メインコンテンツへスキップ
見出し画像

花随00|発想本位のいけばな論

    2026年9月15日
    (敬称略)

      今回から、いけばな論でも随筆の枠を設けることにした。題して「花随筆」である。枠を設ける理由は、「随00」で触れたことと同じで、老化が主原因である。老化を受け入れながら、書きたいことを書いていこうというわけである。個人にとって人生は一回、老いも一回、貴重な時期であり、老いながら何が書けるのかを試してみたい。たとえボロボロの文章であっても、老春の成果として誇りたいのだ。欲が深いと思うけども、欲には勝てないのである。

     ところで、私は学術的な研究者ではない。が、ものを書く場合に、いろいろ調べた上で読解し、書くようにしてきた。場合によっては、研究者より詳しく調べることもあって、そんな時は研究者のフリをする。ただ、もともと現在進行形の状況にコミットする批評で育ってきたので、状況の中を泳ぎ回りながら掴み取った発想や着想の方を、より大切にしてきた。そして、時にエビデンス(証拠)とか合理的な判断とかよりも感情や感覚を優先させる。
     一言につづめれば、「発想本位」の手法である。花随筆では、発想本位をさらにエスカレートさせたいのである。

     私は美術から越境する形でいけばなに関わった。いわば途中参入したのだが、本格的に関わってからでも、すでに35年ほどになる。ただ、家元制度の内部には入らず、自分にとって心地よい縁側ぐらいの場所に居座った。家元制度の制約を受けない自由な目を確保したかったからである。
     そして、一つの目で美術を見て、もう一つの目でいけばなを見る。両目を重ねると、美術といけばなの類似やら差異やらが見えてきて、これが実に面白いのだ。さらに目を凝らせば、両者の狭間から日本文化の深層が見えてくる。

     それを花随筆で書こうと思う。ただし、あくまで発想本位の随筆となることはご承知願いたい。それに、花随筆などと優雅すぎる名をつけたが、この名は体を表さないであろうことも。

     目次の位置としては、大項目「Ⅱいけばな論」の中にある小項目とする。バナーも新設し、いつものように自宅庭の植物から1つを選んだ。今回は群生している「玉すだれ」の中の1輪である。


    (花随00|発想本位のいけばな論 おわり)


    ⇑目次


     
     
     
    みずたに・たかし/1947年愛知県生まれ/名古屋造形大学名誉教授/美術評論家連盟会員。