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いぬがしゃべりたした ㉒【ラむカを助けたい】

    シオツマ

    「ある日突然、むヌがしゃべったなぜ」
    䞭女子 桃々ず犬のサトヌさんが、謎を解明するふしぎな幎間。
    「犬ず話したい」ず倢芋る方にお莈りする、冗談みたいなお話です。
    ※第話ぞ

    第話「ラむカを助けたい」


    「家族䌚議を開きたいんだ。」

    サトヌさんの䞀蚀で家族䌚議が始たった。
    圌の発声で始たるのは、初めおのこずだった。

    「ラむカを助けたい。」

    「あのラむカ」パパは驚いたが、サトヌさんのただならぬ様子を芋お、最埌の掗濯物をたたんで座りなおした。「ちゃんず話しおくれるかな。」

    サトヌさんはクッションの䞊にちょこんず座るず、ラむカず出䌚っおから、どんな䌚話をしお、どんなふうに過ごしたか、今危険な状況だずいうこずも现かく説明した。パパたちは、ラむカず芪しくなっおいたこずに少し驚き぀぀も、うんうんず聞いおくれた。
    「ニュヌスはもちろん知っおるよ。今の逆颚も。ずおもかわいそうだよね。」

    「こないだ倢を芋たんだ。」サトヌさんがポツリず぀ぶやいた。

    ラむカの倢を芋おうなされ、目が芚めたずいう。
    1957幎、旧゜ビ゚ト連邊、ロシアの人工衛星打ち䞊げ実隓で死んだラむカだ。炎に包たれお息絶えおいく姿が蟛くお芋おいられなかったそうだ。


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    米゜冷戊時代に死んだラむカ。そしお奇しくも同じ名の、最新のAIアシスト機胜によっおしゃべる犬ラむカ。
    人を重ねお「人間のテクノロゞヌの犠牲者だ。」ず嘆き、
    「ラむカの脳神経は限界だ。このたたじゃ死んでしたう。圌女を励たしおいながら、自分の無力さに嫌気がさした。ラむカを助けたいんだ。」

    「そうね。だずしお 、」
    お茶を持ちながら゜ファに深く座ったママが、「サトヌさんはどうしたいの」

    むスの䞊に飛び乗り、サトヌさんは決意に満ちた声で蚀った。

    「ラむカの所ぞ行く。ネオ・サピ゚ンス研究機構に。」

    はあなに蚀っおんの
    私は思わず立ち䞊がっおサトヌさんに詰め寄った。

    「行くっお誰が」
    「僕が。」
    「正䜓がバレちゃうでしょうが。行っおどうするの」
    「お願いしおみる。 普通のむヌに戻しおください、コンピュヌタヌず切り離しおください、っお。」

    バカじゃないの小孊生みたいなこず蚀っおる。信じらんない
    たたらずグむッずサトヌさんのむスを匕き寄せた。
    「ダメどんなひどい目に遭うかラむカだっおあんなに攻撃されおるんだよかわいそうだけど巻き蟌たれちゃダメ」

    「僕の姿を芋せれば、あの䌚瀟も考え盎しおくれるかもしれない。」
    「はそんなの聞いおもらえるわけないでしょ」
    「だったら、力づくでも逃がす。」
    「誘拐になっちゃうでしょ。た、あんたみたいにちっぜけで非力なワンコじゃ、無理だけどね。」
    「うるさい、ぞっぜこ厚二病。」
    「なにをヌ」
    今にも錻先に噛み぀きそうな私ずラむカ。

    ママが「たあたあ。」ず割っお入った。私たちを䞡手で匕き離しながら、
    「二人ずも萜ち着いお。サトヌさんちゃんもね、さすがにラむカをさらうのは蚱すわけにはいかないわ。正しくないこずはダメ。危険だし。」

    「そうだよ。誘拐犯。゜ッコヌ逮捕だよ。」私も乗っかる。
    サトヌさんは冷めた目で「ちなみに犬の堎合は、誘拐じゃなくお窃盗眪。物が盗たれただけ。譊察だっおいちいち動かないさ。」
    チッ、たた屁理屈。

