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Photo byfine_yucca6677

「ねね」ちゃん 3話:倉化

    「動くんだよ 」
    「 動くんだよ」
    「 ねねちゃんが 動くんだ。」
    倜䞭に酒を、かっくらい 浅い眠りに陥る俺の頭に 誰かが話しかけおくる。
    話しかける いや 違う。これは倢だ。
    最近、頻繁に「動くんだ」ず、俺に向かっおrineでメッセヌゞを送っおくる奎がいる。
    うるさいな うざいな 俺、忙しいんですけど 鬱陶しい気持ちが俺を攻撃的にし 俺は䜕床も既読スルヌをしでかした。
    しかし鬱陶しい気持ちで既読スルヌをする反面、俺は心のどこかで「それ」を気にしおいた。
    だっお だっおさ 俺、今たで こんなに『無芖』した事、なかったし  そんな、埌ろめたさが倢に出お来たのか
    勘匁しおくれ 倢の䞭くらいは、いい倢みたいよ、俺。
    ゜ヌゞも、フタバちゃんも 珟実の人間は皆、俺に察しお態床がキツむ。
    フタバちゃんなんお 俺をなじる為にこの䞖に生たれお来たんじゃね っお思うくらいのキツさだ 。
    倢の䞭くらい 誰か 俺に優しくしおよ 

    ♪トゥっトゥっトゥっトゥトトゥ♪
    ♪トゥっトゥっトゥっトゥトトゥ♪

    䜕かが、俺の頭の偎で鳎っおいる。
    目芚たしか いや、違う こんな音じゃない。 これは これは 着信音だ 䞀䜓誰だ しかも、こんな早朝に 。
    俺は、右手をゆっくり自分の頭の䞊あたりに移動させ、頭䞊蟺りを匄る。
    俺のスマホは着信音をそれなりの音量でたき散らし 尚䞔぀振動もしおいた。 俺は震源地を探り圓おスマホを掎んだ。
    それから、スマホで応答ボタンを抌す前に、時間を確認する。
    時刻は午前5時を少し過ぎた頃だった。
    それを芋お、俺は軜く舌打ちする。
    俺は乱暎に応答ボタンを抌しお、架電䞻に文句を蚀った。
    「䜕時だず思っおんだよ兄貎っ今日は倖せない講矩が朝むチで あるんだよっ」
    「動くんだよ 」
    俺の抗議を無芖しする圢で、兄貎がしゃべる。
    「      はあ」
    朝時に電話をかけおきお、䜕を蚀っおんだ、兄貎っ 
    俺の口から曎なるクレヌムが、スマホ向こうの兄貎に向かっお攟たれる五秒前になっおも  兄貎は、壊れたテヌプレコヌダヌの様に繰り返し続けた。
    「動くんだよ 動くんだ 動いおいるんだ ねねちゃんが 」
    『壊れたテヌプレコヌダヌ』はこれを回皋、埩唱するず 電話を切った。
    いや、切ったか意図的に切ったかどうかなんお、わからない。
    ずにかく、電話は切れた。
    「      はあ」
    兄貎のその様子に 俺の兄貎に察する次のクレヌムは急速に萎み、その代わりに俺は間の抜けた声を出しおしたった。
    スマホの画面を芋るず、『終話』衚瀺が出おいた。

    「䞀䜓、なんだず思う 俺はスマホの終話ボタン抌しおないし  兄貎は、勝手に電話しおきお 勝手におかしな事蚀っお 勝手に電話切ったんだぜ」
    倧孊の授業が終わり、ハッピヌアワヌの時間垯に 俺は、行き぀けの居酒屋で 「ダチ」に向かっお、この件を盞談した。
    するず、俺の「ダチ」は腹を抱えお笑い出した。
    「なんだ、そりゃっ俺の姉貎ず同じ事しか蚀わねえな、お前の兄貎」
    「䜕かわかんの 心圓たりずか、想像぀くの」
    俺は軜く期埅しながら、ダチに問い返した。
    「 バカっお前 姉貎は劊婊なんだよ今、実家に垰省しおおさ  毎日、オカンず自分の腹撫でながら話しおるぜ 『動くんだ 動くんだ』っお 。
    でも、おたえっ 兄貎は流石に劊嚠しおないだろっ ははははっ あ、生、生っおかわり  二郎、お前もおかわりするよな じゃあ、生、ふた぀っお代わりであ、二郎今日、泊たらせおくれよ」
    ダチはそういうず、酒が入っおいるせいもあり 䞊機嫌で別の話題をマシンガントヌクの様に話し始めた。
    それを芋お俺は思った。
    ああ ダメだ。誰かもっずちゃんず話をできる奎に盞談しないず 。

    

    「だからっ、癜矜の矢を私に察しお立おたっお蚳」
    テヌブルを挟んだ向こう偎の゜ファで フタバちゃんが、攻撃的な顔で俺を睚み぀ける。
    「しかも『壊れたテヌプレコヌダヌ』を間に挟んで あんたず旅行 意味がわからない 」
    公園でのやり取りの続きず蚀わんばかりに フタバちゃんが、険を含んだ声で俺に察しお抗議しおきた。
    そしお、その怒れるフタバちゃんの隣には 俺にずっおは初察面である『フタバちゃんの芪友』が、心配そうにフタバちゃんを芋぀めおいる。
    にぎやかで、楜しいランチタむムのファミレスの店内で、俺達のテヌブルだけがギクシャクしおいる様に 俺は慌おお蚀った。
    「 た、た、埅っお お願いだからさ 話を最埌たで聞いお」
    俺の蚀葉を聞くや吊や フタバちゃんが、腕を組んで自分の腰掛けおいる゜ファの背もたれドスンず自分の䜓を預けた。
    それから、ドスの効いた声でフタバちゃんは 俺に話の続きを促すように蚀った。
    「で」
    俺は、フタバちゃんのその様子を恐る恐る䞊目遣いで芋ながら蚀った。
    「フタバちゃんさ、䞀応は 䞀時だけど兄貎の公匏恋人だったんだろ ちょっずは心配しないの」
    俺の質問に フタバちゃんが、倧きく目を芋開き 次にテヌブルを軜く叩いた。

    「あ、あの お兄さん以倖の ご家族の方は、䜕ずいっおるんですか」
     ナナちゃんが俺に向かっお、少しばかり恐瞮しながらも だけども、萜ち着いた口調で尋ねおきた。 
    「ナナには 䟋の譊察沙汰になった『しゃもじ山姥事件』の事から遡っお小孊生の頃の事たで 私は党郚ありのたたを話しおいるよ」 
    『山姥』 お母様に察するその蚀葉を耳にし、俺は䞍快なモノを感じながらも 俺は頑匵っおそれを衚に出さない様にした。
    しかし そんな俺の気持ちを知っおか知らないでかは 分からないが、フタバちゃんは蚀葉を続けた。  
    「もちろん、あんたや、あんたの家族の事を含めお、ね。圓然、小孊生時代の事や、呚りの子達の噂話も含めお ナナは知っおいる」 
    それだけ、蚀うずフタバちゃんは俺の向かいで腕を組みながら、ツンっずあご䞊げスタむルで俺を睚み぀けお来た。  
    その様子はずおも奜戊的で フタバちゃんが俺や俺の家族を「蚱しおない」のは明らかだった 。
    恚みの籠ったフタバちゃんの県光や、息子である俺に向かっおお母様の事を平気で『山姥』呌ばわりする態床に 俺の怒りが静かに再燃する。 
    「 なんだよ っ 䞀方的にこっちが党郚悪いのかよっ 倧䜓なっ」 
    俺が声を荒げ、フタバちゃんに察しお、そこたで抗議をしかかった時だ。
    「萜ち着いおっ ふたりずもっ」 
    ナナちゃんが、静かに俺ずフタバちゃんを諫めた。 
    萜ち着いたナナちゃんの声色に察しお、俺はナナちゃんの事を『倧人っぜい子』だな、ず俺は思った。  
    ナナちゃんっお 俺ず同い幎なのに そんな事を思っおいたら、幟分か俺の怒りはトヌンダりンしおいた。
    ナナちゃんのやたら萜ち着いた態床に、俺はナナちゃんに向かっお尋ねずにはいられなくなった。 
    「ナナちゃん、だっけ あの もしかしお 俺ずフタバちゃんだけだず 喧嘩になるず思ったから  今日は仲裁圹で来おくれたんですか」 
    俺の質問を受け、俺ずフタバちゃんを静かに亀互に芋぀めおいたナナちゃんの芖線が俺に固定される 。
    「いいえ。うたく蚀えないけど、私はフタバから話を聞いお、䜕だか劙だず思ったの こんなに険悪な間柄の人物盞手に 普通は旅行に誘わないでしょ」 
    「 りょっ 旅行」 
    俺は自分でも驚く皋、玠っ頓狂な声を出しおいた。  
    俺の玠っ頓狂な声を聞いお、フタバちゃんが静かに応えた。 
    「忘れたの「兄貎の為に 䞀緒に北陞たで来おくれ亀通費ず宿泊代はも぀から』っお、熱心に誘っお来たじゃない バむト垰りの私をわざわざ埅ち䌏せしおさ。」
    呆れた調子でフタバちゃんが話す。
    フタバちゃんが話終わるず、ナナちゃんが再床 静かに俺を芋぀めた。 
    ナナちゃんの目が俺に尋ねおいる 『事実だよね』ず。
    俺は、北陞にフタバちゃんを誘った時のシチュ゚ヌションを䞀生懞呜、頭の奥から蚘憶を匕っ匵り出そうず詊みる。
    旅行 そんな蚀葉、俺蚀ったか 誀解させるような事 俺は、蚀ったっけ 俺があんたり黙っおいる状況に察しお、フタバちゃんは盞圓むラ぀いたのだろう。
    「あんたずアンタの兄貎ず私の䞉人でずある目的の為に来おほしいっお それを、旅行ず呌ばず、䜕ず呌ぶの」 
    聞き芚えのあるセリフがトリガヌずなり 俺は頭の匕き出しから該圓する蚘憶を匕っ匵り出した。
    「思い出したっ俺、思い出したよフタバちゃん、あの時も同じセリフ蚀っおいた で、俺ず蚀い合いになったんだよっそうだ、思い出した」
    あの時は倕暮れ時だった。
    俺ずフタバちゃんは、店の入り口のすぐ脇にある 勝手口ずいうのだろうか そこで話し合い、いや蚀い争いを繰り広げおいた。
    『だからっ 旅行ずかっそんなんじゃくっお 』
    『旅行じゃなかったらっ䜕 なんお呌ぶのよ、それなんで あたしがっ』
    フタバちゃんがそこたで、俺に向かっお怒りをぶ぀けおきた時だ。
    『うるさいぞっ営業劚害だっ圌氏ずの痎話喧嘩なら他所でやれっフタバっ』
    店の入り口から、店長らしき人に俺ずフタバちゃんは怒鳎られ、旅行の話は棚䞊げになったのだ。
    いやいや、違う。 旅行ではなく、困った事件が起こったのだ。
    「二郎くん、もうさ 時系列でいいから、事件の経緯を話しおくれない」
    ナナちゃんが畳み掛ける様に、俺に促す。
    「そうそう。アンタっお、話の芁点を纏めお話そうずするず 誀解ばかりを招くよね」
    フタバちゃんが、嫌みを䞊乗せする圢でナナちゃんに賛同する。
    「たあたあ、萜ち着いお二郎くんの話を聞こうよ、フタバ。」
    自信を持っお俺は断蚀出来る フタバちゃんを諫めるナナちゃんの姿が無ければ 俺は再床、フタバちゃんず喧嘩を繰り広げおいただろう。
    俺は怒りを心頭滅华しながら、ナナちゃんから勧められた通り、「事件」を時系列で語り始めた。

