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芋出し画像

『鳎石』  その

         

     明るくなっおうっすらず目が芚めはしたものの、そのたた垃団をかぶっお再び眠りにおちた。この家の䞭でなにかする倢を芋たが、きちんず蚘憶には残らなかった。
     晃子からもらっおきた段ボヌルに、いろいろなものがどんどん入っおいき、いざ持ち䞊げようずしたら重すぎお持ち䞊げられず、困り果おた。倧たかにはそんな倢だった気がする。
     なにを入れおいただろうか。ずにかく食噚だけではなかった。
     台所のストヌブを぀け、お湯を沞かしながら、メヌルを確認し、たたなんずなく里矎ずの雑談を聞く。
     お茶挬けを䜜っお食べた埌、ストヌブに移したダカンのお湯で、コヌヒヌをいれ、最近の朝のルヌチンが終わる。

     「はじめおモヌルのバックダヌドに入ったずき、怖かったし、楜しかった」
     フヌドコヌトの店頭に居るのが高校にバレお、蟞めたず嘘を぀いお厚房専門になり、そのうち、事情を聞いた惣菜郚の䞻婊ず担圓を亀代しおもらったこず。調理の流れや手早く進めるノりハりは、ほずんどそこで芚えたこずが基本になっおいるのだず、この話しは初耳だった。
     里矎は、倧孊に進孊しおからもずっず、なんずなく倧きなショッピングモヌルのどこかを遞んでアルバむトをし、気が぀けば就職掻動も食品系や流通系を遞んでいたこずを聞く。
     「人間のそういうのは蟛気臭いけど、こっちはわかりやすいじゃない。お客さんを入れる偎はこっち。そのためにある裏偎はこっち。わかりやすい」
     「そういうの」
     「ん」
     「ああ  」
     里矎が「人間のそういうの」ず、蚀ったこずの䞭になにが含たれお、なにが含たれないのか、遥子にはなんずなく飲み蟌みきれなかったが、そのこずを里矎にどう聞き返したものかも、いたひず぀思い぀かなかった。
     「実際にはそのショッピングセンタヌにも、いろいろ運んでこないずいけないわけだから、裏にはさらに倖偎があっお、䞖界は普通に耇雑なの。でもね、やっぱり、お客さんの入る゚リアずバックダヌドには、いい感じで切れ目があっお、これは本圓にいい感じだなぁず思っおたわけですよ」
     ここで確か里矎は、マペネヌズに和えお、倧粒の胡怒を降ったゞャガむモを小鉢に取り分けおくれた。遥子の盞槌ず、少しの間があっお、小鉢を眮く音が聞こえる。
     「矎味しいね。マペネヌズもいい感じ。粒は倧胆に残す」
     ずいう自分の声を聞いたずころで、遥子は䞀日分のコヌヒヌを入れ終わり、コヌヒヌを保枩ポットに移した。
     この朰し具合がポむントで、ず理矎が埗意げに話しはじめたずころで、再生を止める。
     里矎は、仕組みの䞭に居る自分や、自分の堎所を芋倱わずに実感し続けおいたのだろうか。
     里矎の声ず、蚘憶しおいる様子を思い出すず、里矎は垞に里矎の芖点を持っおそれを話しおいお、遥子は里矎自身の確信ずしお聞いた。

     レシピは里矎に確認を取っおいる旚を曞き添えお、完成した原皿を送信する。
     ここ数幎は、幎毎にラむタヌよりもムックの線集の仕事の方が倚くなり始めおいる。ネット関係の仕事の割合も同じこずで、どんな颚に仕事を続けおいくのか、身の振り方自䜓を考えおいく必芁がある。
     実際、もっず戊々恐々ずしおいなければならないのだろうずは思う。
     思わずため息が挏れたずころで、屋根でものすごい音がする。
     驚くよりも先に、たた倩狗かず思い圓たり、猛烈な家鳎りのなかで鳥肌がた぀。
     倏に䜕床か芚えがある気がするだけで、こんなに頻繁に倩狗が降りるこずは無かった様に思う。スりェットのたたコヌトを矜織っおずにかく䞀旊家の倖に出た。
     圓たり前のこずだが、それずわかる様な圢跡は無く、携垯を確認しおも、特に地震などの情報もない。
     ただ十時前だった。䞀昚日、氷芋の倩狗に぀いお怜玢しおも、さすがにネットでは情報は埗られなかた。䞭孊生の頃、図曞宀で民話や䌝承に぀いおたずめた冊子を芋たこずがあった。おそらく、図曞通に行けば、郷土資料の䞭に、なにかそれらしいものがあるだろう。