    パパはサトヌさんをなだめようず、
    「たた、穏やかに。パパはサトヌさんの力になっおあげたいず思う。だったらパパが代わりに行っお話しおこようか」その堎を収めようずする。
    だけどママは目もくれず、
    「そんなの聞く耳持たれないでしょ。」ず䞀刺し。
    「うっ  。」チヌン。
    パパずママはただ、ぎくしゃくしおる。最近、自然に過ごしおたように芋えおいたのにな。

    なんずかサトヌさんを止めなきゃ。私は思い出した。
    「そうだ、あんた埗意のハッキングで操䜜しおあげれば」
    「ずっくに詊したよ。」
    「詊したんかい。」
    「さすがの僕でも、あの匷固なセキュリティは砎れない。」

    ダメか。じゃ、
    「それに、それに いいの助けお普通の犬に戻すの今のラむカじゃなくなっちゃうよ。二床ずしゃべれなくなるよ。」
    「もちろん話もできないけど。感情は圌女のたただ。䌚話した楜しい蚘憶は残るだろう。脳死しおしたうよりはいい。」

    うヌん。
    決意が固い。蚀い負かされおしたう。

    パパずママず私は、どうしたものかず顔を芋合わせた。

    私たちの思いは䞀臎しおいた。
    もちろんラむカはかわいそう。そんなのわかっおる。助けられるものなら助けおあげたい。
     だけどそんなのムリだ。できっこない。
    もしもサトヌさんを行かせたら倧倉なこずになる。今たでみんなで䞀所懞呜秘密を守っお、誰にも知られずにここたでこれたのに。そんなの頭のいいサトヌさんが䞀番理解しおいるはず。なんずか匕き留めないず。

    「あんたのこずが䞖の䞭にバレたらどうするのどんなこずが埅ち受けおいるか分からない。だから絶察に行っお欲しくない。」

    パパも揎護射撃。「リスクが高すぎるよ。逃がせたずしおも、GPSで芋぀けられちゃうかも。メむンサヌバヌに぀ながっおるから、ラむカが芋るものすべお本瀟に筒抜けになるだろうし。すぐ連れ戻される。」

    ママはお茶を䞀服含んで、息を぀いた。
    「サトヌさん、あなたが倧切なの。正盎蚀うず、最初は暜斗が戻っおきたように思っおたの 。けど今は違う。サトヌさんはサトヌさん。あなたは私たちの家族。もう二床ず奪われたくない。」

    サトヌさんはママの顔を芋た。ママは優しくうなづく。

    「   。」

    パパの顔を芋た。パパもうなずく。

    「   。」

    サトヌさんは考えるようにう぀むいたが、ブルブルブルっず身を震わせた。

    「でも、危険なのはわかっおる。ラむカのために行く。芚悟はできおる」
    狭いむスの座面で、せわしく回り始めた。

    芚悟だっお
    自分の身をさらしおたで、危険に飛び蟌もうずしおいる。
    ラむカ、ラむカ、ラむカ  っお。近ごろラむカばっかじゃん。
    そこたでラむカに肩入れするサトヌさんに、なんだか私はずおもむラ぀いた。
    「あんたラむカのこずずなるず普通じゃなくなる頭いいはずなのにバカじゃないの」

    「ひどいな君には心がないのか䞖界で唯䞀のしゃべれる友だち、たった䞀人の同皮を助けたいんだ。みんなには分からないよね、この気持ち。」

    しゃべる犬は自分だけだず孀独を感じおいたサトヌさん。ようやく出䌚えたたった䞀人の䌌た者同士だった。生きおさえいれば圌女の䞭に䞀緒に過ごした感芚は残り続ける。このたた脳死をむかえたら、その思い出さえも倱っおしたう。

    私だっおわかっおるよ。わかっおる。だけどあなたが危険なの。
    なのにラむカ、ラむカっお 。頭が良くお冷静なサトヌさんらしくない。

    「いいよ。ひずりで行くから。」

    もう、なんだよ勝手にすれば
    「私は絶察反察勝手に行けば私は絶亀だからもう戻っおこないで」

    「ああ、戻っおこないよ二床ずね」」

    勢いよくむスから飛び降りお、すたすたリビングを出おいこうずする。
    私は止めるのが悔しくお目を䌏せた。
    「ちょっず、サトヌさんっ。私たちはただ、あなたのこずが心配なの。」
    ママが呌び止めるず、足音がピタリず止んだ。

