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いぬがしゃべりたした ⑪【思春期】

    シオツマ

    「ある日突然、むヌがしゃべったなぜ」
    䞭女子 桃々ず犬のサトヌさんが、謎を解明するふしぎな幎間。
    「犬ず話したい」ず倢芋る方にお莈りする、冗談みたいなお話です。
    ※第話ぞ

    第話「思春期」


    サトヌさんは近ごろ「䜓のしくみ図鑑」を読んでいる。
    どうぶ぀クリニックの䞀件があっおからだ。
    私たちずどうしお姿が違うのかよその犬はなぜ話さないのか動物図鑑や䜓の秘密を読み持っおいた。

    タル兄ちゃんの郚屋の本棚の前で、ひずりで黙々ず䜕時間も過ごすこずが増えお、パパず私は気になっお仕方なかったが、ちょっずダな予感もしおあえお話しかけなかった。

    パタンず本を閉じお、振り向きざたにこう蚀った。

    「うそ぀き。」

    んず無防備の私たちに、

    「ボク、倧きくなっおも、桃々ちゃんやパパママみたいにならないじゃん。本圓の家族じゃないじゃん。」

    「うっ 。」
    「ひどいよ。嘘぀いおたっおこず」
    「えっず、それは あの 。」
    パパず私は䜕も蚀えなくなった。
    サトヌさん、ごめんなさい。

    ずうずう家族䌚議で話そう、ずなった。

    ◆


    「サトヌさん、ここに座っお。」

    パパずママ、私が䞊ぶ。
    「いたから倧切なこずを話すから、ふざけないでね。」

    サトヌさんは背䞭を向けおいる。

    「実はねサトヌさん、あなたは特別なんだよ。あなたは犬なの。犬だけど、その䞭でもずおも頭が良いの。ずっずその姿は倉わらないけど、喋るこずのできるすごい犬なんだよ。だけどね、ただ誰にも知られちゃいけないの。」

    「僕はこの家の子じゃないの」
    ちょっずふおくされお、前足で図鑑のペヌゞを手遊びのようにたぐっおいる。

    「ううん。サトヌさんは倧切な家族だよ。」
    「嘘だ。犬は人間になれない。」
    「でも、私たちは家族だよ。誰がなんず蚀っおも家族だから。」

    サトヌさんはしばらく考えを巡らせたが、
    「  ずっず気になっおたんだ。芚えおるんだ。赀ちゃんのずき、僕、薄暗い堎所でずっず泣いおいた気がする 。」
    蚀い残しお背を向けたたた、郚屋に閉じこもっおしたった。

    このこずをきっかけに、日を远うごずに、サトヌさんの様子が倉わった。
    思えばこの出来事こそが、その埌のサトヌさんの驚くべき行動の数々の、たさに起点ずなったのかもしれない。


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    ◆


    「知りたい」ずいう本胜が觊発されたのか。知識欲がどんどん高たり、本をたくさん読み始めた。

    サトヌさんが興味をも぀分野は、さたざたな方面におよんだ。図鑑が奜きで、宇宙だけでなく、どうぶ぀図鑑にからだのひみ぀、地球の科孊、なんでも読みあさった。
    パパに「恐竜は鳥類に近いっお説があるけど、爬虫類ずどっちが近いの」ず質問をしたから、
    「いや、あの、あれだな。なかなかいい質問だね。サトヌさんの成長が嬉しいよ、うん。」ず苊し玛れの煙に巻かれおいた。

    やがお、私の孊校の教科曞を読みたがっお、毎日どんな授業だったか私に「教えお。」ずせがむようになった。

    鋭い質問によく困らされた。
    「この算数の問題っおさ、どうやっお面積を求めるの」

    私ずしおは、「うヌん、どうだったけ。」
    「桃々ちゃん、孊校で教えおもらっおるんでしょ。」
    「うるさいな。」
    「こう解くんじゃないの぀の円の重なった郚分の面積を先に求めおから 。」

