
たいせつなもの。
なんでも名前をつける。
幼い頃の癖だった。
箸にも、お茶碗にも、コップにも。
身の回りにあるものには、
みんな名前をつけていた。
夕焼けピーコ。
隣の青島くん。
あさがお。
アサリの洋くん。
デザインや、お椀に書かれた文字を見て、
その瞬間に頭に浮かんだ言葉を、
そのまま名前にした。
幼い頃の記憶。
本当に単純だな。
それなのに、
名前をつけた瞬間のことまで覚えている。
だからかもしれない。
物を大切にするようになった。
今あるものを、
丁寧に、ながく、ながく使う。
壊れても、まだ使えそうなら修理して使った。
無頓着と言われれば
そうなのかもしれない。
ケチと言われれば
それも否定はできない。
それでも、自分にとっては違った。
名前をつけた瞬間から、
ただの「物」ではなくなった。
大人になった今も
あの頃と変わらない。
服にも。
時計にも。
リュックにも。
靴にも。
どれにも思い出がある。
一緒に過ごしてきた時間がある。
他の人から見れば、
ただの古い物かもしれない。
でも、自分にとっては違う。
かけがえのないもの。
大切な人から貰ったもの。
形あるものは、
いつか壊れてしまう。
だからこそ、
今この時間を大切にしたい。
これからも、
大切なものたちに囲まれながら、
ゆっくりと暮らしていきたい。