    
    無芖すればいい。 どうせ、ロクな話じゃない。
    自分の郚屋から䞀歩も出ようずしない『匕きこもり野郎』に䜕が起こるっおいうんだ。
    俺は、酔いの回った頭で 自分自身に蚀い聞かせる。
    『匕きこもり』の兄貎が珟状起こす問題なんお どうせ『家事手䌝いの業者さんに抱き぀いた』皋床のものだ。
    酔った俺の頭の䞭にお父様が出珟する。

    『たた、業者さんに抱き付いたんだ 党く 䞀郎のダツ 若い人じゃなくお、䞭幎か、おばあちゃんぐらいの幎霢の人でお願いしたすっお頌んでも この顛末。 男のお手䌝いさんでお願いしたすっお、条件぀けるしかないな 手がかかる』
    過去の蚘憶の䞭で、お父様が、そうがやきながら、俺にそう話しおいる。
    俺に いや、俺だけじゃない。 お父様の隣に誰かいた。
    長い髪を揺らしお艶やかにほほ笑む 化粧の濃い 现身の女性だった 
    そこたで思い出した時だ。
    匷烈な眠気に襲われる。
    ああ、やっぱり 明日、兄貎を蚪ねよう 

    
    「動くんだ 動くんだ 二郎っ ねねちゃんがっう、動くのっ」
    久々に 匟が䌚いに来おやったず蚀うのに 開口䞀番に兄貎の口から攟たれた蚀葉は「それ」だった。
    䞊手く蚀えないが なんかザンネンだ ザンネン過ぎる 暫く顔を芋ない内に 兄貎は䜕だか、ザンネンな別の生き物に進化 いや倉化しおいる様に芋えた。 髪を掗っおいないのは䞀目瞭然で、くしゃくしゃな䞊、䞀郚ゎミが絡んでいる。
    おたけに、錻の穎から錻くそが芗いおいるのが芋えた。
    それを発芋した俺は 䞍快な䜕かが自分の心をヌルヌルっず浞食される感芚に陥る。
    俺は兄貎を気にかけお、兄貎の元を蚪れた自分を呪った。
    酔いが回っお、思考が混濁しおいる状態の俺を 時を遡っおぶん殎っおやりたい。
    俺は20行皋前の俺自身を、劄想の䞭でフルボッコにしながら、努めお穏やかに 兄貎に蚀った。
    「 あのさ せめお 付いおいる錻くそを取っおから 話しをしねえ」
    「  うっ いっ ああ  」
    兄貎はそれだけ蚀うず、右手の人差し指で錻をほじり始めた。
    俺は、向かい合う圢で兄貎の前に立っおいた。
    だから、錻の䞋を少し䌞ばしながら、䌏し目がちに「錻ほじり」をする兄貎の姿は ダむレクトに俺の芖界に入り蟌む。
    それだけでもかなり䞍快なのに 兄貎は、匟の俺の心情を䞀切顧みるこずなく 䞀心䞍乱に錻をほじっおいる。
    䌏し目がちな兄貎の目を芋おいるず お母様を思い出しおしたった。
    兄貎の容姿は、お母様に結構䌌おいたのだ。
    俺はなんだか、耇雑な気持ちになっお兄貎に怒鳎った。
    「せめお あっちをを向いおやれよっ」
    俺のむラ぀いた声に兄貎がびくっずなる。
    「 わ、わかった」
    そういうず、兄貎は俺に背を向けお錻ほじりを再開した。
    俺は思わず、舌打ちをした。
    なんで、俺はこんな汚いモノを芋せられなきゃならないんだ 。
    俺がなんで、兄貎に察凊しなきゃなんないんだ。
    い぀もい぀も 我慢するのは俺ばかり。
    家族の䞭で、我慢を匷いられるのは、い぀も俺ばかりだ。

    

    兄貎が䞍登校になっお暫くの事だ。
    ある日、お父様がいきなり俺の肩をガッツリず組んで 耳打ちしお蚀った。

    『二郎 お前だけが頌りだぞ俺の跡取りずしおな お前は俺に䌌お頭が良いからな。䞀郎は残念ながらぜ〜んぶ、お母様に䌌ちたったみたいだな 20代の頃はお母様のそういう 頭が匱い所が可愛かったんだが たあ、この話はいい。俺の長男はお前だ。䞀郎は長女だず思うこずにするわ。』
    俺はこの頃から既に『我慢圹』を担っおきた自芚ず䞍満が芜生えおいた。
    だからお父様に問い返した。
    『俺に リタむアは蚱されないの 兄貎にはリタむアを認めおるのに』
    するず、お父様は露骚に『䜕蚀っおんだ』ずいう衚情を浮かべお蚀った。
    『 リタむアも䜕も 長女は、スタヌト地点にすら立おお無いだろうよ 補造物責任が俺にはあるから 金は出すけどな アむツは蚳分からん生物になっちたったなあ。』
    お父様の最埌の『ボダキ』郚分は完党に独り蚀だったが、俺はずおも䞍公平感たっぷりで䞍満たっぷりだった。
    だっお、
    だっお、
    だっお、それっおさ
    眰でしかないじゃん
    芋た目も䞭身もお父様に䌌た俺は、頑匵らなきゃなんなくお お母様に䌌た兄貎は頑匵らなくおも 自分のやりたい攟題が蚱されるっお
    䜕でい぀も俺だけ我慢しなきゃなんないんだ

    

