心を整える、うどん作り
ミイコさんの旭川市立愛宕東小への宇宙兄弟寄贈を記念したスピンオフ第5弾です。
ミイコさんのリクエストで、うどん作りを物語の中心にしました。
宇宙兄弟には、うどん作りの感動的な場面があります。
うどん作りは、動く瞑想のような作業です。
カタルシスと無心と解放。
心が整えられます。
そして、仲間と一緒だからこそ、なおさら、うどんが美味しいんですね。
🍀🍀🍀🍀🍀
宇宙飛行士のソラは幼なじみのカンナと結婚した。カンナもJAXAで働いていた。
「君を一生、幸せにする。結婚してください」
ソラの真剣な言葉にカンナは涙を浮かべて「はい」と言った。
ソラは月面探査チームから外れて、地球勤務になった。
やがて、子供が生まれた。
ソラは子供にユーリと名前をつけた。
ユーリは成長してソラに言った。
「ぼくも宇宙飛行士になって、パパと一緒に働く」
ソラとカンナはユーリを大事に大事に育てた。
ユーリが中学生になったとき、ユーリは友達とケンカして孤立した。
ユーリは誰も信じられなくなった。
部屋のカーテンを閉め切って、部屋を真っ暗にした。
親とも話をしなくなった。
ソラはある日、「うどん作りをしよう」とユーリを誘った。
ユーリは、しぶしぶ部屋から出てきた。
ソラは、昔を懐かしみながら話した。
「昔、読んだ宇宙兄弟という漫画でね。閉鎖環境にいたムッタが仲間とうどん作りをする場面があるんだ。ムッタは、みんなと宇宙の話ができなくて、さみしい時期があった。宇宙のことを自分と同じくらい大好きな仲間と話ができて、涙が出るくらい嬉しかったんだ。パパやママも仲間たちと宇宙の話をたくさんして、夢を見て、挑戦して、いろんな思い出ができたよ。自分と共鳴できる仲間は、最高の財産なんだ」
ユーリは黙って聞いていた。
「ユーリは友達とケンカして、誰も信じられなくなってるかもしれないけど、友達だって、孤独かもしれないだろう? ユーリというかけがえない仲間を失いそうなんだ。ゆるせないかもしれないし、ゆるしてもらえないかもしれない。でも、心からあやまったら、何か変わるかもしれないだろう? このまま友達を失ったら、一緒に過ごす未来も失ってしまうんだ」
ユーリは力いっぱい、うどんを叩きはじめた。
「このやろう! このやろう!」
やがて、落ち着いて、泣き出した。
「あいつが悪いんだ。ぼくは悪くない。あやまるのはあいつのほうだ!」
ソラは優しく言った。
「ユーリも友達も悪くないよ。2人のためにできることを探してみよう」
ユーリは泣くのをやめた。
「ぼく、手紙を書くよ。また、仲良くなれるかわからないけど」
ソラはユーリと一緒にうどんを切った。
「うどんを切るときは、無心になるんだ。気持ちを整えて、美味しくなるように気持ちを込めて。手紙を書くときも、相手に届くように、気持ちを込めて書きなさい」
ユーリは久しぶりに笑った。
「パパ、ありがとう」
ソラは長ネギとうどんを煮込んだ。
出汁と麺つゆを入れて味つけした。
「ほら、シンプルなうどんが出来たよ。ママと一緒に食べよう」
みんなでうどんを食べた。
カンナは「美味しい」と言って泣いた。
カンナは、また、息子と一緒にご飯を食べられて嬉しかった。
ソラはユーリに言った。
「宇宙では、たった1つのミスが全員の命に関わる。だから、ケンカした後は、必ず握手して仲直りするんだ。お互いをゆるすことは、生き残るための勇気なんだよ」
ユーリはボソッと言った。
「うどんを整えるみたいに、友達との関係も整えられたらいいのに」
カンナは笑顔で言った。
「ママもうどん作りしたいな。ユーリと一緒に心を整えたい」
ソラが言った。
「よし、また、うどん作りしよう。今度はもっと上手くできるかな?」
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