
#211. Faux-amis ほどではないが、インドでは意味がちょっと違う英単語10選
Faux-amis ほどではないが、インドでは意味がちょっと違う英単語10選。イギリス英語ではおかしくない言い方も含まれているが、日本ではあまり使わない意味のためギャップを感じるものをピックアップしてみた。
Hotel
もちろん、ホテルのことも指すが、街道沿いでトラックの運転手が立ち寄るような、定食屋さんに出ている看板に「Hotel」と書いてあればそれは「軽食スタンド・レストラン」の意味。Auto
会話で「オート」と言えば「オートリキシャ auto-rickshaw」三輪タクシーのことだ。詳しくはこちら。Timepass
時間が過ぎることではなく「時間だけが経つような無駄な過ごしかた」「無駄な時間」という意味。Pyajamas
英語でも「寝間着」の意味で使われ日本語にもなっているが、もともとはヒンディー語だった。元の意味はゆったりとしたフリーサイズのズボンのこと。pants や trousers のように2本の足を通す衣服のため -s と複数形が基本となる。インドで「パジャマ」といってもクルタやパンジャビースーツの下に履くズボンのことでしかない。寝間着は「nighty」という。Cabin
もちろん、客船の客室や小屋のことも指すが、お医者さんや弁護士の小さい個人オフィスのこと。Board
全国民が避けて通れない全国共通試験のこと。英語ではBoardは会議の卓から会議や委員会を指すが、全国共通試験を取り仕切る政府の教育に関する中央機関に、Central Board という言葉が含まれるので、共通試験のことをBoard Examということから。詳しくはこちら。Copy
英語では部数・冊数のことで、皆が持っている同じ冊子や本の、自分用の1部のことを指す。しかしインドでは「コピーを持って来たか」と先生に尋ねられてもそれは「複写したプリント」でも「自分用の1部」でもなく、「notebook」という意味。特に宿題のこと。なお、複写のコピーのことは「photocopy」と言う。筆記用具繋がりで言えば、「rubber」も要注意。先生に「ラバーを出しなさい」と言われれば、何かの隠語のことではなく、「消しゴム」のことだ。Note
文脈にもよるが、名詞で note と言えば「banknote」つまり「紙幣・お札」のこと。これは英国でも言うかもしれない。オートリキシャの運転手は釣り銭を持っていないことがほとんどで、空港で換金した大きな額面の紙幣だけだと釣り銭が返ってこないのでしっかり小銭や少額紙幣を用意しておかなければいけない。ただ最近ではモバイル決済が急激に普及していて、道端の行商でもGoogle Payで決済してくれる。しかし、インド国内のGoogle Payは、インド国外とは別扱いで日本のGoogle Payは使えない。現地口座や電話番号がない旅行者にはいずれにしても、少額決済はややこしい。Tariff
英語の意味は貿易用語で「関税・税率」。文脈によっては、その税率を決めるもとになる、該当する品目を分類した番号「Tariff Code」の略として「Tariff」と言うことも。勿論、インドでも貿易書類で英語でTariffと書けばそういう意味になる。しかし日常会話のヒンディー語で「ターリーフ」というと「褒め言葉」と言う全然別の意味に...。もとのアラビア語「タアリフ تَعْرِيف (taʕrīf)」は「知っていること、認識していること」に関係した言葉で、知らせ認識させるための「定義・説明」と言った言葉に通じている。そこから「関税率や関税品目を明示した一覧表」や「料金体系」を記したものを指すようになり「関税」を指すようになった。税金そのものより、内容品を明示したリストだとイメージすると分かりやすい。貿易用語らしく、アラビア語→ペルシャ語→トルコ語→イタリア語→フランス語を介して英語に入って来た。一方、日常的な意味での「تَعْرِيف (taʕrīf)」はアラビア語→ペルシャ語→ヒンディー語「तारीफ़ (taariif)」に入って来た。「知っていること、認識していること」から「感謝している、高く評価している」ことにつながり「褒める」ことへとつながっている。これは英語でも appreciate や acknowledge にも同じようなニュアンスがあることからも分かる。acknowledgment は単に「認知」という意味でもあり、「感謝」の意味でもあり、「注文請書」という商業用語にもなる。Colony
本来は「植民地」という意味だ。日本語だと生態学で、動物や細菌が「繁殖している群れ」のことを想像するかもしれない。しかし、今のインドではマンションや新規に開発された区画などの地域コミュニティのことを指す。日本語の「団地」がピッタリくる、ズバリ対応する語だと思う。
おまけ
Prepone
「前倒し」という意味の単語。postponeからの類推でインドで使い始められた。Maggi
英単語ではないが面白い例。Maggi はスイス発祥の Nestle社のブランドで、日本で「マギー」と言えば「マギーブイヨン」だが、インドで「マギー」は「インスタント麺」全般のことを指す普通名詞だ。最初に市場を開拓した社名が製品のカテゴリー名になることが多く、マギー=インスタント麺というのもそのひとつだ。Tiffin
インド独特の形をした金属製で円柱状の「ランチボックス」やそれで食べる「ランチ」を指す言葉。軽い昼食を取ることを英語で「tiff」と言ったことから。もともとは「少量あるいは弱いアルコール飲料」のこと、あるいはそれを「ひと飲み」することを「tiff」と(擬音語が起源かもしれない)言ったが、そこから「軽食を取る」という意味になった。インド駐在の英国人のスラングが南アジアで一般名詞化した面白い例。現在のイギリスで「tiff」というと「軽い口喧嘩」だが、これはスコットランド方言が起源で、別語源のようだ。Pass out
現在の英語では主に「気絶する・意識を失う」の意味だが、インドでは「卒業する」という意味で使われている。英語でも特に、厳しい訓練を終え印象的なセレモニーで終えるような、軍人や消防や警察の学校を卒業する、という意味では使われているようだ。
Faux-amis (フォザミ・偽友達・空似言葉) とは?