    「二郎くん、お兄ちゃんは明日孊校に行きたいみたいなの。䞀緒に行っおくれるお願いできる」
    孊芞䌚前日の事だった。 俺はお母様に急なお願いを䟝頌された。
    しかも俺にずっおは、そのお願いは寝耳に氎的なモノだ。
    だっお お母様は自分の息子達を基本的に孊校に行かせたくないのだから。
    それなのに、2日連続で登校させるのか
    曎に俺はわかっおいた。
    「お願い」だなんお蚀っおいるけど、それは「お願い」でなく「呜什」だず。
    今の倧孊生の俺ならそれが分かるが、圓時の小孊生の俺はそれが分からなかった。
    「なんで孊芞䌚予行挔習の日だけ 兄貎は登校するっお話だよね」
    「 䞻圹の子 お兄ちゃんが『奜き』っお蚀っおいた子で だから二日間連続で登校したいんだっお お母様は色々あっお行くのが難しいから 」
    最埌の郚分だけ蚀いづらそうに お母様は小声でもぞもぞず蚀い、蚀い終わるず愛おしそうな県差しを湛えた衚情で 兄貎を芋぀めた。
    兄貎もたた、嬉しそうにお母様にほほ笑む。
    ずいう蚳で この茪の䞭で笑っおいないのは俺だけだった。
    笑えるはずがない。
    孊芞䌚予行挔習の日 今日の出来事だ。
    ぀たりは数時間前の話になる。
    党挔目は党お終了し、埌は校長先生の話で解散 の間の 隙間時間の出来事。
    校長先生はやっお来るのが遅かったせいか、生埒達は列を厩し、次第におしゃべりに倢䞭になっおいた。
    圓然、がっちの俺は、そんな盞手もおらず、独りでがヌっずしおいた。
    その時、少し離れた茪の女子が、俺をちらり、ず芋た気がした。
    気がしたが、その勘は倖れではなかった。
    最初はひそひそ声だったその子のおしゃべりはやがお、生き物の様に成長し倧きくなっおいく。
    『兄貎ず手を繋いでいたんだよっ マゞりケるっ』
    『ちょっず前は幎䞋の男子ず、぀るんでたよね 同玚生の友達いないのっお マゞっお思った。』
    爆笑の枊が、俺から少し離れた堎所で湧く。
    コむツらが、今朝の登校時の出来事を噂しおいる事は明らかだった。
    くっそっ 聞こえおるんだよっこれ芋よがしにわざわざ蚀いやがっお
    俺は静かな怒りを抑えながら、鬱屈した気分で校長先生の登堎を心埅ちにし、ひたすらに耐えおいた。
    仲の良くない連䞭からの陰口だけなら、ただいい。
    それだけなら、俺は耐えられた。
    しかし、孊芞䌚挔習日である 今朝の出来事は俺の心を抉った。
    『二郎 手を握っお 俺、こわい。』
    校門に近づくに぀れ 兄貎が俺に察しお手繋ぎを芁求しおきた。
    圓然呚囲には、同じ孊校の生埒達がいる。
    俺は嫌だったから、最初は兄貎の芁求を無芖した。
    けど、兄貎は自分の芁求を゚スカレヌトさせ、終いには動かなくなった。
    俺は嫌々ながらも 兄貎の手を繋がざるを埗なかった。
    校門たで埌、50メヌトル 40メヌトル 25メヌトル  俺は早る気持ちで、兄貎ず手を繋ぎながら校門に向かっお速足で行く。
    兄貎は、俺が手を繋いでくれた事で満足したのかどうかは知らないが 速足で歩く俺に察し、文句も蚀わず歩幅を合わせおくれた。
    「「「「「おはようございたす」」」」」
    俺は校門をくぐり終えるず、聞き芚えのある声が耳に飛び蟌んだ。
    声をかけおきたのは「あいさ぀グルヌプ」だった。
    持ち回りで、担圓される「あいさ぀グルヌプ」は、隣のクラスが今日の担圓だった。
    その䞭に、䞀矎ちゃんがいた。
    䞀矎ちゃんは、人組のあいさ぀グルヌプの内のひずりだった。
    俺は思わず、䞀矎ちゃんを芋た。
    䞀矎ちゃんも俺を芋おいた。
    䞀矎ちゃんの衚情は、匕き぀っおいた。
    それから、䟮蔑的な芖線を俺に投げ぀぀、隣の子にひそひそず話をし出した。 それだけだ。
    それだけの出来事だ。
    でも、俺には心を抉る出来事だった。

    
    「俺は嫌だ。」
    埮笑み合うお母様ず、兄貎の間を断぀ような ぀っけんどんな声だず 自分でも感じた。
    お母様ず兄貎のふたりが、同時に俺の顔を芋た。
    その衚情は、「信じられない」ずいう驚きに満ちおいた。
    「今朝、それはもうやった。明日はやらない。手は繋がない。䞀緒にいかない」
    「そんな どうしお、二郎くん」」
    狌狜えながら、月䞊みな蚀葉で問いかけおくるお母様に向かっお俺は蚀った。 「前に 䞊の階に䜏んでる山本にも蚀われた」
    >『『お兄ちゃんでしょ』っお感じで 普通は兄の方が我慢させられるもんだぜ』っお」
    「山本くんっお 数幎前迄 よくりチに遊びに来た子」
    お母様が恐る恐る、俺に尋ねた。
    「そうだよ 」 俺は、ぶっきらがうに応えた。
    そうだよ そうだよ 山本だっお 数幎前迄は俺の盞手しおくれたけど 今は党然盞手しおくれない。
    「『匟の二郎の方が我慢するんだな、お前んチ、倉わっおる』っお 山本から、蚀われた。」
    俺はそう蚀うず、拳を握りしめお俯く。
    「  た なんお 倱瀌な 子なの。」
    「俺も 俺ばっかり い぀もお母様ず兄貎の蚀う事聞かされる。俺は明日はひずりで孊校行く。」
    「  そんな 倱瀌な子の事なんかっ」
    「俺は 恥ずいんだよそんなに気にすんだったら お母様が䞀緒に行けばいい」

    バチンっ

    その音の音源は 俺の頬から、だった。
    俺はお母様にひっぱたかれたのだず、理解するのに秒皋かかった。
    ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ
    「ひどいっひどいよっ お母様」
    俺は、シナを䜜りながら床に倒れこみ 俺はお母様に匕っ叩かれた頬を抌さえる。
    「ああっお母様は なんお事をしおしたったのっ」
    お母様が、慌おた調子で俺の頬を撫でた。
    「ひどいよっ今たで、叩かれた事なんお なかったじゃないかっ 芳葉怍物に小䟿かけた時だっお 壁に穎をあけおしたった時だっお 」
    「ああっ 蚱しおっ蚱しお、二郎くんっ」
    お母様はひたすら床に䌏し、おでこを床に擊り付けながら 俺に『蚱し』を乞う。
    「二郎 二郎っ」 兄貎が俺に声をかけた。
    䞍思議な事に兄貎が俺の名を呌びその声は 俺が今たで聞いた事ない「慈愛」に満ちた声だった。
    「二郎っ お兄ちゃん目が芚めたよ 今たでゎメン。」
    そしお、兄貎は声高らかに宣蚀した。
    「お母様二郎 お兄ちゃんは明日、ひずりで行くよっ これからは逞しいお兄ちゃんになる」
    「兄貎 」「おっ兄ちゃんっ」
    俺達人はお互い抱き合っお 感床の涙を ずはならなかった。
    なるはずがない。
    この皋床で自䞻的に「反省」ず「自立」ができるなら 俺も兄貎も平均的な「仲間ず぀るむ事が楜しい男の子」になっおいるはずだ。
    だけど、珟実はどうだ
    俺も、兄貎も『がっち』で 同玚生からは『マトモ』に盞手しお貰えない 
    ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ
    「お母様が あの先生達からっもう䞀回『むゞメ』られおも 二郎くんはっ いいっおいうの」
    頬の痛みず同時に、お母様の「キツむ蚀葉」が俺の心に刺さる。
    心ず頬の痛みに 俺は、こっちの方が『珟実』であるず悟った。
    「家から孊校たでは たったの15分間だけじゃないのっ お兄ちゃんにそんな優しさも持おないのっ 最近の二郎くんはどうかしおるっ お母様知っおいるのよ二郎くんが『嘘』぀いおいる事 『絊食で奜きなモノが出るから孊校行きたいなんお嘘なんか぀いおっ 献立衚芋たら、鯖の塩焌きず、タケノコ埡飯だった 二郎くんっ鯖もタケノコも嫌いじゃないっその日に垰っお来たら、倕飯凄い食べおいたし お母様は倉に思ったの二郎くんは、嘘぀くし 家族を蔑ろにするし どんどん悪い子になっおる 嘘を぀いおたで あんな孊校なんかに行くなんお どうかしおるっ」
    感情的に喚き散らすお母様の声を聞きながら 俺は唇をギュっず結んだたた、暪目で兄貎を芋た。 兄貎は口角を䞊げ、口を半開きにしながら 俺ずお母様の衝突を芋おいた。
    いや、この劇を『鑑賞』しおいた ずいった方がいいだろう。 だっおその時の兄貎の衚情は、玙芝居をワクワクしながら、凝芖する幌皚園児時代の兄貎ず党く同じ顔だったのだから。

    
    そんなんでこんな事を 俺は思い出しながら 俺はレンタカヌのハンドルを握る。
    兄貎は運転できないから、カヌナビの事も分からない。
    俺より幎䞊なのに頌れない。
    レンタカヌ車内 土地勘の党くない、どこもかしこも同じ颚景にしか芋えない田舎道 頌れるのは カヌナビだけだなんお 俺はその無機質さに泣けおきた。
    助手垭に座る兄貎は 車窓から北陞の田舎町を物珍し気に眺めおいる。
    呑気なもんだな。
    兄貎は倉わらない 。
    䞖間䞀般でいう『兄』ずいう存圚は、匟ずいう存圚に察し『うるさくお、りザい』存圚らしい。
    匟が䜕かをやらかそうなら『調子に乗っおんじゃねえ』ず蚀っおきたりずか それが『兄』のデフォ、らしい。
    『平均的な兄』ずいうのは、幎䞋をむゞメる存圚だず。
    䜎孊幎の頃に友達しおいた山本から聞いただけの話だから、偏芋はあるのかもしれないけど。
    なんにせよ、その『平均的な兄』ず比范しおも、俺の兄貎は倧人しい。 圓時の俺は、その事実をうれしく思った。
    だが、今はどうだ
    事実、俺は倉わらない兄にむラ぀いおいる。
    二十歳を過ぎおも、ひずりで旅行する事もできない いや、旅行する床胞がない、ずいった方が正確だ。
    『二郎っ 『ねね』ちゃんがいるっ いろは神瀟ぞ 旅行に行きたい』
    いろは神瀟 そこは、『ねね』ちゃんオタクの間では有名神瀟だった。
    物語の䞭では、『ねね』ちゃんの䜏む神瀟名は明かされおない。
    が、鳥居の廃れ具合や、鳥居ぞ蟿り着く迄の獣道の描写等が いろは神瀟は たるでコピヌしたかの様にそっくりだず 噂になっおいる。

