
013 愛ってこんなんだっけ? (後編)
↑前編のリンクです。
飛ぶのが面倒な人に要約すると、
「嫁に逃げられた先輩が、夫婦円満だった時代のホームビデオを泣きながら見せて来た」
です。短くまとめても馬鹿馬鹿しいな…
さて後編。
しかしあれがスタジオで暴君のように振る舞ってたのと同じ人なんだろうか?
この先シングルファーザーとしてやって行く事の不安も口にしていたが、こちとらその時点で5年もシングルファーザーをやって来た「シングルファーザー界のゴッドファーザー」みたいなものである。
もうバンドの事で怒られる事も無くなった今、オレはこの人に対して精神的優位な立場に躍り出た。
むしろこれからはオレの事を先輩と呼べ!
などと思いながら2ヶ月ほど経って、ちょっとした届け物でまた先輩のアパートに立ち寄った。
すると、こないだとは打って変わって妙にヘラヘラしている。
「やあ、娘ちゃんの風邪、良くなった〜?」
無理すんな、アンタにウチの子の心配をしてる余裕など無いであろう。自分ちの未来だけ心配しとけ。
何だか違和感を感じたので問い詰めようかと思ったら、こっちが聞く前に向こうから話して来た。
「俺、最近mixiで知り合った人と付き合い始めたんだよね〜(照)」

何っ!?何という変わり身の速さ!
これではオレの獲得した精神的優位性が再逆転してしまう。
とは言え、まぁ、あの時のような辛気臭い話をずっと聞かされるよりはマシか。
しかし今度は彼女自慢のようなモノをずっと浴びせて来る気配がしたので早々と立ち去る事にした。
「良かったっスね!じゃあオレはこれで…」
「うん、わざわざありがとうね。いや〜、それにしても玄関の鍵も新しいのに替えて、ホント余計な出費だわ」
「ん?壊れたんスか?」
「いや、そうじゃ無くてさ。元嫁が合鍵持ってったままだからね。俺の留守中に勝手に入って来て色々持ってったりするかもだから…」

これには本当に耳を疑った。
こないだまで、その元嫁の映ったビデオを観てメソメソ泣いて、あまつさえストーカー行為までしてたのに、彼女が出来た途端、
「忘れ難き想い人」から、一気に「泥棒予備軍」に成り果てたのである。
世界はそれを「手のひら返し」と呼ぶんだぜぇ〜!
後に先輩はその女性と再婚し、今は後妻となったその人との夫婦生活の愚痴をこぼしている。
ま、いいんじゃないの。とも思うが、あまりに愚痴が過ぎると、こう言ってやりたくなる。
もう1回捨てられてしまえ!
…と。
その折には、今やシングルファーザー界のラストエンペラーとなったオレが、あの時のスタジオでアンタがオレにしたように、
やる事なす事全て、一挙手一投足にケチをつけてやるのだ、わはははは!
おわり。