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芋出し画像

『鳎石』  その

         

     真倜䞭に玄関が開いお、祖父が祖母を呌ぶ声がする。
     酔った祖父がどうやっおか真倜䞭に垰宅するのは毎床のこずだったし、倧倉な山奥だずいうのに、䞀緒に飲んでいたずいうツレを䌎っおくるこずもしばしばだった。
     仏間に続く座敷のどこかの郚屋で酒盛りが再開され、祖母が遥子の本棚の裏から䞀升瓶ず぀たみになるものを出しおくる。
     祖父は倧酒飲みだった。
     ようやく、仏間で祖父が酒を酌み亀わしおいるのは、決たっお人ではなかったのだず知った。どの郚屋で飲むかはツレの栌で決たる。
     玄関先で始たるこずもあったが、そんな時はかならず迎えがきお、宎䌚ずたではいかなかった。
     すっかり忘れおいたが、カワり゜や、他にも坂を登っおくるさ様々なものたち、逆に石動山から降りおくるものたちに぀いお教えおもらったのに、なにもかも忘れおしたっおいた。祖父は迎えに挚拶しお、酒を二升枡す。
     倩狗やカワり゜ず名前が付いおしたっおいるものはさおおいお、わからない時は名前を知らないでおく方が良いず、祖父は蚀っおいた。そもそも、向こうに名乗る必芁もない。
     「おらは、あんたは」ず蚀わんでも、普通の話しならできよう。
     「おばけやから」
     「そんながでもない。本圓のこず蚀うたら、おばけでもない」
     祖父からは可愛がっおもらっおいたず思う。だが、ひょっずしたら、䞀人前の扱いを受けおいなかっただけではないだろうか。
     「おばけなら、おるかおらんかやけど、おるからの」
     説明の蚀葉を考えおいる颚でもなく、ただ蚀い切っお湯呑みを煜る祖父の顔を芋るず、朝の光になっおいるこずがわかった。

     そしお、寝お起きお、朝食を食べながら、うっかりパ゜コンの電源を入れおしたう。
     「なにをしおいるんだ」
     ず、あえお声をだしたずころで、䞀通のメヌルを受信する。
     䜕床も組んで仕事をしおいる線集プロダクションの倧厎からメヌル。
     䌁画ず線集のスタッフずしお加わらないかずいう、改めおの打蚺だった。
     本圓は、この話しを受けお倧厎の䌚瀟に入っおしたえば、あれこれ安定はするのだろうが、遥子は、倧厎の事務所で働いおいる銙田のこずがかなり苊手だった。
     銙田は、奜青幎が順調に幎をずりたしたずいう雰囲気の線集者で、卒のない仕事をするし、本来はなんの問題もない。ただ、銙田ず䌚話をしおいるずき、銙田が誰かず話しをしおいる様子を芋おいお、どうしおも銙田のむメヌゞが悪くなっおいくこずが止められなかった。
     ある時この感芚の説明にたどり぀いたのだが、銙田は、人ず䌚話をする際に呚囲を驚かせる様なテンポず声のボリュヌムの䜿い方をするのだ。
     最初に銙田ず話しをしたずきから、劙な疲劎感を感じお、䞍思議なこずもあるものだず思っおいたが、ある時、別の䜜業をしおいる暪で銙田が打ち合わせをしおいお、様子が俯瞰できおようやく遥子は理解した。
     脅かされるので、い぀の間にか身構えおいたのだ。そんな䌚話の進め方だった。
     どうもよろしくない。
     昚日、単玔に裕子が嫌いずいう理由で䞀人でのんびり酒を飲んだばかりだ。
     苊手なタむプをラベリングしお遠ざけたずころで、䞖間を狭くするだけだし、他人をそんな颚に評䟡しおどうするのかずも思う。
     嫌いや苊手を理由にしおどうする。遥子は自分に蚀い蚳をした様な気分になった。䌌たような堎所をただ二呚、䞉呚した挙句、そこになんの具䜓性もないこずにため息が出た。
     今すぐでなくずも良い。お湯がわいたらなにかにしよう。そう考えお遥子はダカンに氎を入れ、ストヌブに眮いた。
     なんずなく、原皿の本筋にずりかかる気にもなれない。倧厎の誘いぞの返信に぀いお考えるのも同様で、遥子はずりあえず、ストヌブの䞊のダカンに芖線を送る。
     無論、ダカンの衚面に残っおいる氎滎に倉化が生じるたでには、ただ少し時間がかかった。
     昚日出しかけたメヌルを里矎に送信する。
     どちらにしおも、手を動かしお、原皿は終わらせおしたおう。
     これで䜕床目だろうか。たた里矎ずの雑談を聞く。

     「結局1999幎には䞖界は滅ばなかったし、それで、2000幎になりたした、元号も倉わりたしたっお  。地震や灜害もあったけど、やっぱり䞖界は滅ばなくお  」
     理矎は竹䞲を刺しお、鍋のゞャガむモの火の通り具合を確認し、流しのシンクに眮いおあったザルに芋を移す。
     「無事で、ありがたいね」
     「うん。私実は、地震は毎回、結構揺れお被害の出た堎所に䜏んでた」
     湯切りしたゞャガむモを鍋に戻しお氎気を飛ばす。
     「倉な感じで  」
     慣れっこになっおず蚀いかけお、理矎は蚀い淀んだ。
     「仕事で䜏んでるだけで、地元じゃないから、転勀になったらそこから離れるんだよね」
     申し蚳ない気がするけど、それもそもそも違うし、耇雑だず蚀いながら理矎は鍋の火を止める。
     「ああ、なんの話だったかずいうず  」
     ず、圌女は調理台に眮いおあったボりルを二぀こちらに差し出しながら蚀う。
     「どっちがいい」
     「マペネヌズ」
     「そう。昚日は教宀で䞉パタヌン䜜ったから」
     「すごい」
     「残りもの。  結局、ものすごいこずになっお䞖界が終わるずいうのは無かった。䞖界は続く」
     「そうだね」
     「続くわけよ。生きおるからね」
     マペネヌズは酞味のさっぱりした味のものず、卵の感じだろうか。濃厚な味わいのものだった。さっぱりした方を指さすず、圌女がうなづく。
     「なにシンドロヌムだったかな、知り合いが流行らせようっお蚀っおお」
     「流行らせる」
     「倉でしょ。流行語」
     理矎にしおみれば、幟床かの転勀のあず結婚しお、退職しおからの倉化の方が無造䜜で凄たじかったずいう。

     そのに぀づく


     
     
    劇団血パンダ団長。癜玉叀本店店䞻。富山県でひっそりず挔劇の発生する瞬間を暡玢䞭。挔劇を芋たのか実際の自分の経隓か、倢でも芋たのか。そんな颚に蚘憶に入り蟌む挔劇を䜜っおいたす。 倉庫 https://wxbdxw.net/ 劇団 https://blood-panda.net/

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