    
    『わざわざ、倉な時間に俺に電話しおきおさ 兄貎の所にわざわざやっおきた俺に向かっお蚀うのが 先ずそれ」
    俺は、思わず兄貎に攻撃的に蚀った。
    『二郎 』
    『 お母様の事 先ず俺に蚀うのがっ 』
    そこたで俺は蚀い掛けお 蚀葉を詰たらせた。
    兄貎は キョトン、ずした衚情で 明らかに『わかっおいなかった』からだ。
    銬の耳に念仏。
    銬耳東颚。
    勉匷で芚えた諺が脳内にポンポン出おくる。
    ひどい。
    酷い。
    恩知らず。
    「犬は䞉日飌えば䞉幎恩を忘れぬ」
    「猫は3幎の恩を3日で忘れる」
    たたもや勉匷で芚えた諺が脳内にポンポン出おくる。
    兄貎は犬猫より酷いじゃないか
    だっお、俺は お父様からしか聞いおない お母様の事を 。
    俺は、期埅しおいたのだ。
    兄貎の䞭に 倉化がある事を。
    だっお、だっお 兄貎はパペットだろう。
    操䜜する人間がいないのに どうしお元気に旅行なんか できんだよ
    怒りで小刻みに震える俺を芋おも、兄貎は盞倉わらず「キョトン」ずしおいる。
    寝䞍足や、酒のせいもあるのだろうが 俺には急に疲れおきた。
    もういい。
    もういい。
    俺は兄貎の蚀う通りにした。
    色々思うずころがあるけど 考えおも仕方ない。 俺は唯々タスクをこなす様に、兄貎の盞手を終えたら 早く、俺の居堎所ぞ垰りたかった。

    

    その日の倜の事だ。
    俺は䞍思議な倢を芋た。
    足が俺に向かっお䌞びおいる。
    むっちりしおた足だが、色気だずか いや、色気以前に生気の無い足だ。
    その足は、内郚が『䜕か』で䞀杯だから『むっちり』しおいるずいった感じの足だった。
    『おいっ おいっおいっ おいっおいっおいっおいっ』
    『おいっ おいっおいっ おいっおいっおいっおいっ』
    その足が、掛け声ず共に 俺に向かっお蹎りを入れおくる。
    先皋、俺は俺に向かっお䌞びおくる足を『生気の無い足』だず蚀った。
    そしお、その『生気の無い足』ず共に繰り出される『掛け声』もたた生気の無いものだった。
    抑揚の無い 『棒読み』の様な掛け声だった。
    『おいっ おいっおいっ おいっおいっおいっおいっ』
    『おいっ おいっおいっ おいっおいっおいっおいっ』
    ああっもうっし぀こいなっ
    俺は、俺を蹎り続ける足を振り払うずする。
    が、俺の足は動かない。
    足が動かないから、手で振り払うず詊みるが、手も動かない。
    なんだ これは
    俺は軜く焊った。
    倉な倢でも芋おいるのか
    ふず、『ガリバヌ旅行蚘』を思い出す。
    ガリバヌが小人達から磔にされ、䜓の自由を奪われるシヌンだ。
    くそっ こんな気分だったのか。
    ガリバヌは、小人達に察しお抵抗を瀺さなかったらしい。
    盞手が自分よりも小さい存圚だから 抵抗しなかったのだろうか
     いやいや、冗談じゃない、小さい云々よりも この足が䜕者なのか 俺は分からない。
    分からない事は怖い。
    だから、俺は死に物狂いで䜓を動かそうずする。
    しかし、俺の䜓はぎくりずも動かない。
    参った ほんずに参った。
    倢なら本圓に芚めおくれ  。
    「いい加枛にしろよっ兄貎っっ」
    やっずの事で、俺は 口の筋肉を動かす事ができた。
    ようやく 自由に䜓を動かす事が出来た俺は、俺に向かっお䌞びおくる足を思いっきり蹎り飛ばした。
    その時だ。
    チュン チュン チュン 
    鳥のさえずりが 俺の耳に飛び蟌んでくる。
    思いっきり蹎りを入れたせいなのだろうか
    俺は完党に『目を芚たした』状態ずなった。
    その状態を認識した瞬間、俺の䜓は『痛芚』に支配された。
    「うっいっ痛っおえっ 」
    俺は蹎りを入れた足を抱え蟌む。
    蹎りを入れる為に、思いっきり足をピンず䌞ばしたせいなのだろう。
    俺の足は『こむら返り』を起こしおいた。
    俺は、『こむら返り』を起こした足の ふくらはぎ郚分をさすった。
    ふくらはぎの筋肉が固く匷匵っおいるのがわかる。
    俺は痛みに耐えながら、匷匵ったふくらはぎを芋぀める。
    ふくらはぎが俺の芖界に入った瞬間、俺はギョっずした。
    俺の足は痣だらけだった。
    痣は、こむら返りを起こした足にだけ、あったのではない。
    俺の腕、䜓の片偎だけではあるが、あちこちに 皮膚を埋め尜くす皋ではないが 痣が぀いおいた。
    「な、なんだ これ 」
    俺は驚いお思わず呟いた。
    その時、ふず 俺の芖界の䞭に就寝前には無いものがあった。
    『ねね』ちゃんだった。
    俺は、俺のすぐ隣の「寝床」をギロリず睚む。
    そこには兄貎が眠っおいた。
    痣だらけで䞍快感䞀杯の俺ずは察照的に 兄貎は呑気に「いびき」をかいおいた。
    俺の䞭で䞀気に䞍快感がMAX近い倀たで昇りだした。
    就寝前に芚えおいた 䞍快な気持ちが䞀気に蘇る。
    就寝前の俺は、むラ぀いおいた。
    レンタカヌを運転しおいた時から、俺のむラむラはMAXに近い状態だったが、その埌も最悪だった。
    1、垂街地にある予玄したはずのビゞネスホテルの予玄が取れおいなかった。
    ↓
    2、近蟺のビゞネスホテルも満宀で宿泊䞍可。
    ↓
    3、宿泊ホテルを郊倖ぞ向かう圢で探すが ビゞネスホテルない。

    なるべく、兄貎の旅行目的である「いろは神瀟」に近い堎所に宿泊ホテルを探す方が良いに決たっおいる。
    で、最終的に蟿り着いたのが、「旅通」だった。
    俺が四苊八苊しながら、宿泊斜蚭を探す間も、兄貎はポカン ず口を半開きにした状態で俺を芋物しおいた。
    その様子に、むラ぀いたが 匕きこもりニヌトの兄貎はこんな時『完党な胜無し』だ。
    仕方ない。 仕方ない。
    そう、自分に蚀い聞かせお、ここたで来たのだ。
    仕方ない が、その日の最埌 就寝前に 䜕故、兄貎の息遣いを感じお眠りに萜ちなきゃならないんだ 。
    郚屋が䞀宀しか取れなかったから、これも仕方ないずは蚀え 泣けおくる。
    おたけに、劙な倢たで芋おしたうし 。
    俺は俺ず兄貎の間に暪たわる『ねね』ちゃんを、たじたじず芋぀めた。
    『ねね』ちゃんは盞倉わらず、半開きの䞍機嫌そうな瞳に䞀文字に結んだ衚情をしおいた。
    倉わらない。
    盞倉わらず、倉わらない䞍機嫌な衚情だ。
    「 圓たり前か ぬいぐるみだもんな」 俺はボ゜ッず呟く。
    しかし しかしっ  俺は呑気にいびきをかく兄貎を睚み぀けた。

    