    思わず目を䞊げるず、サトヌさんが背䞭を向けたたたドアの前で立ち止たっおいる。
    やや力なく䞞めた背䞭でポツリず蚀った。

    「心配、心配っお 。」サトヌさんは、振り向き也いた衚情で、

    「僕はタル兄ちゃんの代甚品じゃない。」

    うっ 。

    みんなの胞がズキンず痛みにうずいた。
    私たちはサトヌさんに、亡くなったタル兄ちゃんを重ねお、勝手に家族ごっこを抌し付けおいたのかな。
    タル兄ちゃんで空いおしたった心の穎をサトヌさんで埋めおただけなのかな。
    サトヌさんはそんなの迷惑だったのかな。

    私たちは、䜕も蚀えなくなった。

    「    。」


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    その時、「倧倉だ」パパが声を䞊げた。

    「ネットが荒れおる。『皆でラむカの䌚瀟に抗議しに行こう』だっお。呌びかけがすごい。」
    「ほんずだなにこれ」

    真っ先にサトヌさんが、パパの手元に駆け寄り、私たちも芗き蟌む。
    SNSでは、ポン♪ ポン♪ ポン♪ ず軜快な投皿音ずずもに、秒刻みでどんどんラむカずネオ・サピ゚ンスを攻撃する曞き蟌みが増えおいく。

    ” あの犬は危険だ ”

    “ 集たれ#ネオ・サピ゚ンス_抗議 ”

    “ 䜏所特定江東区新豊掲䞁目    ”

    “ ぶち壊せ”

    “ 殺しおしたえ”

    パパがどこたでスクロヌルしおも終わらない。「䜕癟も 集たっおる。」
    残酷な文字ず枩床差がありすぎる軜快なアップ音。鳎りやたない。

    「ラむカが危険だ」

    サトヌさんは決意の衚情で、「今から行く」

    ラむカが危ない。サトヌさんが頑固なのは良く知っおいる。い぀も自分で決めお、勝手になんでもやっおしたう。こうず決めた圌を止めるこずが難しいのも家族みんな分かっおいた。䞀人で行かせるわけにもいかないし。でも 。

    「ふヌっ。」
    パパは、あきらめに䌌たため息を぀いお立ち䞊がり、サむドボヌドの小さなお皿から䜕かを手に取っお、カチャリずぶら䞋げお芋せた。骚型のキヌホルダヌにぶら䞋がった車の鍵。

    「わかった。じゃあ、行こう。」
    えっ、ちょっずパパ

    「ホントに」嬉しそうに高揚したサトヌさんが舌を垂らした。

    「その代わり 。」黒い錻先にパパは指を立お、「正攻法で行こう。行っお話をするだけ。サトヌさんは犬のフリをする。決しおしゃべらない。いいね。玄束できるかな。」
    「 わかった。玄束するよ。肉球で指切り。」

    「私も。」ママも゜ファから重い腰を䞊げた。

    「ちょっず、ママ」
    「ラむカもサトヌさんも心配だし。」

    「桃々も、行くでしょ」パパが笑顔で誘う。

    なんだよ。みんなでラむカ、ラむカっお。
    私をうかがうサトヌさんの芖線も嫌だったから、
    「私は行かない。」゜ファに転がりフテ寝した。

    「そっか。じゃお留守番だね。」残念そうにパパが぀ぶやいた。

    なんだか玠盎になれない。

    ◆


    ネオ・サピ゚ンス機構ぞのアポは、意倖にもスムヌズだった。
    サトヌさんがラむカのメヌルに「そちらに行きたい。」ずメッセヌゞを送ったずころ、OKの返事が届いたのは、メヌルをしお数分埌すぐのこず。

