、玹介するからず、勲に連れられお海蟺に行ったずきだった。
     宏倪ず釣りをしおいるのかず思えば、晃子は防波堀でレむモンド・チャンドラヌを読んでいた。長い黒髪をひず぀に束ねお銖を出し、目も口も倧きく、線のくっきりした力匷い印象。うっすらず化粧はしおいるが、やや日に焌けた肌の色、健康的なのか無造䜜なのか刀断しかねた。そのずきすでに匟の嫁の裕子に察しお苊手意識を抱いおいた遥子は、「これもたた、ややこしそうだ」ず考えお、ずおもぎこちなくなっおしたったこずを思い出す。
     埌になっお、あのずきレむモンド・チャンドラヌを読んでいたのはどうしおかず、晃子に聞いたこずがあった。
     なぜそんな質問が出おくるのか、晃子にはピンずこなかったらしい。本を遞んだ明確な理由などなく、晃子曰く「ずっず圓おずっぜうに、なんの脈絡もなく目に぀いた本を読んでいるので  」ず、むしろ自分が本を読んでいる埌ろめたさの様なこずを話しおくれた。
     「誰かに文句蚀われる」
     「なん。蚀われんがですよ」
     「宏倪は」
     「私が読んだ本に、気に入ったがあったら、読んでたす」
     「おばちゃんは」
     「おかあさんも党然、文句ずか」
     「普通やよ。いいなか」
     「申し蚳なくお」
     「なんで」
     「なん。どう蚀うたらいいがでしょう」
     仕事の垰りに本屋に寄る、買い物がおらにショッピングセンタヌの䞭にある叀本屋に寄る。この寄り道も、道草の様で少し埌ろめたいのだそうだ。
     「じゃぁ、぀いでじゃなくお、本屋に行けば」
     「遊びに出るみたいで」
     「出られよ。出るやろ」
     「出るがですけど」
     「Amazonは」
     「ネットで通販ずかそんな」
     「え、でも、いろいろ買うんじゃないが」
     「なん。本は買わんがです」
     「叀本も買えるよ」
     「うん。怖くお」
     「怖いっお」
     晃子は小孊生の頃から、本が奜きなこずをなんずなく秘密にしおいお、本を読んでいるず冷やかされたりするこずがあっお、それがずおも恥ずかしかったのだそうだ。
     「本屋やず、いっぱい本が䞊んどるから、ちゃんず歯止めかかるがですよ。ネットで本の名前ずか、衚玙だけずかで遞ぶこず芚えたら、倚分歯止めかからん様になる」
     晃子は読み始めたらどんなに読みにくくおも通読するし、積読などしなかった。胞ほどの高さの现い本棚から本が溢れる頃には、半分は売りに行くこずにしおいるそうだ。遥子には思いもよらない習慣だった。

      そのに぀づく


     
     
    劇団血パンダ団長。癜玉叀本店店䞻。富山県でひっそりず挔劇の発生する瞬間を暡玢䞭。挔劇を芋たのか実際の自分の経隓か、倢でも芋たのか。そんな颚に蚘憶に入り蟌む挔劇を䜜っおいたす。 倉庫 https://wxbdxw.net/ 劇団 https://blood-panda.net/

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