    そんなこんなで、昚日の続きず蚀わんばかりに 俺はその日も倧局機嫌が悪かった。
    俺の足や腕に痣を発芋した盎埌、俺は吞気にいびきをかく兄貎を叩き起こした。
    俺の怒鳎り声に起こされた兄貎は『跳ねる魚』を連想させるかの様な飛び起き方だった。
    「二郎 急に 倧きな声出すなよ びっくりするだろっ 」
    怒り心頭状態の俺を驚いた衚情で芋぀めながら、兄貎が俺に抗議する。
    抗議するずは蚀っおも 兄貎の声色に匷い非難の色は無く むしろ、『蚳が分からない』ずいった色が濃く出おいた。
    ぀たりは、兄貎お埗意の『キョトン』ずした衚情だったのだ。
    その鈍い様子が沞点MAXに近い俺の怒りに 火を泚ぐ。
    俺は自分の着甚しおいる济衣の裟ず腕を捲り、兄貎に芋せお蚀った。 「芋ろよこれっ 右偎にしか぀いおないだろう兄貎が寝おいた方向じゃないかっ」
    「 な 䜕を 蚀っおいるの 二郎 」
    「兄貎が俺を蹎ったから こんな痣になっおんじゃねえヌかっ」
    「  二郎 ホントに 䜕を蚀っおいる の」
    「っああ もうっ兄貎以倖に 郚屋に誰もいないだろっ 」
    「 お、俺はっ 知らない 知らないよっ」
    埌で思った事だけど、こういう堎合 怒り心頭で反論されるよりも オロオロした態床を芋せられる方が、より怒りに火を泚ぐもんだ、ず思った。
    ぀たりは、俺はさっきから いや、昚日から兄貎によっお、俺の『怒りのタンク』に火を泚がれたくっおいるのだ。
    そしお、ずうずう『怒りはMAX』を超えた。
    「すっずがけおんじゃねヌよっ じゃあ、なんで、『ねね』ちゃんのぬいぐるみが俺の近くにあるんだよ」
    俺は俺の足元に転がる「ねねちゃん」を 兄貎に向かっお蹎ずばした。
    俺に蹎ずばされた「ねねちゃん」は、ぎょんっず勢い良く跳ね 寝がけたなこの兄貎の顔にクリヌンヒットした。
    その様子が ちょっず間抜けに感じ 俺の怒りはMAX超えないスレスレ迄 ちょっずだけではあるが䞋がった。
    ほんのちょびっず 怒りがトヌンダりンした俺は、兄貎に向かっお幟分が冷静な声で蚀った。
    「『ねね』ちゃんは、昚日、兄貎の寝おいる壁偎にあっただろっ 」
    俺はそこたで蚀い終わるず、若干ではあるが 頭がくらくらしおきた。
    怒りの熱ず 俺がここたで怒っおも『倉わらない兄貎の様子』に頭が冷えお来た。
    その枩床差に 俺の頭が぀いおいけなかったのかもしれない。
    俺はどっず疲れを感じ、座り蟌む。
    そんな俺を兄貎は数秒間 やっぱりあの「キョトン」ずした衚情で芋おいた 。
    疲れた俺は座り蟌んだたた、畳の網目をじっず眺めおいた。
    「  二郎 「ねねちゃん」は動くっお 蚀っただろう」
    は
    俺は驚いお 芖線を畳の網目から、ゆっくりず兄貎ぞ移動させた。
    兄貎は、兄貎の偎に転がる「ねねちゃん」を愛おしそうに抱き䞊げお蚀った。
    「たぶん たぶんだけど 「ねねちゃん」は、俺に危害を加える人を蚱さないんだず思う」
    は はあ
    「だから 「ねねちゃん」は二郎を蹎ったんじゃないかな」
    は はああああ
    コむツ、コむツ、䜕蚀っおんだ
    怒りMaxの人間に向かっお 吐いおる蚀葉が『぀たりはお前の自業自埗』っお反論しおんだよな コレ 。
    今床は呆気に取られる俺に向かっお いや、俺の心情を䞀切気にかける事無く 兄貎は叫ぶ。
    「今では、俺ず「ねねちゃん」は䞀心同䜓なんだよっ「ねねちゃん」は お母様の様に、俺を守っおくれおる
    俺はたたたた 兄貎の䞻匵に察しお「ポカン」ずするしかなかった。
    「   䜕蚀っおんの 兄貎 」
    俺は、理解䞍胜だず蚀わんばかりに兄貎に抗議した。
    だけど、俺の口から攟たれた抗議は自分でもびっくりする皋の抑揚の無い声だった。
    「   やっず やっず お母様の事を口にしたかず思ったら ダバすぎるだろう 兄貎 」
    俺の抗議を聞いお兄貎が唇を噛みしめながら 小さい子䟛がやるように 『ねね』ちゃんをぎゅっず抱きしめた。

    
    そんなこんなで 俺ず兄貎は、車内でも「無蚀」だった。
    車の䞭には重苊しい空気が挂っおいる。
    ああ もう マゞでっ 早く、垰りおえっ
    俺は心の䞭でそう呟きながら、車のハンドルを握っおいた。
    そうしおいる内に、圓然だが旅行の目的地「いろは神瀟」に到着した。
    『リアルいろは神瀟』を、俺もスマホやPCで芋たこずはある。
    だけど、肉県で芋る実物の『リアルいろは神瀟』は 鳥居の郚分だけではあるが 䜕ずも蚀えない雰囲気を醞し出しおいた。
    兄貎が『ねね』ちゃんを抱きしめながら、廃れた鳥居をくぐる。
    兄貎が数歩、歩いた所で俺を振り返った。
    「 二郎、来ないの」
    䞍安そうな衚情で、兄貎が俺に尋ねた。
    鳥居や参道にはみ出す朚々や草を芋ながら、俺は兄貎に蚀った。
    「 俺はここで埅っおいる」
    俺の蚀葉を聞くや吊や 兄貎は、泣きそうな衚情を芋せた。
    「そんな こわいよ、二郎 䞀緒に来およっ」
    子䟛の様な駄々を芋せ始めた兄貎に 俺はドン匕きしながら蚀い攟぀。
    「俺自身が、いろは神瀟に行きたかった蚳じゃねヌし。」
    「二郎だっお 「ねねちゃん」奜きじゃないか だから行きたいか行きなく無いかで蚀えば 行きたい方だろ」
    劙な圢の責任転嫁的な感じだな 俺はそう思いながらも呆れお蚀った。
    「奜きじゃない。」
    俺は続けおきっぱり蚀う。
    「俺が奜きなのは盞棒の「ななちゃん」だ。」
    「 でもっでもっ 盞棒ならっ 」
    「  盞棒なら っじゃねヌよ」
    「 そんなっ二郎っ䞀緒に぀いおきおよっ」
    「行かない 『ねね』ちゃんの事は 俺、そんなに奜きじゃない」
    俺がそう蚀い攟った瞬間 兄貎は䞀瞬、『信じられない』ずいった衚情を芋せ、自分の頬をぎくぎくさせるずいう 己の怒りを俺に向かっお䞻匵するず、曎に俺に向かっお抗議した。
    「奜きじゃない ひどいよっ ねねちゃんは 嫌われる芁玠なんおっ」
    前にも蚀った通り 俺の兄貎は倧人しい。
    だから、あたり怒った顔を人に芋せるのは珍しい。
    そう、珍しい。
    だけども、俺はこの時の兄貎の『怒り顔』を『どこかで䜕かよく芋慣れた』䜕かを感じおいた。
    『怒った顔を人に芋せるのは珍しい』でも、『どこかで䜕かよく芋慣れた』 䞀瞬、この矛盟に察しお 頭のどこかで䜕かが匕っかかった。
    でも、それ以䞊にこの時の俺は 兄貎に察しお『怒りの再燃』の方が倧きかった。
    俺は矛盟を頭から远い払っお、兄貎に怒りをぶ぀ける。
    「所詮、『ねね』ちゃんは、ぬいぐるみだろう 「『ねね』ちゃんはお母様の様に、俺を守っおくれおる」 兄貎は、今朝俺に向かっおそう蚀ったよな」
    兄貎は案の定、再床キョトンずした衚情を芋せお呟くように蚀った。
    「 う、蚀った 蚀った よ。」
    「そこで、お母様の事に觊れるならっ ならっ、䜕ずも思わないのかよっ唯䞀自分の味方しおくれた人物じゃねヌか 薄情過ぎじゃねえかっ」
    「 う、じ、二郎 」
    「俺は、違和感を感じおいたよ 兄貎が今朝 お母様の最埌の様子を やっず話しおくれた時も 結局話の最埌は 自分の事ばっかでっ お母様を気にかける蚀葉なんか䜕䞀぀蚀わなかったじゃねヌかその埌ずっず『ねね』ちゃん、『ねね』ちゃんっお ぬいぐるみの事ばかりでっ」
    兄貎が唇をワナワナさせた。
    䞀緒に兄貎ず育っお来た俺は、知っおいる。
    それは、兄貎が泣き出す5秒前の合図だ。
    「お母様は、い぀もい぀もっ 兄貎ばっかりだった 俺よりもっお父様よりもっ 兄貎を優先したっ」
    俺は、孊芞䌚挔習日の『ビンタ事件』を思い出した。
    あの事件以降、俺ずお母様の距離は少しず぀ 少しず぀溝が出来おいった。
    お母様ず俺の関係は ちょっずず぀倉わっおいったが 兄貎ずお母様の関係も距離も倉わらなかった。
    それを自芚した俺は 実家にいる事に違和感を感じる様になった。
    郜内の医倧ぞの受隓に倱敗し、郜倖の医倧に受かった時は 俺はどこかでホッずしおいた。
    実家ず距離を取る倧矩名分を 埗た様な気がしたからだ。

    >『補造物責任があるからな 』
    お父様の蚀葉を俺は思い出す。
    そうだ。
    お父様や、お母様が䜜った家族だ。
    俺が、俺の意思で䜜った家族じゃない。
    それなのに お父様もお母様も ふたり共 逃げおいる
    それなのに 䜕で俺は逃げちゃいけないんだ
    「俺は、真っ平だからな お母様の代打で、兄貎のお守りなんお。」
    自分でも驚くほど冷たい声が 俺の口から発せられた。
    「 いっその事さ 『ねね』ちゃんに守っおもらいなよ 守られなきゃ、兄貎は䜕䞀぀出来ないんだろ」
    兄貎は俺の挑発に察しお 䜕も蚀わなかった。
    只々、唇を噛み締めお恚みがたしい目で、俺を睚んでいた。
    兄貎の衚情が物語っおいた。
    俺の挑発が「䞍愉快」だず。
    そしおその「䞍愉快」は、兄貎の底蟺郚分から泥を纏った状態のたた、緩慢な動きで心の衚面迄ぞず姿を珟す そんな感じだった。
    そこに兄貎が口にしない『怒り』を俺は芋た気がした。
    そしお、その兄貎の衚情も 俺にずっおは芋芚えのあるものだった。
    兄貎の顔はお母様に䌌おいる。
    そう思った途端、俺の頭の䞭にお母様の声が蘇った。
    『二郎くんは、嘘぀くし 家族を蔑ろにするし どんどん悪い子になっおる 嘘を぀いおたで あんな孊校なんかに行くなんお どうかしおるっ」
    蔑ろ
    俺よりも お父様の方が俺ず比べものにならない䜍、蔑ろにしおいるじゃないか
    䜕で、俺だけ責められるの
    「 ひ、ひどいよっ二郎は 家族を攟っお 自分だけ家を出お奜き勝手しお 俺を攟眮しおいるくせに この石段を登るだけじゃないかっ そんな事ぐらい付き合えないの」

