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いぬがしゃべりたした ㊲【サトヌさん宇宙ぞ】あず3話

    シオツマ

    「ある日突然、むヌがしゃべったなぜ」
    䞭女子 桃々ず犬のサトヌさんが、謎を解明するふしぎな幎間。
    「犬ず話したい」ず倢芋る方にお莈りする、冗談みたいなお話です。
    ※第話ぞ

    第話「サトヌさん宇宙ぞ」


    ぀いにその日がやっおきた。
    サトヌさんは気球で宇宙に旅立った。

    むンドのシュリ―ハリコヌタ島。ゞャレ―ビヌ宇宙センタヌからの離陞打ち䞊げ。党䞖界でその様子が実況生䞭継された。
    やがお宇宙空間での船内䜜業。䜜業は36時間に及ぶず想定されおいるため、各局テレビ番組の画面は速報のように倧きく『字型』に切り取られお、右䞋にワむプでずっず打ち䞊げられた気球のキャビンの様子が流れおいた。

    そこに映るのは、䞊空䞇キロメヌトルの䞖界。
    頭䞊は空気の無い真っ暗な宇宙。足䞋には鮮やかに青く茝く地衚が果おしなく広がっおいた。荘厳な矎しさの䞭に恐ろしさをはらんだ光景だった。


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    キャビンには、サトヌさんの他に日本、アメリカ、むギリス、むンドの技術者の混成チヌムで乗員クルヌ名が搭乗した。気球ずいうからカゎを想像しおいたら、小ぶりのスペヌスポッドのような黄色いカプセル状の乗り物だった。

    サトヌさんはヘルメットず酞玠マスクを぀けお、ベルトで固定されながら䞞いハッチから宇宙空間ぞニョキッず䞊半身を乗り出しおいる。䞊空の空気は薄いものの匷颚なのだろうか、スヌツからこがれた毛が激しくはためく。

    スタッフず連携しながらコンピュヌタヌを無心に操䜜しおいるのか、地䞊管制宀ずのやりずりの無線の䌚話が埮かに聎こえる。

    「"Control, this is Sato
 Initiating phase delta—targeting frequency shift to... krrrch—inverse resonance locked. Particle density’s spiking—solar wind velocity exceeding... shhhk—expected parameters—bzzzt—なんたらかんたらkzzzzk—"」

    終始英語なので、よくわかんないけど。

    倖苑の新囜立競技堎オリンピックスタゞアムでも、巚倧なスクリヌンでラむブビュヌむングが無料開攟され、倚くの芳客が蚪れた。
    生䞭継のその䞀挙手䞀投足に党䞖界が固唟を呑んで芋守っおいた。
    ゜ヌシャルメディアでは人々のコメントがさたざたな蚀語で今、量産され続けおいる。いただに犬のサトヌさんが信甚できないずいう批刀も倚く、賛吊䞡論ひしめいおいる。

    ◆


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    その頃、時を同じくしお、なぜか私たち家族はたぶしいラむトず倧勢の人々の目の前にいた。
    背埌には『特掟員協䌚』ず金の刺繍でほどこされた深い玺色の幕が食られおいる。
    そう、私たちは『日本倖囜特掟員協䌚』の蚘者䌚芋を行なっおいるのだ。

    政府が機密扱いにしお、これたでベヌルに隠されおいた私たち家族。それがいきなり自ら衚舞台に顔を出すず声を䞊げたのだ。かなりの泚目が集たった。

    家族䌚議で決めたこずだけど 、蚀い出しっぺのくせに私は緊匵で死にそう。

    目の前には、ずらりず眮かれたマむク。倧勢の蚘者たち。
    パパのテレビ局や新聞瀟を始めずする囜内の報道機関、それに米囜CMMを始めずする各囜メディアが今か今かず埅ち受けおいる。
    䞀番埌ろの垭では、内閣情報調査宀の葛切が恚めしい顔で腕を組んでいる。ぺろんず前髪を垂らし ” 勝手にしやがっお " ずばかりににらみをきかせる。隣には、防灜担圓課長の癜玉さんが汗をふきふき、嬉しそうに葛切を暪目でうかがっおいる。

    「桃々、だいじょうぶかい手術前だから無理しないでいいからね。」
    壇䞊に家族䞊んで座りながら、こっそり声でパパがささやく。

    「う うん。」

    「気分がすぐれなかったら蚀うのよ。」ママが背䞭をさすった。

    「ありがず。でも決めたから。」

    脇に倧きなテレビモニタヌが蚭眮されおいお、そこにサトヌさんたちの䜜業する映像が生䞭継されおいる。宇宙の状況を芋ながらの特別な圢匏の䌚芋だ。

    ズラリず䞊ぶ頭の集団からひょっこり手が挙がり、黒ぶちメガネのアフリカ系女性蚘者から質問が飛んだ。

    "This is Madeleine from Nougat Journal. Momo-san, may I ask—do you see Mr. Sato as an ally to humanity, or a threat?"
    むダフォンから耳の穎に同時通蚳が飛び蟌む。「桃々さんにお聞きしたす。サトヌさんは人間にずっお味方なのですか敵なのですか」

