わたしが見つけたんで、
チャーリー・プースを
日本でいちばん最初に見つけたのは、わたしだ。
いや、正確に言えば、わたしだと思っている。
でもこれだけは、自信を持って言える。
なにを言っているんだと思うだろうが、どうか聞いてほしい。
かつて彼は、ただのYouTuberだった。
わたしが見つけたのは、Adeleの「Someone Like You」の弾き語りカバー。
同世代の女の子とふたり、ピアノの前に並んで歌う動画だったと思う。
ドラマ『Glee』のブームもあってか、
あのころ、YouTubeには名曲のカバーが溢れていた。
夜な夜なすきな洋楽を検索しては、とびっきりのアレンジを探すのが、
当時のわたしの密かな娯楽だった。
なかには、ドラマにちょい役で出演する子が現れたりして、
「楽曲カバー」というジャンルが、熱を帯びていたのを覚えている。
それから、何年か経ったある日。
ドライブ中に窓を全開にして、真っ昼間の風を受けていた。
腑抜けた心地よさに浸っていたとき、スマホのラジオアプリから、
ふいにあの歌声が流れてきた。
It's been a long day
Without you, my friend
気のせいか。
いや、聞き間違えるはずがない。
少し鼻にかかる、甘く切ない、あの声だ。
画面の向こうにいた男の子が、
世界的大ヒット映画(『ワイルド・スピード SKY MISSION』)の主題歌を
歌っている。
え、なんで。
うれしいのに、誰かに見つかってしまったことにたじろぐ。
「すごい」じゃなくて、「なんで」が先に出てきてしまうなんて。
もうね、今さらだけど、
勝手にわたしが発掘しましたみたいな気分なのよ。
一度だけ、彼の来日公演に行ったことがある。
ステージの上の彼が、
歌い出す前に「これは日本でつくった曲なんだ」と紹介して、
披露してくれた「We Don't Talk Anymore」。
わたしのいちばんすきな曲である。
わたしたちはもう話すこともできない、どころか、
チャーリー・プースと、話したこともないのだけれど。
日本で生まれたその曲を、
日本でいちばんに彼を見つけたわたしが聴いている。
ほらね、やっぱり、わたしが育てました。
それじゃ、おやすみ。
むにゃむにゃ
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