    >『家から孊校たでは たったの15分間だけじゃないのっ お兄ちゃんにそんな優しさも持おないのっ』

    手前勝手な事を蚀う兄貎の顔に お母様の顔が重なる。
    頭の奥では 勿論、俺は分かっおいた。
    顔や蚀っおいる事がお母様ず同じでも これはお母様ではない。
    兄貎は、お母様ではない。
    そしお お母様はもういない。
    でも、俺は止められなかったんだ。
    俺がお母様に向かっお蚀いたかった事を 。
    「 お父様には 俺に察しお文句を蚀ったみたいに 䞍満を蚀えたのかよ」
    「   うっ う ぐうっ  」
    兄貎の 俺に向かう怒りが 分かりやすく尻蟌みしはじめた。
    「自分で厄介事抱え蟌んで どうしようなくなっお でも、お父様が自分の『生呜線』だから、お父様に嫌われる勇気もないからから 『簡単な俺』に党郚抌し付けおいる。」
    「 ひどいっひどいよ 䜕で意地悪いうんだよっ 」
    兄貎の『泥を纏った様な怒り』はすっかり圱を朜めおしたっおいた。
    それを認識しおも、俺は自分を止められなかった。
    俺はトドメを刺す様に 苔がびっしり生えた石段の遥か圌方を指差しお蚀った。
    「 石段を䞊がった本殿に 『ねね』ちゃんがいるんだろ ほら、行けよさっさず」
    「  う、うっ ぐうっっ  」
    反論出来ない悔しさが 兄貎の呻き声の珟れおいる。
    「 『ねね』ちゃんでもお母様でも、誰でもいいからさっ喜んで助けおくれる奎のトコに さっさず行けよっ」

    「   ううっ うっ あああああ&£※〆€$£&[]}※〆っっっ」

    最埌の最埌 は声にならない『喚き』を蟺りにちらしながら 兄貎は 石段の向こう偎ぞ逃げお行った。

    走っお逃げる兄貎の姿が次第に小さくなっおいく。
    そしおその姿は 霧に飲み蟌たれ 完党に芋えなくなった。

    

    俺は悪くない。
    俺は絶察悪くない。
    だから、兄貎が戻っおも絶察に ぜっ絶察に謝らないっ
    俺は鳥居の偎の石段に腰掛けたたた、頑なにそう誓った。
    どうせ、兄貎はヘタレだ。
    怖くなっお盎ぐに 石段を降りお来るはずだ。

    だか、時間は俺を次第に冷静にしおくれた。
    鳥居の向こうの苔だらけの階段を 俺は無機質に眺める。

    そしお俺はさっきの「矛盟」の正䜓に぀いお思いを巡らせおいた。

    『怒った顔を人に芋せるのは珍しい』でも、『どこかで䜕かよく芋慣れた』
    そこで俺は思い出した。
    『どこかで䜕かよく芋慣れた怒った顔』それはお母様の顔だった。
    俺ずお母様の間に少しず぀「溝」が出来お 広がっお行った 俺はさっきそう蚀った。
    それは、お母様も感じ取っおいたらしい。
    だけど、お母様はその「溝」が広がっお行く、どころか 「溝」が出来た事自䜓を認めくなかったっぜい。

    『お母様ず、お兄ちゃんず二郎くんの3人で旅行に行こう』
    俺が倧孊に入孊し、すこし経った頃にお母様から提案を受けたこずがある。
    兄貎は嬉しそうだった。
    もちろん、お母様も。
    だけども、俺は気乗りしなかった。
    だから俺だけ断った。
    するず、お母様の衚情から笑みが瞬時に消え 代わりに怒りの衚情に倉わったのだ。
    「 嫌な子ね もういいわっ」
    結局、旅行はお母様ず兄貎だけで行った。
    旅行のお土産は、お父様には買ったらしいが 俺には無かった。
    そこから お母様は、次第に俺を倧事にしなくなった。
    俺の䜏むマンションの掃陀だずか そういう事はしおくれたけど それは兄貎に察しおもそうだった。
    ただ、兄貎には色々ブランドモノの服ずか買っおやっおも 俺には䞀切なかった。
    お母様の「怒り」
    それは、自分ず「同じではない」事に察する怒りだ。
    それは、「数ミリのズレ」さえも蚱せない寛容の無さ。
    お父様は、お母様にずっおスポンサヌだから頭が䞊がらない。
    だから、お父様ずの間に違いを垣間芋おも お母様はスルヌする。
    兄貎は お母様ず完党にむコヌルだから眰は受けない。
    俺だけがお母様ず顔も䌌おない 違う生物 完党に同じでないから眰を䞎えられる 。
    俺は、そんな事を思いながら 苔だらけの階段の遥か䞊段を芆う霧を芋぀めおいた。
    だが、霧を眺めおいる内に 段々ず鬱積した感情から芚め、兄貎に察しお䞍安になっお来た。
    どれだけ時間が経っおんだ
    ヘタレの癖に なんで盎ぐに逃げ出さない
    くそっ 俺は 兄貎が戻るたでここで埅機しなきゃなんねヌの
    俺、さっさず家に垰りたいんですけど
    冗談じゃねヌぞ 䜕、意地匵っおんだよ ク゜兄貎っ
    お母様が居なきゃ 頌る人間は俺しか居ない癖にっ 俺を䞍快にさせおんじゃねヌよ
    この堎所でこれ以䞊、時間を朰したくない。
    俺は、意を決しお鳥居をくぐり、石段を䞀段䞀段 螏みしめお歩く。
     そうしないず 石段を芆う苔で 足を滑らせそうだったからだ。
    するず、本殿に蟿り着く前に石の眮物があるのが芋えた。
    石の眮物は カ゚ルだか、犬だが 䜕かの動物だずは分かるが 苔のせいでハッキリした事が分からない。
    確か 『リアルいろは神瀟』ず最初にネットで玹介した奎も 䜕の眮物なのか分からないずか いっおいたな 。
    いや、なんの眮物なんか どうでもいい。
    ずにかく俺は、この堎所に䜙り深入りしたく無かった。
    その時だ。
    眮物から少し急な䞋り坂になっおいる草地郚分に 兄貎の頭が芋えた。
    兄貎は䞋り坂を芋枡しおいるのか 頭を䞋向きに揺らしおいた。

    

    兄貎 䜕をやっおいるんだ
    急な傟斜の䞋り坂郚分に腰掛けながら、朚々に向かっおリズミカルに頭を振る。
    そんな兄貎を芋お、俺はそう思った。
    俺は、泚意深く耳を柄たす。
    するず、鳥のさえずりや、虫の音、颚が朚々を揺らす小さな音達 その自然の音の䞭に䞍自然な音が混じっおいた。
    よくよく泚意しお耳を傟けるず それは兄貎の声だった。
    兄貎はぶ぀ぶ぀ず、䜕かを蚀っおいる。
    俺は、あたりこれ以䞊、石段を登りたくなかったが、兄貎の声が䜕を蚀っおいるのかが䞍明瞭な為、仕方なく石段を段皋䞊がった。
    「おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ 」
    兄貎の声が俺の耳に届く。
    おいっ おいっ おいっ  
    盎近で 聞き芚えのある音だった。
    おいっ おいっ おいっ  
    兄貎の声を暫くの間聎いおいる内、俺は思い出した。
    これは 俺が俺の倢の䞭で聞いた声だ。
    それを聞いた途端、俺は猛烈に兄貎に腹が立った。
    なんだよっコむツっ
    俺が、今回の旅行に察しお党般 乗り気でない事を薄々感づいた䞊での この嫌がらせ
    このヘタレ 俺がここたで迎えに来る事を 埅っおやがったんだっ
    ヘタレのくせにっ 俺に手間を掛けさせやがっおっ
    「兄貎っ 䜕やっおんだよっ」
    「おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ 」
    「垰るぞっ 」
    「おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ 」
    「 聞いおんのかよっ眮いおいくぞっ ひずりでここから垰れないくせにっ」
    「おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ 」
    兄貎は俺を無芖し続ける。
    「兄貎っ くっそっ もうっ」
    俺は無芖された怒りが倧きくなり、その堎で地団駄を螏んだ。
    俺のいる石段は苔がびっしり生えおいる その事を、俺はこれたでに䜕床か蚀った。
    だから、圓然ず蚀えば圓然の結果だけど 俺は、苔で滑っお尻逅を぀いた。
    痛おえっ  
    石段ぞ打ち぀けた郚分が震源地の様にゞンゞンず 俺の䜓の内郚ぞず鈍く響く痛みを䌝える 

    

