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会社が大きくなって、カルチャーの意味がやっと分かった。

    木原 武蔵 | WOODBERRY COFFEE

    こんにちは!WOODBERRY COFFEEの木原です。

    このnoteでは「小さなブランドのつくりかた」をテーマに、これから起業したい人に向けて、お店作り・ブランド作りに関わるあれこれを書いています。コーヒー片手にゆっくり読んでいってもらえたら嬉しいです。

    誰が意思決定するのか

    今日は会社のカルチャーについて書こうと思います。
    会社がまだ小さかった頃、意思決定はとてもシンプルでした。

    私が決めればいい。

    一人の会社なら、自分の頭の中にほとんどすべての情報が入っています。

    何を買うのか。
    どんな商品を出すのか。
    いくらで売るのか。
    どんなお店にするのか。

    自分で考えて、自分で決めて、その責任も自分で取る。

    それで十分でした。

    ところが会社が大きくなるにつれて、少しずつ状況が変わっていきました。

    「これ、やってもいいですか?」
    「これ、買ってもいいですか?」
    「こういう場合、どうしたらいいですか?」

    いろいろな場所から、私のところに意思決定が集まってくるようになりました。

    最初のうちは、一つひとつ答えていました。

    連絡が来るたびに自分の仕事を止めて、状況を聞いて、必要なら調べて、判断する。

    でも、これがだんだん辛くなってきました。

    忙しいときには、「頼むから自分で考えてくれ……」と思ってしまうこともありました。でも、今考えるとおかしな話です。

    自分で決められない組織をつくっていたのは、私自身だったのです。

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    社長が、一番詳しいとは限らない

    さらに店舗が増えてくると、別の問題も出てきました。

    そもそも、私が決めることが本当に正しいのか?という問題です。

    現場で何か問題が起きたとき、その日の店内の雰囲気も、お客さまの反応も、スタッフの状況も、私は知りません。

    一方で、そのお店にいるメンバーは全部知っている。

    情報量だけで考えれば、明らかに現場にいる人の方が多い。

    それなのに、現場から私に連絡が来て、説明を受け、私が判断し、その答えがまた現場に戻っていく。このスピード感に限界感じました。

    しかも、情報を一番持っていない私が最終判断をするので、判断を間違えることもあります。

    会社では、役職が上になるほど意思決定権が大きくなるのが一般的です。

    でも、役職が上だからといって、その問題について一番詳しいとは限りません。

    この頃から私は、「意思決定は、その情報に最も通じた人がするべきなのではないか」と考えるようになりました。

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    「情報に通じたキャプテン」が決める

    この考え方に大きな影響を受けたのが、Netflixのカルチャーについて書かれた『NO RULES』でした。

    そこで紹介されていたのが、「Informed Captain」という考え方です。意思決定を、すべて上司に持っていかない。

    その案件について最も情報を持ち、責任を持っている人がキャプテンとなって決める。もちろん、毎回正解するわけではありません。

    優秀な人でも判断を間違えることはある。

    だから、一回の勝ち負けだけを見るのではなく、

    なぜその判断をしたのか。
    何が起きたのか。
    そこから何を学んだのか。

    を共有する。

    当時これを読んで、「これだ!」と思いました。意思決定を上に集めるのではなく、現場に分散させる。WOODBERRYでも、少しずつこの考え方を取り入れていきました。

    ただ、今振り返ると、一つ大事なものが抜けていました。
    みんなが自由に意思決定したら、会社はバラバラにならないのか?ということです。

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    11店舗が、11個の違う会社にならないために

    現在、WOODBERRYには複数の店舗があり、多くのメンバーが働いています。ここまで来ると、私がすべての意思決定に参加することなんて到底できません。

    それぞれのお店で、毎日たくさんの判断が行われています。

    お客さまへの対応。商品の改善。スタッフの教育。イベント。採用。地域との関わり。

    その一つひとつを私に確認していたら、会社は動かなくなります。だから、それぞれが自分で考えて動く必要があります。

    でも、全員が単純に、「自分が良いと思うことをやる」だけでは、11店舗あれば11種類のWOODBERRYができてしまう。

    そこで初めて、私はカルチャーの意味が分かってきました。

    自由に意思決定するためには、自由だけでは足りない。「私たちは、何を良いと思う会社なのか」という共通認識が必要なのです。

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    崇高な理念より、唱えやすいマントラ

    WOODBERRY COFFEEには、

    “To make the earth a better place through coffee.”
    「コーヒーを通して、地球をより良い場所にする。」

    というブランドパーパスがあります。この言葉をつくるとき、意識していたことがあります。

    それは、崇高な理念をつくるより、唱えやすいマントラをつくること。

    企業理念というと、つい全部を盛り込みたくなります。

    お客さまを大切にして、従業員を幸せにして、社会に貢献して、最高の商品をつくって……。

    もちろん、どれも大切です。

    でも、どれだけ立派な文章でも、誰も覚えていなかったら日々の意思決定には使えません。だからウッドベリーのブランドパーパスには、あえて余白があります。

    「Better Placeって、具体的に何だろう?」という余白です。

    環境を良くすることかもしれない。生産者が持続的にコーヒーをつくれるようにすることかもしれない。働く人が成長できる場所をつくることかもしれない。お客さまの一日を、コーヒーによって少し良くすることかもしれない。