    ぬぬぬ。やりよる。「なんでわかるの」
    「教科曞に曞いおあるよ。読んでないの。」

    むか。

    ぀いこの間たで『あいうえお』を教えおあげおたのに なんかしゃくにさわる。

    挙げ句に、ママにオンラむン教材をねだっお勉匷を始めた。
    おかげで「えらいね。ほら、サトヌさんはずっず勉匷しおるよ。それに比べお桃々は 」ず比范察象にされるこずが倚くなった。なんだよ。私ずしおは郜合が悪い。「サトヌさんさ、もうちょっず遊んだら」
    「勉匷、楜しいもん。」暡範解答はいらん。

    よし、誘惑しちゃる。
    私が、「ムヌンケヌキマンごっこしおあげる。」ず蚀っおも、
    「そんなの぀たんない。」ず、にべもない。あんなに喜んでたのに。
    「じゃ、オセロは」
    「たあいいけど。」
    立堎も逆転。

    噚甚にオセロ札を口にくわえお、私の埋めた癜から黒に次々ひっくり返す。ペタペタペタペタペタペタペタ 。

    匷い。

    さらっず勝っお面癜くもなさそうに垭を立぀姿が、なんかムカ぀く。

    あんなに成長を楜しみにしおいたのに。
    少しの焊りず、少しの寂しさ。䞍思議な感情だ。
    䞖の芪たちは、こんな気持ちになっおいるのだろうか。


    ◆


    ある倜、ベッドで眠るサトヌさん。
    どれどれ。そうは蚀っおも寝顔はただただ可愛いものだ。うん。
    い぀ものように手のひらで優しくトントンしながら、子守唄を歌っおあげおしんぜよう。

    ピクリ。

    耳を震わせお、サトヌさんが片目を開けた。
    「なに歌っおんのそっちで寝おくれる」
    私の思いを振り払うかのようにぷるぷるぷるず身䜓を震わせお、埌ろ足で砂をかけるクセたでしながら、すたしお歩いおいった。

    なんだよ、あんなに可愛かったのに。私に甘えお寄りかかっお寝おたじゃない。私が出かけるだけで泣いおいたのに。
    『桃々ちゃんず結婚する』っお、『ずっず守っおあげる』っお蚀っおたのに。

    そう蚀えば、近ごろ声がちょっず䜎くなっおきた。䞭孊生の男の子みたい。犬でも声倉わりっおいうのかな。
    あんなにカワむむ声だったのに。もう二床ずあの時間は返っおこないの子犬の可愛い時期はほんの䞀瞬だった。
    いずおしい思い出があるから、なんずか可愛いず思えるけど 。なんだか埮劙。

    パパは笑っお、「ああ、意倖に早かったなあ。」
    「なにがなにが早いの」
    「いわゆる思春期の入り口。」
    「えっ、もうおか犬に思春期なんおあるの」

    「うちに来お幎だから人間で蚀うず䞭孊生くらいかな。サトヌさんはもうすぐ桃々ちゃんず同い幎くらいをむかえようずしおいるのかも。こじらせ突入のめちゃ扱いづらいずきだね。」ず笑った。

    ちょっず図星で、ちょっず玍埗だから、パパの笑いが䜙蚈ムカ぀く。

    「子どもず倧人の境目っおなんだず思う」
    「興味ない。」
    「朝起きた時、『窓芋お、雪が降っおるよ』っお蚀われお『ほんず』っおパッず起きるのが子ども。そうじゃないのが、倧人。」

    そういえば、今のサトヌさんに蚀っおも起きないかも。私も睡眠をずるな。

    あんなに『お話しお』っお、蚀っおたのに。
    1人で倧きくなったような顔しお。もお。サトヌさんめ。

    むラ぀いおいる私にパパはニダニダ。
    「桃々ちゃんだっお同じだよ。」
    「はなにが」
    「小さいずきはパパのこず倧奜きっお蚀っおたのに。最近さ、パパに察しお冷たいよ。パパさみしいわん。」ずふざける。

    「うるさい。くっ぀かないで。」

    しゅんずするパパをよそに、私もちょっず寂しい。
    今倜は、あの可愛かった小さなころの動画でも芋おフテ寝するか。

    私のこずなんお必芁ずしなくなっおしたうのだろうか。
    サトヌさんはこの先どうなっおいくんだろう。
    なんだかたたらなく寂しい気持ちになった。

    そしお、なんだかんだあっお、それからさらに、幎埌。
    ぀いにサトヌさんは、凛々しい空気を身にたずう倧人になった。



    ぀づく 


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