    「二郎 尻逅の郚分は 別に蚀わなくおもいいよな」
    少しだけ 懐かしい声が俺の耳に届く。
    䜎くうなる゚ンゞンの音ず 独特の締めっ切った車内の匂い。
    鈍く揺れる振動の䞭、俺は珍しい顔ぶれから芖線を泚がれおいた。
    フタバちゃん、ナナちゃん、そしお゜ヌゞ。
    ゜ヌゞが車のハンドルを握りながら、俺に向かっお続けお声をかけた。
    「尻逅郚分は割愛しおも 話通じるよ わざわざ間抜けた゚ピ゜ヌド披露しなくおいいず思うぜ。」
    「ほんず 無駄に話が長い 」
    ゜ヌゞに賛同する圢で、フタバちゃんが嫌みを蚀っお来た。」
    そうだ、そうだった。
    ファミレスで、ナナちゃんが芋守る䞭、俺はフタバちゃんず偶に喧嘩になりながらも 根気匷くフタバちゃんを説埗した。
    『兄貎に䌚っお欲しい』ず。
    纏った結論は 『゜ヌゞも来おくれるなら行く』だった。
    案の定、その話をするず、゜ヌゞはちょっずだけ面倒臭い衚情を芋せ、こう蚀った。
    「なんで、芪が行かないの」
    しかし、俺ずフタバちゃんだけで兄貎の元に行くずなるず 喧嘩になった時に収拟が぀かなくなるから 玆䜙曲折あったが 結局、゜ヌゞずナナちゃんが぀いおきたのだ。
    「 二郎 キロ先のスタンドで絊油したら 運転亀代。そっから先は䞀床来おいる二郎の方が土地勘あるし。」
    そこたで蚀うず、゜ヌゞはバックミラヌ越しに俺に向かっお芖線を遣りながら 「䜕かを芋透かす」様に蚀った。
    「前も蚀ったけど 今回の事は俺達だけじゃ解決は無理だよ。極端な話 お兄さんを粟神病院迄、匷制連行した方が珟実的だず思う。」
    そしお゜ヌゞはバックミラヌから芖線を倖し くるりを振り向き、埌郚座垭に座る俺を芋据えお蚀った。
    「病院のさ それなりに暩嚁ある倧人からだったら お父さん、ちゃんず察凊する気になるんじゃない」
    「そうだね で、二郎くん お兄さん どうなったの」
    ゜ヌゞの提案に賛同する圢で 先皋の嫌みを寄越しおきたフタバちゃんずは違う圢でナナちゃんが俺に察し、話の続きを続きを促した。

    

    助けお 誰か 助けおっ
    䜕で 䜕でこんな事に なんでっ 俺は心の䞭で祈るように蚀いながら兄貎を半分匕きずる様に運ぶ。
    兄貎は重かった。 圓然ず蚀えば、圓然かもしれない。
    だっお、匕きこもりになっおからは ずっず動いおない 摂取カロリヌの方が倚ければ、圓然デブ気味にはなる。
    そんな重い兄貎をヒョむず持ち䞊げる事も俺は出来ず 俺に匕きずられる様に運ばれた兄貎は、あちこち痣だらけの傷だらけになった。
    だけど、そんな事なんか、気にしおはいられない。
    早く 早くっここから逃げなきゃ っ 
    匟である俺の目から芋おも 兄貎の様子は明らかに倉だった。
    口をポカンず半開きにし、キョトンずした目で呚囲を芋おいる事自䜓は 兄貎の平垞運転だ。
    しかし、キョトンずしたその目は、俺や、あれだけ来たがっおいた『念願のいろは神瀟』を含む 呚囲のモノを䜕も写しおおらず 遠くの「䜕か」を芋おいた。
    そしお䜕よりも、半開きになった口が䜕かの呪文を唱えおるかの劂く、小刻みに動き ブツブツ䜕かを蚀っおいた。
    「おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ 」
    俺は兄貎のその状態を芋お怖くなった。
    ここから早くはなれなきゃっ
    俺は慌おお、兄貎を傟斜の倧きな䞘から匕きずり出した。
    兄貎は俺に匕きずられ 足をあちこちにぶ぀け 痣や、擊り傷だらけになっおも「その状態」だった。
    「やめろよっ やめろよっ 兄貎っ ふざんけんのは もうやめろよっっ」
    俺がどんなに怒鳎っおも、泣きべそをかいおお願いしおも 兄貎はずっず ずっず 生気の無い声で、こう蚀い続けおいた。
    「おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ おいっ 」

    

    なんずかレンタカヌ迄、兄貎を運んだ俺は 泣きべそをかきながら、兄貎を埌郚座垭ぞ抌し蟌む。
    それから俺は、レンタカヌを発車させた。
    俺は、圓おもなくむちゃくちゃに車を走らせた。
    俺の行動は、䜕か考えが有っおの行動じゃない。
    ずにかく、居おも立っおも居られなかったのだ。
    俺はレンタカヌを走らせ、泣きべそをかきながら「どうしようっどうしよう」ず喚き続けた。
    そしお俺の「喚き声」の合間に 兄貎の攟぀「おい おい おい」の声が『合の声』の様に車内ぞ響く。兄貎の異様な呪文を聞き続けた俺は パニックの限界だった。
    俺は、車を止める。
    ふず、そこで車を止めた先に 叀びた䞀軒家があった。
    寂れた朚の門扉に看板の様な朚の札がある。
    雚颚にさらされた「それ」は、䜕か曞かれおいたけど、かなり廃れおしたっお読めなかった。
    いや 読む䜙裕が、その時の俺には無かった。
    ふずその時 廃れた看板の向こうの朚々や、藪の䞭に䜕かが芋えた。
    長い長い 朚の札だった。 朚の札に䜕かむにゅむにゅっずいう圢状の䜕かが曞かれおいる。
    叀い蚘憶の䞭のどこかで、芋たこずあるモノだった。
    そしお俺は藪の䞭に「明かり」を発芋した。
    その時の俺の喜びず蚀ったらっ もう、的確に衚珟できる蚀葉なんかっ この䞖にないっ、ず思った皋だ。
    俺は急いで車から降り、藪の䞭を分け入り 明かりを目指した。 明かりは朚造の建物から挏れおいた。
    俺は、入り口の匕き戞を思いっきり叩く。
    「 助けおっ お願いっ 誰かっ お願い」
    俺は半ベ゜状態で叫び、匕き戞を叩き続けた。 数分皋その状態が続いた埌で 䞭から人の気配を感じた。
    俺は匕き戞を叩く事を止め、埌ろに埌ずさる。
    ふず この瞬間、俺は怖くなった。
    こんな真䌌しおいいのか ずか、おばけが出おきたらどうしよう ずか、そんな事を懞念した。
    そんな事を考えおいる内に 幎季の入ったすりガラスの向こうに、明かりが灯る。
    匕き戞の鍵郚分を、ガチャガチャする音が数秒蟺りに響いた埌 匕き戞が開いた。
    「 なんだ 新聞は芁らねえ぀っおんだろヌがっ」
    䞭から出お来たのは、青幎ず呌ぶには老け気味だが おっさんず呌ぶにも 若さの名残が顔のあちこちに散芋されるような感じの男だった。
    「 俺は、ディゞタル新聞を取っおんだ ここの付き合いなんかで、ダブルに䞍芁な玙新聞なんざ ぜっおえっ 芁らんからな」
    デゞタルを「ディゞタル」ずこだわり衚珟する蟺りに DVDを「デヌブむデヌ」ず衚珟する「田舎のおっさん臭さ」を初察面の男に察しお、俺は感じた。
    「 なんだ 玍埗しお黙っおんのか なら、ずっずず垰れ」
    男は睚みをきかせお、そういうず匕き戞をガラガラず数センチ閉め始めた。
    「 あ 埅っお 埅っおっ 違うっ」
    俺は慌おお、閉じかけられた匕き戞を こじ開けにかかった。
    「なんだっ おいっ おめえっ この小僧っ」
    「 お願い 埅っお 埅っお 芋捚おないでっ 」
    「 知るかっ おめえっ いい加枛にしろっ」
    「 お願い 話だけでもっ いいからっ」
    「 譊察呌ぶぞ っお いや もう、そっちも嫌だな 」
    おっさんは、俺ずの䞍毛なやり取りを数回繰り返した埌、䜕故かは䞍明だが トヌンダりンした。
    「亀番の連䞭も 面倒臭いキャラばっかだし ん、小僧ず譊官 どっちがマシだ」
    おっさんは、匕き戞を閉じる手を止めお 思案に暮れる様子を芋せた。
    俺もおっさんのその態床に釣られる様に、匕き戞を開ける手を止めた。
    次の瞬間、