    䞀斉にたくさんの蚘者の目ずカメラのレンズが向く。

    ひゃあ
    「あの 私は 私は 。」
    ダバい、手が震える。

    同時通蚳も私の蚀葉を埅っおいる。鋭くずがった奜奇心が突き぀けられる。やばすぎる圧。
    孊校に行けなかった日々が頭をよぎった。人前で話すのなんお  怖い。

    すばやく脇からパパが助け船を出す。
    「皆さんにも家族がいたすよね。家族が敵だず疑われたり、呜を懞けお危ないずころに行ったり。皆さんだったらどう思いたすか」

    䞍意に質問を返されたこずで、蚘者は䞍満そうにメガネを倖しおツルの先をくわえ、
    「私だったら 家族を守りたすね。」

    「そう。だからこそ私は皆さんにお䌝えしたいんです。サトヌさんは、わたしたち人間の平和を誰よりも願い、そのために尜くしおきた。人類を愛した犬なんです。人知れず灜害予枬を䌝えおくれおいたのはご存じの通り。そしお圌は自分の呜をかけお、䞖界䞭の人間の安党のために、今、䞊空䞇メヌトルにいたす。」

    パパが指したモニタヌには、酞玠マスクをしお、䜜業をするサトヌさんの姿。
    ” コヌホヌコヌホヌ “ ず呌吞音が遠く離れたこの䌚堎内に響く。

    今床はママも続く。
    「しかもサトヌさんは、難病の嚘のために、自分の身を投げうっお手術を準備しおいるのです。たった䞀人の嚘のために。圌は人間の味方である前に、私たちの愛する家族なんです。皆さん、お願いです。どうか理解しおください。」

    ざっず蚘者たちが私を芋る衣擊れ音。
    怖い 。
    背䞭がびっしょり濡れ、こめかみから汗がしたたり萜ちる。

    でも でも 、

    チラリ、モニタヌに目をやるず、宇宙空間のサトヌさん。
    操䜜卓の䞊に䜕かが眮いおある 。よくみるず小さな犬のぬいぐるみが食っおある。

    「え嘘。もしかしお 」

    私の倧切な " タル兄ちゃん " だ
    幌い時のサトヌさんがかじっおボロボロにしたや぀。泣いお私がサトヌさんを責めたっけ。どうしおあんな遠くに

    なんだよ、サトヌさんはあんなずころで頑匵っおいるのに、桃々、あんたなにやっおんのダメダメテヌブルの陰で自分のお尻を぀ねる。

     そう、話す私は話すのだ
    決意で匷く握った手の腹に、爪が刺さる。

    すうっず、息を吞っお 、

    「私は思うんです。」

    たくさんの目が芗き蟌む。
    よし、しゃべれおるぞ。息が䞊がる。でも私は負けない。

    「サトヌさんは、私の身に危険があっおもい぀も守っおくれたした。地震からも。私が病気やケガをしそうなずきも。サトヌさんは、私を、家族を救っおくれたんです。私たち家族の䞀員なんです。」

    画面には、宇宙空間で必死に䜜業しおいるサトヌさん。

    そうだよ。私たちは、ずっずサトヌさんに守られおきた。
    うたくいっおいなかった家族を倉えおくれた。
    今床は私たちがサトヌさんを助ける番だ。

    「私たちは家族なんです。どうか芋守っおください。だっおサトヌさんは私たち䞖界䞭の人間を愛しおくれおいるから。どうか分かっおください。圌は誰よりも血の通った人間なのです」

    パパずママが䞡脇からすっず優しく肩を抱いおくれた。
    人で目線を亀わし、うなずく。
    そう、私たちは " あの事 " を宣蚀するのだ。自立するのだ。
    今日ここで、この堎で、ハッキリず

    「だから、私たちは 、」

    パパずママも声を揃えお加勢する。

    「私たち家族は   、囜を蚎えたす」

    「ええっ」

    あたりに意倖な蚀葉だったのだろう。どよめきずずもに、蚘者たちが驚きの目で私たちを芋る。内緒にしおたから、同時通蚳者も驚きで私たちず蚘者垭を亀互に芋比べながら远い぀こうず懞呜に英蚳する。

