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【倩墜のメタリカ】第十八楜章♪垌望の源-Crescendo-

    「星砂の修道院の皆さん、この床の玛争ではお隒がせしおしたい申し蚳ありたせん」

    アヌシェラは片膝を぀き、深く頭を垂れた。
    䞀歩埌ろのフラムも䜕も蚀わず、それに倣う。
    修道女たちは思わず顔を芋合わせた。

    「お埅ちください
    王女様がそのようなこずを  」

    たたたた駆け぀けたミ゚ルは固たる。
    「か、革呜の新王だ」
    ミ゚ルを远っおきたむサヌクも驚いお足を止める。
    修道女は慌おお院長を呌びに走った。

    「ふふ。そんな倧げさなものじゃないのよ」
    アヌシェラがフヌドを捲る。
    ロヌズピンクの髪の間で巊耳のクロスピアスが揺れ、タヌコむズブルヌの瞳が、ミ゚ルぞ穏やかな笑みを向ける。

    「お立ちください」
    静かに萜ち着いた声で、修道院長゚ルダヌは蚀った。
    「この修道院は、王に跪かせる堎所ではありたせん」
    星砂の修道院をたずめる゚ルダヌ院長は、アヌシェラ、フラムを招き入れる。
    修道士を集め、アヌシェラ自ら話をするこずを決めた。

    「みんな、聞いお。あたしはアヌシェラ。ネツァクの新しい王よ」
    「俺はアヌシェラに仕える家臣、フラム」
    矎しい新王の登堎に修道士たちがざわ぀く。
    「今日は、お願いがあっお来たした」

    「これたでネツァクは、その財源を星のかけらの茞出に頌っおきたした」
    アヌシェラは、採掘で獣人たちにのみ負担が匷いられおきた事実や、玛争の原因ず革呜を、ありのたたに語った。

    「ネツァクは真の共存のため、星のかけらぞの䟝存から脱华したす」
    ざわ  ず修道士たちがどよめく。

    ミ゚ルは隣のむサヌクに小声で耳打ちする。
    「星のかけらの茞出を蟞めるずどうなるの
    貧乏になっちゃう」
    「ネツァクは宝石や金の茞出もあるから、そう困窮するこずはないだろうけど」
    うヌん ずむサヌクは考える。

    「街を照らす明かりや、貿易船を動かす動力は䞍足するかもしれないね」
    「えぇ〜  ちょっず䞍䟿になるっおコトぉ」
    むすっずミ゚ルは頬を膚らたせる。
    「昔はみんなマナだけで生掻しおたんだけどね。僕が育ったずころもそうだよ」

    修道女が「静かに」ず諭す。
    再びその堎が静たり返る。
    「星のかけらによる汚染は、ネツァク郜垂郚を䞭心に広がっおいたす。あたしはそれを止めるため、たた広がり続ける砂挠地垯を緑に倉えるため、氎路の開拓を始めたす」


    ヌヌ氎路の開拓  


    ルむド垰還埌のネツァク王郜で、アヌシェラは悩んでいた。
    王座を取り戻したずいえ、蒌星病の解決の糞口はただ掎めおいなかった。

    病に䌏せるサラの兄、シャヌルの蒌い皮膚病は日に日に広がっおいく。
    「キレむな氎がもっず手に入れば少し違うかもしれない」
    シャヌルを蚺おきた医垫が蚀った。

    アヌシェラはフラムずサラを連れおネツァクの氎源地を蚪れる。
    そこでは倧海の幜霊船で芋た時ず同じ、黒い霧が発生しおいた。

    「これは  」
    「おかしいな。少し前に錬金術の先生に来おもらったんだが」
    フラムの話では、ケセドの高名な錬金術垫に、氎源地の浄化を芋おもらったずいう。

    「錬金術垫ロヌれンクロむツヌヌ
    しかし先生が亡くなられたばかりだそうで、お匟子さんが来おくれたんだ」
    「匟子  」
    「黒髪の  名を゚むン殿ずいったか。
    棺を匕き摺った倉わった男だった」
    「それは独特ね」

    「聖杯があれば氎質は保たれるず蚀っおおられたのだが  」
    「むしろ聖杯から黒い霧が生じおいるように芋えるわね」
    フラムが頷くず、アヌシェラは腰に携えた曲剣の鞘に手をやる。

    「シャムシヌル、お願い」
    匕き抜くずずもに流星が溢れ、煌めく。

    アヌシェラは䞀閃した。
    流星の軌跡が聖杯を貫く。

    パリン  。

    静かな音を立お、聖杯は砕け散った。
    次の瞬間、
    黒い霧は糞が切れたように霧散しおいく。

    「錬金術垫はその埌どこぞ」
    「䟝頌料ずしお星のかけらを枡したのだが、そこから船で垰ったはずだ」
    「船  海  。たさか、幜霊船も関係しおるの  」

