
悪役令嬢の日常記/創作大賞へのエントリーは、猫様の導きとともに
ごきげんよう、令嬢方。
創作大賞とやらが始まりましたので、
わたくし、
軽く一作だけエントリーして差し上げましたのよ。
“軽く” と申しましても、応募ボタンを押す瞬間、
指先が震えたのは事実ですわ。
あれは決して緊張ではございませんの。
ただ、猫がその瞬間に限って
「今ですわ!」
と言わんばかりにキーボードを踏み抜いたせいですの。
応募ボタンを踏み抜いたのは、
猫様という名の『運命の神』
でございましてよ。
わたくしの迷いを、
肉球という名の柔らかい断罪で打ち砕き、
世界へと解き放つ……。
猫様の導きに、間違いなどございませんもの。
それにしても、応募という行為は妙なものですわね。
“作品を出す”というより、
“生活の恥部をうっかり提出してしまう”
ような気分になりますの。
夜中に書いた文章のテンションとか、
そういうものが全部、
作品の端っこにくっついておりますでしょう。
作品の端々にこびりついた生活の気配。
でも、ご安心あそばせ。
わたくし、
まだ新作のストックがございますのよ。
夜会の帰りに書いたもの、
紅茶をこぼしながら書いたもの、
猫に原稿を半分持っていかれたもの──
どれもこれも、
わたくしの“優雅な混沌”が詰まっておりますの。
紅茶の染みも、
猫に奪われた半分の原稿も、
すべては『優雅な混沌』という名のスパイス。
整いすぎた美しさなど、退屈なだけですわ。
審査員の皆さまには、
「まあ、この令嬢、まだ出す気なのね……」
と、軽く引いていただければ本望ですわ。
だって創作とは、
恥ずかしさと誇りを同時に抱えて前へ進む、
非常に面倒くさい貴族の嗜みですもの。
創作大賞への“最初の一歩”として差し出した一作目は、
こちらでございますわ。
わたくしの優雅な混沌の原点とも言える作品。
「令嬢、まずは軽く肩慣らしを」
と猫様に背中を押されながら書いた、
あの夜の気配がまだ残っておりますの。
もしお時間が許すようでしたら、
こちらも併せてご覧いただければ嬉しゅうございますわ。
さあ、
次はどの作品を差し出して上げましょうかしら。
わたくしのストック、まだまだ尽きませんことよ。