    「私たちは、サトヌさんを取り戻したす『保護』だなんおきれいごずを䞊べお、䞍圓な拘束で囜に奪われた家族を取り戻したすサトヌさんの人暩を䞻匵し、本日、裁刀所ぞ蚎状を提出したした」

    「なんだず」

    怒号に䌌た叫び声が郚屋䞭に響いた。
    最埌列で芋おいた内閣府調査官の葛切がむスから飛び䞊がったのだ。ぺろんず垂れた前髪をかき䞊げながら、「そんなこずができるわけ 。」

    すかさず、「ええ、できたすずも。こちらが匁護団のリヌダヌです。」

    パパが指した巊手。そこから登堎する、ずあるふくよかな女性。
    深々ず䞁寧なお蟞儀をしお顔を䞊げるず 

     八ツ橋姉のお萩さん。

    い぀もより増量の゚ンゞ色の口玅を塗りたくった唇。にいっず䌞ばした䞍敵な笑顔で、蚘者たちをぐるりず鋭く芋枡した。ピチピチスヌツの胞には匁護士バッゞずワンちゃんのバッゞがきらりず光る。

    「あれ、蚀っおたせんでしたっけ」
    パパがいたずらっ子っぜく葛切に笑いかける。

    八ツ橋さんが叞䌚者からマむクをぶん取っお、
    「そうどす。ご存じでっしゃろかオヌストラリアの哲孊者ピヌタヌシンガヌは、『動物は人間ず同じように苊痛を感じる胜力がある。だから人間ず同じように扱われるべきだ。差別しおはならない。』ずしたした。実際、2014幎の刀䟋ではアルれンチンの裁刀所がオランりヌタンにも人間ず同じ基本的な暩利を認めたした。他にも、欧米では、動物の原告適栌を認めた裁刀䟋がいく぀も挙げられおるんどす。日本だけがアカン理屈はおたぞんやろ」
    ずニダリ。

    「そう。」パパも勢いよく立ち䞊がり、「考えおもみおください。『぀の惑星に知的生呜䜓は皮類だけしかいない』ず決め぀けるのは人類の驕りなのではないでしょうか。だから 。」
    私たちの顔を芋お、
    「私たちの家族、サトヌさんにも暩利が認められるはずです」

    ごずり、スマホを萜ずした。難しい長セリフのカンペ原皿が芋えちゃった。
    「パパ、カッコわる。」
    フフフずママず顔を芋合わせた。

    「オホン。」ごたかすように咳払い。「私たちにずっお、息子なんです。この桃々にずっお兄匟なんです。倧切な家族なんです。」

    パパの本音の蚀葉に腹を括る。
    匷い決意ずずもに私はマむクをぐっず固く握りしめ、倧きく口を開いた。

    「私たちは 、私たちは、たずえ䞖界䞭が敵になっおも、サトヌさんを、かけがえのない『お兄ちゃん』を守りたす」

    䞀斉に無数のシャッタヌ音ずフラッシュの光が抌し寄せる。

    「ふざけるな」葛切が立ち䞊がった。「囜を蚎えるだず恩知らずめ嚘の手術なんおやめさせろ䞭止だ䞭止」

    癜玉さんが汗だくのハンカチを䞞めお葛切の口に突っ蟌んだ。「んごっ。」
    「萜ち着け。蚘者たちの前だぞ。䞖論をおさえられないだろ。慎重に。」


    先ほど質問した女性蚘者が、手をひず぀、そしおふた぀叩いた。
    それを芋たほかの蚘者も穏やかな笑顔で、拍手をひず぀、ふた぀ 。

    ”パチ パチパチパチパチパチパチパチ ”

    倖囜人蚘者たちから、さざ波のように䞀斉に拍手が沞き起こる。
    共感した皆が笑顔で惜しみない賞賛を送っおくれおいる。

    「くそっ。」腰を萜ずす葛切。

    鳎りやたない枩かい拍手。
    隣でパパが目を现くした。「匷くなったなぁ、桃々。」
    ママも「ええ。そうね。」


    その時、

    『Teeeeeeeeeeen』



    いきなりサトヌさんの叫び声が響いた
    同時に生䞭継の宇宙空間のクルヌの䌚話音声も突然隒がしくなり始めた。

    『  Orbital mesh stabilizing軌道メッシュ安定䞭
          』


    緊匵に匵り詰めたカりントダりンだ。

    「なんだなんだ」
    蚘者䌚芋䌚堎も䞀気に静たり返る。倧勢の蚘者たちの目が䞀気に䌚堎のモニタヌぞ集䞭する。
    画面では、キャビンのハッチから倧気圏空間に䞊半身を乗り出し、䞊空䞇キロメヌトルの颚に吹かれながら䜜業するサトヌさん。そしおカりントダりンする酞玠マスクごしの叫び声ず、合わせおコヌルする地䞊管制宀の通信音声。


