2月下旬、駅のホーム。
白くほどける吐息と、
指に当たる手袋の縫い目。
列はどんどん進むのに
心だけが置いていかれる朝がある。
画面の青白い光に疲れた目を閉じて、
深く、一度だけ肩を落としてみた。
「今の速度で、ちゃんと届くから」
誰かにそう言われた気がして、
少しだけリュックが軽くなった。
自販機の湯気の甘い匂い。
コーヒーの熱が掌に戻るまで。
一駅分だけ、急ぎ足をやめてみる。
大きな決心をするよりも、
こうして息を整える手つきが
私を一番助けてくれる。
今日の到着は最短じゃない。
けれど、これでいい。
私はちゃんと、間に合っている。