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未到の道②|遅れて咲く花の倫理

    第一節|争わずに立つ言葉

    人は、正しさを持ったとき、
    ついそれを証明したくなる。

    自分は間違っていない。
    この考えは正しい。
    だから、分かってほしい。

    そう思うことは、
    決して悪いことではない。

    だが――
    正しさは、扱い方を誤ると、
    相手の心を閉ざしてしまうことがある。

    強く言えば届くとは限らない。
    声を大きくすれば、
    理解されるわけでもない。

    むしろその強さによって、
    相手は身構え、
    防御し、
    耳を閉ざしてしまうことがある。

    正しさとは、
    本来、人を打ち負かすためのものではない。

    人がもう一度、
    自分の内側を見つめ直すための灯である。

    「遅れて咲く花の倫理」とは、
    急いで勝つための倫理ではない。

    時間をかけて、
    静かに残っていくための倫理である。

    早く咲く花は、
    人の目を引く。

    だが――
    遅れて咲く花には、
    遅れて咲く理由がある。

    風の強さ。
    土の冷たさ。
    季節のずれ。

    それらを越えながら、
    ゆっくりと根を張っていく。

    人もまた、
    同じなのかもしれない。

    すぐに理解されなくてもいい。
    すぐに認められなくてもいい。
    すぐに場を変えられなくてもいい。

    それでも、
    自分の在り方を崩さずにいること。

    その静かな積み重ねが、
    やがて場の空気を変えていく。

    正しさとは、
    勝つために掲げる旗ではない。

    時を越えて、
    静かに残るための根である。

    そして――
    遅れて咲く花ほど、
    長く人の記憶に残ることがある。

    ーつづくー
    未到の道③|遅れて咲く花の倫理
    第2節|正しさの影に、人のかたち


     
     

    Kei

     
     
    書道家として活動し、時に俳句を詠む。 聞こえにくい世の中の声に、静かに耳を傾ける。 辛い思いも、誰かに話せたなら―― その心に、そっと寄り添う言葉を。

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