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相手に期待することは悪いことじゃない【読書記録】「ティファニーで朝食を」(著:トルーマン・カポーティ)

    自分が人のどこを魅力的に感じるのか?

    気になる人、好きな人ができたときに最初にすることは、自分がその人のどこを気になっているのか?それをゆっくり観察して言葉にしていくことです。

    そうすることで恋愛をいつもとは違ったカタチで楽しめると思っています。

    今回読んだ「ティファニーで朝食を」は、そういった人が人に惹かれるその理由を今よりもっと理解したいときに、そのヒントを手に入れたいときに読みたい1冊。今回のnoteは改めて読んで気付いたことを記事にしていきます。

    「ティファニーで朝食を」はオードリー・ヘップバーンが主演の映画の方が有名ですが、個人的には原作の小説の方が面白いと思います。

    このnoteでは、書評を中心に読書に関する記事を発信しています。ぐちゃぐちゃになった頭の中を読書で整理してみると、それだけで人生がラクになります。人生をラクにする1冊を紹介するnoteです。

    <あらすじ>都会の自由で孤独な男女関係

    この「ティファニーで朝食を」を一言で言うと、ニューヨークを舞台とした都会の生活での男女関係を描いた物語です。

    売れない小説家が主人公。その主人公僕は同じアパートに住む(映画ではオードリー・ヘップバーンが演じる)ホリーと知り合いになります。

    19歳のホリーはとても美しく、周りには多くのお金持ちの男性が群がっていて、彼女は出かけるのが夜で朝4時頃に帰ってくる。カギを持たない彼女は呼び鈴でいつも主人公を呼び出しマンションの入り口を開けさせます。

    『ごめんなさいね、ダーリン。鍵を忘れちゃったの。』

    パパ活(?)のようなことで彼女は自立し、自由にニューヨークの都会生活を満喫している。主人公からすれば自分勝手な小娘。

    主人公の僕はホリーの自由奔放な言動に巻き込まれ、それにイラつきながらも、年齢の離れた小娘ホリーに少しづつに惹かれていきます。

    なぜ主人公はホリーに惹かれていくのか?
    それを頭に思い浮かべながら読む。この小説のおススメの楽しみ方です。

    魅力的すぎるヒロイン・ホリー

    この小説の魅力はヒロインのホリー。
    ホリーが魅力的に感じる理由のひとつがするどく本質を突く彼女の言葉。
    (村上春樹の素敵な翻訳もあってとても魅力的な言葉になっています)

    主人公僕と会話では、ホリーは自分のことや過去のことはほとんど話さない。話すことの多くが自分の生き方の哲学に関することで、そのひとつひとつがとても魅力的です。

    『でも野生の生き物に深い愛情を抱いたりしちゃいけない。心を注げば注ぐほど、相手は回復していくの。そしてすっかり元気になって、森の中に逃げ込んでしまう。』

    ホリーの周りにはいつも多くの男がいて、その多くがホリーを自分のものにしたいと思っている。でも彼女から感じるのは自分は誰のものにもならないという"諦め"。

    自分のものにしたい。でも誰のものにもならない。だから余計に惹かれる。

    『かわいそうに名前だってないんだから。名前がないのってけっこう不便なのよね。でも私にはこの子に名前をつける権利はない。ほんとに誰かにちゃんと飼われるまで、名前をもらうのは待ってもらうことになる。』

    ホリーは拾った猫を飼っていますがその猫に名前をつけようとしません。
    ホリーは誰かの所有物になるつもりもないし、それ以上に何も所有するつもりがない。

    所有される重みだけじゃなく、所有する重みもわかっている。

    『空を見上げているほうが、空の上で暮らすよりはずっといいのよ。空なんてただ空っぽで、だだっ広いだけ。そこは雷鳴がとどろき、ものごとが消え失せていく場所なの』

    ホリーは自由を満喫して暮らしています。
    週1回は刑務所のマフィアのボスに面会に行ってお金をもらったり、多くの著名人、お金持ちを自宅に呼んでパーティーを近所の住民から苦情が来ても、知らん顔で気にせず楽しんでいます。

    何にも束縛されない自由の魅力を知っている。
    自由になればなるほど、自分を縛るものが少なければ少ないほど孤独になることも知っている。その自由の重みは自分の中で次第に増していくことも知っている。

    (その重みから開放されるために行くのが高級宝石店ティファニーなのかな?!ホリーは明け方家に帰る前に閉まっているティファニーに寄り、店前のウインドウ越しの宝石やアクセサリーを見ながらクロワッサンとコーヒーの朝食をとる。映画の冒頭の有名なシーンですね!)

    相手に期待することは悪いことじゃない

    ホリーは周りの男たちに期待はさせても、自分からはあまり期待しない。
    (村上春樹があとがきでホリーのことを「戦略的自然児」と表現している。)

    怒りや悲しみが湧いてくるのは相手に期待しているから。
    何も期待していなければ、その人間関係の中で感情は必要にも不必要にも揺れ動かない。

    でも恋愛という極めて特殊な関係に発展するためには”相手への強い期待”は不可欠。相手に対して強い期待をしてそれを合意してもらい、それが相互に作用している関係性。

    この物語で主人公僕とホリーの関係性は最終的にどこに落ち着くのか?

    この「ティファニーで朝食を」が発表されたのは1958年(映画化されたのは1961年)。今から約60年以上も前の小説です。
    でも令和の今読んでも古臭く感じることはなくとてもおしゃれに感じます。

    この小説のテーマは60年経った現在もぜんぜん解決されていない(むしろより選択肢が増え複雑に難しくなってしまった?)。
    だからこの「ティファニーで朝食を」は今でもその面白さの輝きを失うことはなく、ヒロインのホリーをより魅力的に感じる、のかもしれません。

    オススメの1冊です。

    今回の記事は以前に投稿した記事を、
    10/24の書評家の三宅香帆さんによる「伝わる文章のコツ」を学ぶ文章講座をヒントに作り直ししたリメイク記事です。

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