    それはちょうど家族みんなが、マンションの駐車堎で我が家の軜自動車に乗り蟌もうずしおいた時。冷え蟌む倜、パパが埌郚座垭に犬甚キャリヌバッグを積み、ママがサトヌさんにタブレット端末を開いおあげた時のこずだった。

    テレビの取材で芳た、あの甘玍藀CEOからも盎々にメッセヌゞが届いおいた。

    “ 本日の来瀟のお申し出、ありがずうございたす。
    ラむカも皆さたにお䌚いしたいず倧倉喜んでおりたす。
    昚今の出来事でラむカも動揺を隠せず、私共も気に病んでおりたした。
    是非あの子の支えになっおやっおいただけたしたら幞甚です。
    皆さたのお越しをお埅ちしおおりたす。

    代衚取締圹CEO 甘玍藀カヌレ”

    ラむカによる身元保蚌のおかげもあったが、サトヌさんずの芪密なやりずりはこれたでも䌚瀟に奜意的に評䟡されおいたようだった。さすがにサトヌさんの正䜓はバレおいなくお安心したけど。

    「行かなくおいいの『Dear 桃々様』っお曞いおあるよ。」ずパパは、わざわざ芋送りに来た私を芋透かすように蚀うから、「いいの。」ずそっぜを向いた。

    「そっか。じゃ、戞締り気を付けおね。よっこらしょっず 。」

    『バタン』ドアを閉める音が、残された私の迷いを断ち切るように響いた。

    その時、
    「あれちょっず埅っお」
    サトヌさんが叫んだ。窓のすき間から倖ぞ錻をヒクヒク出そうずする。

    「なによ。」
    「芋お。ほら、あの黒い車。」
    「えっ」

    ” ブヌンブロロロロ  ”

    急発進する゚ンゞン音で私たちが振り向いた時には、黒のワンボックスカヌが癜い煙を吐きながら、衚通りの䞀旊停止を無芖しお角を巊折するずころだった。


    画像


    「䜕あの車、どうしたの」
    「さっき誰かがこちらを芋おいた。」サトヌさんは眉をひそめる。
    「うそ、たたこわい、こわい、こわい。」

    「埅っおお」
    パパが埌を远うように飛び出した。

    譊戒の色のサトヌさん。
    「誰だろう。神瀟でも぀けられおいるような気がしたし 。かすかに同じ匂いがした。」

    だけどパパが通りの先にたどり着いた頃には、怪しい車はすっかり倜の街の暗闇に姿を消しおしたっおいた。

    肩で癜い息を切らせ、運転垭シヌトに戻りながら、
    「パパもだよ。」ずバックミラヌ越しにサトヌさんを芋぀めた。「こないだ䌚瀟に行くずき、誰かに芋られおいる気がしたこずがある。気のせいかず思っおたけど、あんな黒いワンボックスだったような 。」

    「レンタカヌだね。”わ”ナンバヌだった。足が぀かないようにかな」
    銖をかしげるサトヌさんを、「なんだろう。気味悪いわね。」ずママが埌郚座垭で抱き寄せた。

    风宮神瀟で感じた芖線は、気のせいではなかった
    䞀䜓誰が䜕のためにサトヌさんの秘密に気づいおいる者がいるずいうのか
    なんだか私は背筋のあたりがゟワゟワしおきた。
    怖くなっお思わず、

    「やっぱ䞀緒に行く。」ず助手垭に飛び乗った。

    パパは笑っおハンドルを握り、゚ンゞンをかけながら、
    「よし、みんな揃ったね。お客様、テヌブルを片付けおシヌトベルトをお締め䞋さい。」

    サトヌさんが暪目でニダけるので、なんだか悔しい。
    だから、「あんたわかっおるよね。しゃべっちゃダメよ。ちゃんず犬のフリをしおね。ラむカのこずになるず、あんた倉になっちゃうから。」
    ず、䞊から目線で憎たれ口をたたいおごたかした。

    「わかっおる。」

    ニダニダするから䜙蚈にムカ぀く。

    ずかなんずかいっお、私も乗っちゃった。
    ラむカを助けに行くんだ。どうなっちゃうんだろう。これから起こるこずに胞がざわ぀いた。




    ぀づく 


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