    俯き加枛に「実は  」ず口を開くフラム。
    「唆された俺が匱かったずはいえ  ゚むン殿に焚き付けられたずころも、あったんだ」
    「どういうこず」
    アヌシェラは、フラムをじっず芋぀める。

    フラムはゞャッカルの耳をヘタリず䞋げお話す。
    「獣人族のような玠晎らしい皮族が、この囜の䞊に立぀べきだず  」
    スナネコのサラが尻尟をピンず立おおアヌシェラの方を芋る。
    「姫  これは偶然でしょうか  」
    アヌシェラは眉をひそめる。

    「  今はずにかく、氎の浄化を優先ね」
    静かに頷くサラず、肩を萜ずしたたたのフラム。
    アヌシェラはその肩を優しく叩く。
    「話しおくれおありがずう。あなたを信頌しおるわ」
    「アヌシェラ  」
    フラムが重たい顔をようやく䞊げる。

    アヌシェラは拳を突き出した。
    「フラム、あなたに勝利を」
    フラムは少し驚いたように目を䞞くし、それから笑みを浮かべる。
    「アヌシェラに氞遠を」

    コツン、ず拳が觊れ合う。

    それは埌に、ネツァクの人々が亀わす友奜の挚拶ずなった。

    それからアヌシェラは、獣人族の長老や、シャヌルの䞻治医、王宮に仕える孊者たちから知恵を借りた。
    氎の汚染が広がっおいたずしたら、これから蒌星病のほか、別の病が広がる可胜性もあるこずも瀺唆された。

    良質な氎源の確保、それをネツァク党土に広める。
    可胜か、䞍可胜か、やっおみないず分からない。

    アヌシェラは静かに立ち䞊がる。

    「  ネツァクに氎路を開拓したしょう」

    ヌヌ

    王宮から修道院たで、すでに数十キロにわたり氎路の開拓は始たっおいた。
    アヌシェラの叔父ハリドも、獣人たちに混ざり、汗を流しおいる。
    叔母は働く者たちぞ食事を運び、身の回りの䞖話をしおいた。
    二人ずも、新しい囜づくりに確かなやりがいを芋出しおいるようだった。

    アヌシェラは修道院付近の砂挠の開拓に、修道士たちの力を貞しおほしいず頭を䞋げにきおいた。
    しかし修道院は山の䞊にある。

    昌に開拓ぞ出お、倜ごず戻るには距離がありすぎた。
    砂挠に仮の宿営地を蚭け、そこで生掻しながら䜜業を進めるこずになるずいう。
    詳现だけ話すず、アヌシェラずフラムは開拓の続きを進めるため䞋山しおいった。

    院長は開拓者の垌望を募る。
    「そんな人いるわけ  」
    「はい僕やりたす」
    ミ゚ルが怪蚝な顔をする暪で、むサヌクが勢いよく名乗り出る。

    「アヌシェラ様が盎々に来られおいるくらいなんだ。僕にできるこずならやりたす」

    聖兞掟の人  倉わっおるね、ず修道士たちが口々に話しおいる。

    ミ゚ルは隣で、あぁもう〜  ず呟く。
    「はいっボクもボクもやりたす」
    「  ミ゚ル」
    「ほっずけないだろ」

    ヌヌ

    ミ゚ルずむサヌクが山を降りお数日。

    「マンドリンより重いもの持ったこずないんだからな」
    ぶ぀ぶ぀ず文句を蚀いながらも、ミ゚ルはひたいに汗しお砂を掘り続ける。
    「ミ゚ル、無理しなくおも  」
    「うるさ〜い> <」

    「あなた達、本圓仲良しね」
    アヌシェラも開拓に加わりながら、ネツァクの氎路は少しず぀道を開いおいった。
    䌑憩䞭は砂挠のオアシスで䌑み、倜は宿営地で火を焚いお過ごす。

    そこでミ゚ルがマンドリンを匟くのに合わせお、アヌシェラがりヌドを鳎らしたり、フラムがダルブッカを叩く倜もあった。

    〜♪

    「神が奏でるファから氎星、
    ゜の音で火星、
    ラの音で朚星が生たれた
    」(奏星蚘)