    答えを細かく決めすぎない。
    でも、方角だけはみんなで共有する。

    この設計が思っていた以上に機能していることを感じています。

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    自分が知らないところで、WOODBERRYらしいことが起きる

    最近、会社の中で面白いことが増えてきました。

    たとえば、コーヒーかすを堆肥として循環させていくプロジェクト。

    私が、「コーヒーかすを使って、こういうプロジェクトをやりなさい」と指示したわけではありません。

    メンバーが自分たちで考えて、「WOODBERRYだったら、こういうことをやった方がいいんじゃないか」と動いてくれる。

    JBCへの挑戦もそうです。会社から、「大会に出なさい」と言われて出るものではありません。

    もっとコーヒーを知りたい。もっと技術を高めたい。もっと良いコーヒーを届けたい。

    そう思ったメンバーが自分から手を挙げ、挑戦する。

    会社はその挑戦をできるだけ応援する。こういうことが、私の知らないところでも少しずつ生まれています。

    そして、その一つひとつを見るたびに、

    「ああ、カルチャーってこういうことなのか」と思います。

    カルチャーとは、社内に貼ってあるポスターでもなければ、経営者が朝礼で繰り返し話す言葉でもない。

    誰も見ていないところで、どんな判断をするか。

    そこに一番表れるのだと思います。

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    ブランドパーパスは、答えではなくコンパス

    Vision Mission Value そしてブランドパーパスを設定することは思っているより大切だなと実感しています。

    そして、ブランドパーパスは「答え」ではないと思っています。むしろ、コンパスに近い。

    「この場合はAを選びなさい」とは教えてくれません。でも、「私たちは、どちらの方向へ進みたい会社なのか」は教えてくれる。

    “To make the earth a better place through coffee.”というコンパスを持っていれば、目の前に答えがない問題が出てきたときも、

    「どちらの方が、Better Placeにつながるだろう?」

    と考えることができます。

    そして、私より現場に詳しい人が、そのコンパスを使って判断する。それができれば、いちいち社長に聞く必要はありません。むしろ、その方が判断は速いし、精度も高い。

    会社が大きくなればなるほど、経営者が答えを持っていることよりも、みんなが同じ方角を向いて、自分で答えをつくれることの方が重要になるのだと思います。

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    制度をカルチャーに合わせていく

    最近ウッドベリーでは、人事評価や教育制度も大きく見直しました。人事制度が先にあって、そこに人を当てはめるのではない。

    私たちが大切にしているカルチャーが先にあって、それを制度に落とし込む。

    WOODBERRY では現在、

    TEAM、CARE、PASSION、CRAFT、PURPOSE、という5つのValuesを、日々の行動にまで落とし込んでいます。

    たとえば、単純に売上をつくった人だけを評価するのではない。周囲のメンバーを助けたか。お客さまに誠実に向き合ったか。自分の技術を高めたか。挑戦したか。ブランドパーパスにつながる行動をしたか。

    そういうものも、きちんと評価される評価軸を作っています。それは、評価される行動が、その会社のカルチャーになっていくと思うからです。

    制度によってカルチャーを無理やりつくるのではなく、すでに存在しているカルチャーを、制度によって強くしていく。

    そんな感覚が、大切なんじゃないかと思っています。

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    社長がいなくても、WOODBERRYらしく

    昔の私は、会社を経営するということは、自分が正しい意思決定をすることだと思っていました。

    でも、会社が大きくなるにつれて、その考えは変わりました。私一人が正しい判断をすることには、限界があります。

    それよりも、それぞれの場所で、それぞれの人が、自分で考えて判断できる。しかも、その判断が不思議とWOODBERRYらしい方向に向かっていく。

    そんな状態をつくる方が、ずっと大切です。そのために必要なのが、カルチャーなのだと思います。

    カルチャーとは、社長の代わりに意思決定をするもの。

    そう考えると、会社が大きくなるほど、カルチャーが大切になる理由がよく分かります。

    一人の会社なら、ブランドパーパスなんてなくても会社は動きます。社長自身がブランドだからです。でも10人、50人、100人と増えていけば、経営者がすべての場所にいることはできない。

    だから、自分の代わりにルールを増やすのではなく、自分たちらしい判断ができる共通のコンパスを持つ。そして、そのコンパスを持った人たちに任せる。

    最近、自分が知らないところでWOODBERRYらしい挑戦が生まれているのを見るたびに、会社が少しずつ、そういう組織になってきたのかなと思います。

    創業してからずいぶん経ちましたが、会社が大きくなった今になって、ようやくカルチャーの意味が少し分かってきました。

     
     
     
    ウッドベリーコーヒーの社長 👨☕️ |「コーヒーでより良い世界をつくる」ことが信条 |「小さなブランドの育てかた」について書いてます | コーヒーや経営に関する日々のトピックスもシェアします

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