
眠れない夜に
🚶
眠れない夜に散歩に出かけた。
家の前の通り、今日は月あかりもあって安心だ。
ガチャンという音がして、
自動販売機から缶コーヒーが出てきた。
缶コーヒーを飲みながら、
ゆっくりと歩いた。
車道を走る車も少ない。
ちょっとだけひんやりとした空気は気持ち良かった。
しばらくして公園が見えてきた。
公園から大きな木がのぞいていた。
それは小さな公園には不釣り合いに大きな異形のハクモクレンの木だった。
月明かりが白い花に反射し、木が電光の看板のように光り輝いていた。
それは昼間とは違う、この夜の世界を支配しているものの姿だった。
「やあ、これが君の本当の姿なのかい」
「そんなふうに立っていて、寂しくないの」
そう問いかけたあと、ビューっと風が強く吹いて
ハクモクレンの花が大きく揺れた。
「そう、今日はありがとう。またね」
と言って公園を後にした。
残っているコーヒーを飲み干して、
空になった缶を自動販売機の横のゴミ箱に捨てた。
こんな眠れない夜も悪くないなと思った。