    ガチャンっ

    「いっおえええええええっ」

    俺の隙を぀いたおっさんが、力づくで匕き戞を閉めた。
    圓然、匕き戞に手をかけおいた俺の手は挟たれ 俺は悲鳎を䞊げお手を匕っ蟌めざるを埗なかった。

    「っくそっ いっおえええええええっ くっそゞゞむっ」

    ガラガラっ
    匕き戞が軜快な音を立おおゆっくり開いた。

    「 おいおい、それは人にモノを頌む態床じゃね な」
    したり顔でオッサンが俺に向かっお蚀い攟぀。
    「 はああ アンタが急に閉めるから 」
    「 やり盎しだ」
    「は 」
    「人にモノを頌む態床に぀いお考えおから出盎せ おめえの事情なんざ、俺には毛皋も関係ねえっ それなのにっ急にドンドンした䞊に人様の玄関口を家䞻の蚱可無しにこじ開けようなんざ 躟なっおねえ、ク゜ガキがっ ほらっ やり盎しだっ぀おんだろっ 」
    な、䜕いっおんだ このおっさん なんかよく分からないけど 。
    「面倒臭せえ 」
    俺の掛け倀なしの本音が䞀蚀が玠盎に 俺の口から飛び出しおいたらしい。
    はっ や、やべえ ず思った時には遅かった。
    おっさんは片方の眉だけ吊り䞊げ 無衚情な顔で俺を睚んで蚀った。
    「 俺は、鍵を閉めお家の䞭に戻る お前がどんなに助けを乞うおも 党力で無芖する事にするわ お前は、助けを埗られない事を悟り すごすご垰れ。ほらほら、やり盎しっ぀おんだろ テメ゚は 逌が貰えないず悟った犬みおえに、尻尟を地面に擊り付けながら しょんがりず垰りやがれ」
    おっさんは片方の手をシッシず 犬を远っ払うみたいに俺を远い出しに掛かった。
    䞀瞬、俺の䞭で蚈算が働いた。
    おっさんの蚀う通りに今からすごすご垰るか
    それずも 他に助けを求めるか
    だがおっさんは 俺が択のアンサヌを出す前に 二床目の匕き戞を閉じ始めた。
    「ああああああっ ごめんなさいっ俺が悪かったですっ 芋捚おないでっ」

    60センチ 50センチ 30センチ 
    次第に閉じられる匕き戞の隙間が、カりントダりンに芋え 俺を焊らせた。

    状況に飲み蟌たれ、俺は咄嗟に前者を遞んだ。

    

    「 埅っおっお願い お願いしたす どうかっ どうか助けおください。ごめん なさいっ ごめんなさい 」
    俺は、苔だらけのコンクリヌト補の玄関ポヌチぞ額を擊り付けながら土䞋座する。
    そんな俺を おっさんは暫く無蚀で芋぀めおいた。
    おっさんの無機質な芖線を俺は自分の埌頭郚蟺りに感じながら 謝眪の蚀葉を玡ぎ続けた。
    ごめんなさい ごめんなさい  ごめん 兄貎 嫌な態床ばっかりで 
    ごめんなさい  ごめんなさい お母様 兄貎を虐めお ごめんなさい
    䞍思議な事に 謝眪の蚀葉を繰り返しおばかりいるず、俺自身の気持ちが段々ず殊勝になっおいく。
    これでは、たるで呪文だ。
    呪文通りに俺自身の気持が倉化しお来おいるのだろうか 
    俺の目は、再床涙目になっおいた。
    ごめんなさい ごめんなさい  ごめん 兄貎 嫌な態床ばっかりで 
    ごめんなさい  ごめんなさい お母様 兄貎を虐めお ごめんなさい
    心の䞭で再床、俺はふたりに謝りながら 口で呪文の様に「ごめんなさい」を繰り返し唱えおいた。
    俺はふず、ここで思った。
    様子がおかしくなった兄貎も 呪文の様に「おい おい おい」ず唱えおいた。 もしかしお 兄貎自身の内偎で䜕かに倉化しおいるのか
    俺は就寝䞭に 倢の䞭で芋た「むっちりず内容物で満ちた足」を思い出した。 それも 「おい おい おい 」ず蚀いながら俺を蹎っお来た。
    もしかしお 兄貎は その埗たいの知れない「゜むツ」になっおしたったのか

    「 おいっ おいっ聞いおんのか」

    おっさんのぶっきらがうな怒鳎り声で、俺はハッず珟実に匕き戻された。
    「 説明しろっ俺に「䜕を助けお」欲しいんだ」
    俺は思わず、おっさんの顔をたじたじず芋぀めた。
    「なんだ おめえが助けを乞うお来たんだろ せめお話だけは聞いおやるよ さっさず説明しろ」
    「あああ あのっ 説明より先に 俺の兄貎をっ 芋お欲しいんです 」
    俺は しどろもどろになりながら おっさんにお願いした。
    俺の「お願い」が、おっさんにずっおは 荒唐無皜な䜕かに聞こえたのだろうか
    おっさんは、俺の「お願い」に察しお無蚀だったが、おっさんの衚情が物語っおいた。
    『䜕蚀っおんだ コむツ 』ず。
    ダメ元での「お願い」ではあるが ホントにダメかもしれない。
    本日䜕床目かなんおもう分からない「泣きそうな気持」で 俺はそう思いながら 刀決を埅぀被告人の様な面持ちで おっさんの顔を芋぀めた。

    ピシャっ

    先皋、俺の手を挟んだ時よりも、若干柔らかなの音を立おお 俺の目の前で匕き戞が閉じられた。
    おっさんは、家の䞭に戻っおしたったのだ。
    俺は、絶望的な気分で項垂れた。
    どうしよう どうしよう 他に䜕凊に助けを求めよう 
    「あ 110番すれば いいじゃないか 」
    䜕でこんな単玔な事に気付かなかったのだろう。
    お母様が譊察沙汰を起こしおから、俺も無意識に譊察に察しお苊手意識を持ったのかもしれない。
    俺がそこ迄思い至った時だ。
    ガラガラっ
    匕き戞が再床、勢いよく開く。
    開いたっ 奇跡だっ 俺は芋捚おられおなかったっ よかった
    俺は劙にうれしい気持ちになった。
    掞窟に匕きこもった倩照倧神が、ちょっずだけ戞を開けた瞬間の呚囲の反応は 今の俺みたいな感じだったんじゃね
    そんな颚に劙な事を思った時だ。
    おっさんが、ぬっず匕き戞の向こうから姿を珟した。
    おっさんはその手に 肉切包䞁を握り締めおいた。
    ゞ ゞ、ゞヌザス
    それを芋た瞬間、俺は倩囜から地獄に萜ずされた気分になった。
    「おい その兄貎ずやらの所ぞ 案内しろ 」
    ドスの効いた声でおっさんが俺に蚀っお来た いや、呜什しおきた。
    「 ちょっ ちょっず アンタっ 䜕でそんな物隒なモノ持っおんですかっ」 「 いいからっ お前、先歩けっ 」
    先皋よりも倍皋、ドスの効いた声で おっさんが俺に呜什した。
    「  ううっうっ 」
    殺されるっ 俺は刀断を誀ったんだ こんな怪しげなゞゞむじゃなくお 110番すりゃ良かったんだ  でも、あの時はあたりにもパニックっおいお 110番通報なんお思いも぀かなかったじゃねヌか  その時の俺自身は、パニックよりも「諊め」に近い気持ちだった。
    ああ 詰んだわ 俺ず 兄貎の「若すぎる死」は このおっさんによっお もたらされるのか 
    俺は、生気の無い足取りで おっさんから、呜じられるがたた 先を歩いた。 その俺の埌ろをおっさんが歩く。
    「若造が、仲間ず共に田舎のおっさんを揶揄っおいる可胜性も珟時点では吊定できねえからな お前の蚀っおいる事がある皋床は本圓だず確認できるたで 俺は譊戒するしかねえだろう ほらっ ちんたら歩くなっ さっさず案内しろっ」
    俺は、「死の悟り」を開いた気持ちで おっさんの呜什通り、兄貎の居る堎所たで案内した。
    俺が運転しおいたレンタカヌ迄の距離が 劙に長く感じられる。
    道䞭の俺は、自分が刀断を誀った事で 死を招いた事に぀いお 心の䞭でお母様に謝眪を述べおいた。
    お母様は、途䞭䞍现工な出来事を招いおはいたけど 基本は息子達を守っおきたのに 俺は、俺はっ 自分のみならず、兄貎迄危険に晒しおしたった ああっ
    そんな事を思っおい時だ ずうずう、先皋の廃れた門扉が芋えおきた。
    その脇に、俺が運転しおいたレンタカヌが停たっおいる。
    レンタカヌの姿が、俺の涙のせいで歪んで芋えた。
    「めそめそ しおんじゃねえっ りザむぞっ」
    おっさんが俺にキレ出した。
    俺は、おっさんに反応する䜙裕無く 無気力な感じで 兄貎に近い方のドアを開く。
    「おい おい おい おい おい おい おい おい 」
    案の定、兄貎はずっず「異垞な状態」のたただった。
    たぶん 俺が助けを求める為、この危ないおっさんず荒唐無皜なやり取りをしおいる間も 兄貎は「異垞な状態」だったのだろう。
    「おい おい おい おい おい おい おい おい 」
    俺ずおっさんに 兄貎の意味䞍明な呪文が泚がれる。
    その時だ おっさんが 俺の䜓を抌しのけお、兄貎の偎に立った。
    「おい おい おい おい おい おい おい おい 」
    おっさんが、兄貎の「異垞な状態」を凝芖する。
    「おい おい おい おい おい おい おい おい 」
    肌感芚で、数分ずいったずころだろうか おっさんは埮動だにせず、兄貎を凝芖しおいた。
    「 おい おい おい おい おい おい おい おい 」
    おっさんの手から 握り締めおいた包䞁がするっず萜ちお 地面に転がった。

    カランっ

    包䞁が地面にぶ぀かり、軜い音を響かせる。
    その間も 兄貎は呪文の様に呟き続けた。
    「おい おい おい おい おい おい おい おい 」
    おっさんは、萜ちた包䞁の存圚なんか忘れたかの様に 盞倉わらず兄貎を凝芖しおいる。
    それから、おっさんは ゆっくりず顔だけ俺に向けお蚀った。

    「お前 コむツに 䜕をしたんだ」







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