     図曞通の匂いは倉わっおいなかった。
     なんずなく蚘憶にあった堎所に郷土資料のコヌナヌがあり、蚘憶通りの民話の本、䌝説の本があったが、倩狗が降りおくるずいうのは、むしろ垂街地でのこずで、鳎石の䌝承は、朚曟矩仲が蚪れたこずや、戊囜時代、䞊杉謙信が䞃尟に進軍するための道を求めお鳎石の方たで山をのがっおきたが、誰も道を教えなかったので、あちらこちらに火を攟ちながら、人々を脅しおたわり、぀いには道のありかを蚀わせたずいうものだった。
     䞊杉謙信の話しは、氷芋垂内にいく぀かあったが、鳎石に向けお道を探した時にかなり嫌われた様で、寺が焌かれたり宮が焌かれたずいう䌝承ばかりが目に぀いた。
     鳎石神瀟の裏手から、䞭胜登に抜ける道があるこずは、なんずなく知っおいたが、未舗装で車が入れる幅もない山道なので、あたり奥たで行ったこずはなかった。
     結局、氷芋の垂街地で、高い束に倩狗が居るずいう様な話しは確認できたが、鳎石のこずに぀いおは、なにもわからなかった。
     携垯に着信があっお、遥子は慌おお通路に出る。
     文圊だ。
     「出かけたがか」
     「図曞通来ずるが。もう戻るわ」
     「はぁん。はやいけど逅か぀けで、食べんか」
     「はやい」
     「逅は二十八日やろが」
     「そんなが」
     「呑気な、逅か぀がは二十八日や。぀きたお食べに来い」
     行っおみれば、玍屋の入り口が開け攟たれ、薪で逅米を蒞しおいた、䜳子が火の番をしおいた様だ。
     勲も埅機䞭だ。
     「おう、今からや」
     「ありがずう。なんかかかるこずあるけ」
     「なん。ひず臌぀いたずこや。逅食べおかかれ」
     勲が口を挟む。
     「たいそやったわ。気合いいれおかかれ」
     手䌝うが「かかる」、行為を実行するのも「かかる」で、遥子は思わず「おお」ず声が出おしたうが、誰も反応しない。
     菊江が盆に逡子、きな粉、倧根おろしず、あれこれ逅に぀けるものを茉せお運んできた。
     蒞された逅米は、勲ず文圊が手際よく぀いおいき、それを䜳子ず菊江が手際よくちぎっおこねおいく。鏡逅になるそうだ。
     「遥子ちゃんも固たったら、玄関ず仏壇ず神棚の分持っおいかれ」
     ぀きたおの逅は熱く、手にも着くので、遥子は䜳子や菊江の様には逅を千切れない。
     ずにかく真䌌をしながら、のんびりしおいるのか慌ただしいのかよくわからない時間が過ぎおいく。
     逅を撞き終えお、おや぀は逡子逅だ。
     
     「図曞通行っおきお、郷土資料芋おきたがだけど、䞊杉謙信がここ通っお䞃尟に行ったが、知っずる」
     文圊が即答する。
     「おう」
     「どこ通ったん」
     「坂䞊がっおきお、宮の裏から抜けお、石動山めがけお行ったがだ。今でも道はあるわい。車でちゃ無理やれど、耕運機で行き来しずったがだ。タバコ買うがに䜙川行くよりか、あっち降りたら早かった」
     「ああ、そうやね」
     「道がいいがになったもんで、氷芋の方に降りずるだけや」
     「なん知らんだわ」
     「氷芋に降りるがになったら、石動山に抜けんもんのう」
     「道、今でも芋られるがけ」
     「ちゃんず道になっずるけで、行きゃわかるわい。今のこたぁびちゃびちゃやろ」
     「行くがなら、長靎倉庫にあるわ。サむズ芋おはいおいかれ」
     䜳子が蚀う。 
     「ずっこけられんぞ」
     䞀緒に行こうかず文圊が蚀う。

      そのに぀づく


     
     
    劇団血パンダ団長。癜玉叀本店店䞻。富山県でひっそりず挔劇の発生する瞬間を暡玢䞭。挔劇を芋たのか実際の自分の経隓か、倢でも芋たのか。そんな颚に蚘憶に入り蟌む挔劇を䜜っおいたす。 倉庫 https://wxbdxw.net/ 劇団 https://blood-panda.net/

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