夢からこぼれたとんがり屋根┊︎アルベロベッロ🇮🇹
カラフルな街に、いつもはしゃいでしまう。
街全体に雑多な色があふれているのも好きだし、単調な風景の中にぽつんと転がるビビッドカラーも好き。
最近、時間があると、次の“色に浸れそうな旅先”を探してしまうんだけど、この前「世界のカラフルな街」特集みたいな記事を見つけた。
すでに行った場所。
いつか行ってみたいな、と夢想する場所。
“カラフル”という切り口で並ぶ街の写真たちは、それだけでちょっとした美術展みたい。萌える。
その中、ふいに目が止まる。
──「カラフルな街・アルベロベッロ」。
カラフル?
え、あそこもカラフルな街認定?

白と灰色のおとぎの街
ある年の初秋、わたしはあの街にいた。
プーリアの丘にぽこぽこと並ぶ、白くて丸いトゥルッリ。

記憶の中のアルベロベッロは、白と灰色でできた街。
だから、この街を「カラフル」と捉える感性が、
なんだかとても素敵だなと思う。

たしかに。
街が白ベースだから、
色がやけに際立って見えたりもする。



……そういえば。
子どもの頃からなぜかずっと、アルベロベッロに行きたいと思ってた。いつ知ったのかも定かじゃない。
きっかけなんて何ひとつ思い出せないのに、
「いつかきっと、行くだろうな」と、
妙な確信だけがずっとあった。
前世で暮らしてたんじゃないか、と思うくらい。


でも実際に行ってみると、なんか少しテーマパークのよう。
観光地らしい“用意された可愛さ”に、正直、がっかりした瞬間もあったり。

けれど、南イタリア、秋の夜長。
楽しくないわけがない。
ホロ酔いでのんびり街歩きをしていると──

なんか一日たくさん遊んで、疲れてるけどワクワクがずっと続いてて、ずっと起きていたいような、いつかの遠い日の夏休みの夜みたいな気分になってくる。

石の屋根の影。人通りのない通り。屋根を忍び歩くネコ。
静かな時間帯にだけ顔を出す、街の“素”の表情。

誰も私のことを知らない異国の街で、
心のどこかが「ここ、知ってる」とうなずいている。
ずっと前にどこかで見た夢のつづきだったのかもしれない。


魔除け・厄除け・祝福の印として描かれたそう。
たまに、そういう街がある。
初めての場所なのに、なぜか懐かしくて、なぜか知っていて、なぜかずっと惹かれてしまう場所。
記憶の底に沈んでいた色が、ふいに顔を出すような時間。

それにしても──白と灰でできたこの街を「カラフルな街」にリストアップした人のセンスには、拍手を送りたくなる。
「カラフル」ってなにも色の量とか、彩度だけじゃないのかもしれないね。

いつか夢の中で見た街は、
訪れたあとも、〝いつかの夢〟のまま。
ずっとどこか、かわいくて、懐かしい。

また近いうちに、
色にあふれたどこか遠くへ、ふらりと出かけよう。
またどこが別の土地に転がっている夢のつづきを、拾いに。
▼南イタリアの街・マテーラについても書いたことがあります。