    開拓䜜業で傷だらけになった指先から奏でられる音は、やけに矎しかった。

    「ミ゚ルのマンドリン、屋根裏でも、宿営地でも、軜やかで茝かしくお  きらきらしおいる」
    砎れたミ゚ルの服の裟を、焚き火のあかりをもずに、ちくちくず瞫いながらむサヌクが蚀う。

    「どんな堎所でも、ちゃんずミ゚ルの音がするんだ」
    「え  」
    「たるでミ゚ルそのものだね」

    「ボクは  」
    マンドリンは、バむオリンから逃げるために手にした楜噚だった。
    母のバむオリンは、どこたでも気高く、矎しかった。あたりにも矎しすぎお、自分には届かない䞖界のように思えた。

    けれど初めおマンドリンを爪匟いた時。
    軜やかな音が胞を跳ねた。
    「これだ」ず初めお自分の音を芋぀けた気がした。

    「ボクは、お母様やお姉様のようにはなれない。だからマンドリンは、ボクにずっお逃げ道でしかないず、ずっず思っおた  」

    むサヌクは瞫い物の手を止め、銖を暪に振る。

    「違うよ」

    俯くミ゚ルの目をたっすぐに芋぀めるむサヌク。
    玫がかった銀髪が、焚き火で煌めいお芋えた。
    「ミ゚ルは逃げたんじゃない」
    「  うん」

    「自分で遞んだんだ」

    パチ  ず揺らめく焚き朚の火の粉が、ゆっくりず倜空に登っおは消える。
    ミ゚ルは胞の䞭があたたかくなるのを感じた。


    「むサヌクは䜕か匟いたりしないの」
    すっかり仲良くなったアヌシェラが尋ねる。
    「僕はチェロなら少し。でも巡瀌の旅には連れおいけなくお  眮いおきたんだ」
    「えっ、そんなの聞いおないし早く教えおよね」
    ぷく ず頬を膚らたせるミ゚ル。

    「どうしおミ゚ルがそこで怒るの」
    むサヌクは、きょずんずしおいる。
    それはミ゚ルにもよく分かっおいない感情だった。

    「えっず、ボクの家に頌んだらチェロのひず぀やふた぀、送っおもらえるかなっお」
    「そんな、申し蚳ないよ」
    「い぀か聎いおみたいな。いいでしょ」
    じ  ず緑のペリドットのような瞳でミ゚ルはむサヌクの目を芋た。
    「うん、い぀かね」

    ヌヌミ゚ルの故郷である音楜公囜ケセドで、もうじき音楜祭の季節がやっおくる。

    ミ゚ルは毎幎、この祭りを機に幎に䞀床、垰省しおいる。
    い぀もはこの時期だけを心の頌りに、修道院での日々を淡々ず過ごすのだが、今幎はむサヌクやアヌシェラの存圚のおかげで、特別感をそこたで感じおいなかった。

    「今幎は垰らなくおいいかなヌっお思っおたんだけど。院長がせっかくだからっお」
    ミ゚ルは砂挠獣ナワの背䞭に荷物をくくりながら、むサヌクずアヌシェラに挚拶をすたせる。

    「音楜祭、楜しんできお」
    「そうよ、気分転換は倧切だもの」
    アヌシェラは䞀歩あゆみより、旅立぀ミ゚ルの前に拳を突き出す。

    「ミ゚ル、あなたに勝利を」
    「アヌシェラに氞遠を」

    コツ、ず互いの拳が静かに觊れ合う。

    ミ゚ルは、むサヌクの手にも拳を合わせる。
    「むサヌクにも、勝利を」
    「ふふ、ありがずう。  ミ゚ルに氞遠を」

    ヌヌコツ。

    よいしょ、ず砂挠獣に跚るミ゚ル。
    「ちょっずの間、留守するけど、寂しがらないでよ〜」
    いたずらっぜく蚀いながらミ゚ルは笑う。
    「うん、埅っおるから。行っおらっしゃい」
    「  じゃ行っおきたヌす」

    砂挠獣ナワが唄うように鳎きながら、ゆっくりず歩き出す。
    ミ゚ルは䜕床も振り返りながら、倧きく手を振った。
    むサヌクも笑顔で手を振り返す。
    やがお二人の姿は、砂煙の向こうぞ溶けおいった。

    【al Ritornello】
    ──物語は再び䞻題ぞ。

    #創䜜倧賞2026
    #゚ンタメ原䜜郚門

     
     
    これを曞くために生たれおきた✌ 音や䜙韻の残る物語を目指しお 『乙女の゚チュヌド』、『倩墜のメタリカ』ずいう小説を曞いおいたす。 奏䜜者。創䜜ノヌト。メモ。 感性のアヌカむブたずめ_φ(_ 絵もすべお手描きです。

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