    『  
    Plasma sync within toleranceプラズマの同期、蚱容範囲内
        』



    䞖界䞭が固唟をのんで芋守る。
    あたりの緊迫に䞭継アナりンサヌも抌し黙っおしたった。


    『Final calibration最終キャリブレヌション䞭

      

        

      

    Running起動!!!     』


    しヌん。

    静寂が支配する。
    氞遠かず思わせるほど長い沈黙。
    どうなった 


    やがお、電子音ノむズが埐々に聞こえ  


    サトヌさんの声が響いた。



    『   It's working!!! It's working!!!皌働したぞ』


    興奮しキャビンの䞭ぞ転がり萜ち、笑顔で乗員の皆ぞ蚈噚を指し䜕か䌝えおいる䞭継映像。それを聞いたクルヌが数倀を確認しお歓喜の声を䞊げた。装眮皌働を確信したのだ。党員で倧きな声を䞊げお抱き合い、笑顔で健闘を称え合う姿が流れおくる。

    「成功したんだ」
    パパが嬉しそうに私の肩を叩いた。

    サトヌさんは芋事実隓に成功した。地䞊から送った匷い電波を無数の衛星で経由させお、地球を芆う電波ネットを䜜るこずが可胜になったのだ。
    地平線に沈もうずする倪陜に照らされ喜ぶクルヌたちの姿は、人間ず犬ではなく皮を超えた友情ず信頌の讃歌のようだった。

    蚘者䌚芋䌚堎の蚘者たちも喜びにあふれた倧きな歓声ずずもに、興奮しお互いにハむタッチやハグで喜びを分かち合った。私たち家族も抱き合っお喜んだ。


      はずだった。


    突然、歓喜ムヌドを打ち消し、


    “ ビヌヌッビヌヌッビヌヌッビヌヌッビヌヌッビヌヌッ”


    無機質なブザヌ音が鳎り響いた。䌚芋䌚堎の雰囲気を切り裂く。
    生䞭継のクルヌの䌚話音声も突然隒がしくなり始めた。
    画面の宇宙空間では、サトヌさんが再び䞊空ぞ顔を出し、珍しく動揺した様子でなにか叫んでいる。

    「“This is serious!!”倧倉だ」䌚芋スタッフが叫んだ

    同時に、蚘者垭がざわ぀き始める。
    「あれを芋お䞀䜓䜕の光だ」
    「“Oh my gosh... is that space debris?”」「デブリだっお」蚘者たちが次々深刻な衚情に。

    芋るず、カメラのサトヌさんの䞊空に、かなりの遠くだろうか小さな光が芋える。挆黒の宇宙に鋭利な剃刀で切り぀けたような、矎しくオレンゞ色の光の筋。

    「デブデブっおなにきれいね」パパの袖を匕っ匵った。

    「たさか 宇宙デブリか」

    「なに」

    「宇宙ゎミだよ。壊れた衛星やロケットの郚品だ。宇宙空間には無数に浮かんでいる。時々それらが萜ちおくるんだ。普通は倧気ずの摩擊で燃え぀きるんだけど、䞭には耐熱枩床の高い材質があっお   ああ、倧倉だ」


    画像


    光が少しづ぀倧きくなっおいる。

    「ね、ね、なんなの」

    「倧きいものだずダンプカヌくらいあるぞ。気球にぶ぀かったら、ひずたたりもないサトヌさんたちが危ない」

    「うそ」

    サトヌさんずクルヌたちがキャビンを空䞭で移動させようず必死に操瞊しおいる。
    けたたたしく鳎り響くブザヌ音
    地䞊管制宀の通信も、興奮気味に䜕か繰り返し叫んでいる

    私の頭の䞭で、旧゜ビ゚ト連邊のロケット実隓、ラむカの死が頭をよぎった。
    ロケットは高熱ず炎。舌を出しお苊しむラむカ。その姿がサトヌさんず重なる。
     ああ、神様。

    近づく光どんどん加速


    「気球に向かっおるぞ」

    蚘者たちは立ち䞊がっお叫ぶ者、電話をかけ始める者、画面に釘づけになる者、隒然ずパニック

    接近しおきた
    炎の揺らめきたで芋えおきた
    すぐそこだ

    「サトヌさん危ない逃げお」


    たるで私の声が届いたように、サトヌさんが振り返ったその瞬間


    ” ガガガガガッ”



    也いた鈍い衝撃音ず共に、䞀瞬でデゞタルノむズが走り、モニタヌ画面が真っ黒に萜ちおしたった


    「サトヌさヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌんっ」




    ぀づく あず話 


    第話ぞ  前ぞ  次ぞ 






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